多くの職場で必須となっているExcelスキル。ポイントを押さえておくだけで何時間もかかる作業が数秒で終わったり、売上などの数字を経営的な視点で見ることができる。今回のらしさオフラインでは、Excelの大切さを改めて振り返りながら、見方・扱い方について教えていただいた。

講師:吉田 拳さん
株式会社すごい改善 代表取締役。Excel業務改善コンサルタント。Excel研修講師。実務直結主義のExcel研修を毎週開催、全国から受講者が参加し、常に2か月先まで満席状態が続く。また、業種・業態・職種を問わず、Excelを駆使したあらゆる分野での業務改善の専門家として知られる。著書に『たった1日で即戦力になるExcelの教科書』『たった1秒で仕事が片付くExcel自動化の教科書』(共に技術評論社)。

Excelが使えないとこんなに困る

Excelスキルを伝える前に、Excelのスキルが足りないために失敗したり、時間を無駄にしていた例を紹介していく。最初は、「大変、大変命を救われております」と書かれたメールの文面。

「数年前のこと、インターネット広告業に勤めていた女性がいらっしゃいました。平日は毎日終電まで働き、土日も出勤してExcelを扱っている。精神的にも、かなりきつそうな状況だったので、上司が弊社へ問い合わせてくれて、業務改善を担いました。その後業務が大幅に短縮されたとき、『命を救われた』とまで言っていただけたのです」

逆に言うと、Excelスキルがないことにより、多大な損害を被るケースもあるのだということ。ほかに例として挙げたのは、200名分のがん検査の結果を、それぞれ別の人に送ってしまったという事例。これは、Excelの表で並べ替えを失敗したために起きたと考えられる。並べ替えのためには、表がひとまとまりになっている必要があり、表の中にカーソルを置いてCtrl-Aを押せばチェックすることができる。このときに表全体が選択されれば、正常に並べ替えができるはず。

また、全角の数字を半角にする作業に何日もかかっていたケース。記録が「12345」といった全角数字で残っていたが、このままでは計算ができないため、「12345」といった半角に手入力で変更していたという。数万件のデータは膨大な人件費がかかるうえ、頻繁に間違いが起きていた。ところが、全角数字を半角にするASC関数を使えば数秒で間違いなく処理ができるのだ。ASC関数は覚えておく必要はなく「Excel 全角 半角」などとインターネット検索をすれば調べられる。

その他、日付が変わるごとに名簿の誕生日を目視でチェックし、該当する人の年齢欄を変更していたという事例や、単位が異なっていたために売上の計算を間違えた事例などを、実際にExcelを動かしながら紹介された。会場でも、大きく頷きながら聞く人が見受けられた。このようなさまざまな無駄がはびこっているのがオフィスの現状なのだ。

勉強するのは「関数」「機能」「経営数字」

例に出したような失敗をしないために、どのようにExcelを学べばいいのだろうか。大きく分けるとソフトウェアの「関数」「機能」を知る必要がある。ただし、これだけでは小手先のスキルだと吉田さんは言う。

「『経営数字』を学ぶことが大切です。私には関係ない、と思われる方もいるかもしれませんが、必要とするのは経営陣だけではありません。個人の家計簿同様に、収入と支出を把握しなくてはなりません。難しく説明する人もいますが、実はとても簡単なのです」

最初に覚えるべき関数は、以下の通りだ。

・IF
・VLOOKUP
・SUM
・COUNTA
・SUMIF
・COUNTIF

「IF」と「VLOOKUP」のうち、特に「VLOOKUP」ができれば面接時に大変有利といわれているそう。その他の4つはそれぞれ下記のように利用する。例えば「売上」という数字を様々な側面から見る場合。

売上金額=単価×件数

・金額合計 SUM
・件数 COUNTA
・金額内訳 SUMIF
・件数内訳 COUNTIF

さらに、数字を分けて考えることが大切。「分析」とは、数字を「分けて何かと比べる」こと。売上の総計だけでなく、商品別、顧客別、支社別といった分解、そして前年比、予実比、構成比と言った比較により、問題点が見えてくる。

経営判断のための分析資料もExcelでできる

Excelで表を作る際にはインプットとしての「リスト」とアウトプットとしての「分析資料」を別に考えなくてはならない。リストは顧客リストやPOSデータなどの事実をそのまま記したもので、分析資料は、データを分類して、現状を把握して将来の判断と行動に活用するものだ。

例えば、「販売年月」「商品コード」「商品名」「売上」などが記載された表がリスト、それを「前年比」「前年差」「予算比」などと、役に立つ成果物にした表が分析資料だ。特に大事なのは以下の数値になる。

・前年比=当年/前年
・予実比=実績/予算
・構成比=部分/全体

これらを使うと、現状の問題、課題が見えてくるのだ。最後に基本的な経営数字の種類を紹介した。

まずは「売上」。そこから「変動費」が引かれて「粗利」となる。さらに、「人件費」「その他」を含む「固定費」が引かれて、実際の「利益」が算出される。業績を上げるには「売上」「粗利」「利益」を増やし、「変動費」「固定費」「人件費」「その他」を減らすことが大切。それぞれを分解して原因を見つけ、改善していくことができるようになる。

自分が関わる仕事に一見つながらないように見えても、会社における活動は、必ずどれかに関わっている。それを意識していくと、作るべきExcel表がわかってくる。リストのデータだけでなく、必要とされる「分析資料」を作れるようにするのも良いだろう。

講演終了後は、食事をしながらスタッフ同士の交流会が行われた。それぞれの就業先の話やExcelの使い方について、和気あいあいとした会話が飛び交った。吉田さんに普段困っているExcelに関する質問をされる方や、リクルートスタッフィングで無料開催されている研修センターの予約をしたりなど、今後に繋がるアクションを取られる方も。定期的に開催されるらしさオフラインなどを活用して、目標とするスキルや働き方を実現できるように、少しずつでも行動できるといい。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)
カメラマン:坂脇 卓也(さかわき たくや)
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