皆さんから寄せられた困りごとを解決するこのコラム。回答者は職場のメンタルヘルスを研究されている関屋裕希さんです。

今回のテーマは「関係性を気にして本音を言えない」。本当は納得していないのに、関係性を気にして口をつぐんでしまう…。そんな経験はありませんか?安心して意見を伝える方法は、あるのでしょうか。そのヒントをご紹介します。

Q. 関係性を気にして本音を言えない…。

私はどちらかというと内向的で、自分の意見を発信できないことが多く、ついつい年長者や声の大きな人の意見に飲み込まれてしまうことが多いです。結果、納得できていないのにやらざるを得ない状態で、もやもやすることが多いです。勇気を持てない自分が情けないです。(50代)

本当は「自分は違う」と伝えたいとき

お悩みを送ってくださって、ありがとうございます。

他の人の意見に飲み込まれてしまうことが多く、もやもやするとのこと。

お悩みを拝見していて、相談者さんは、ご自身の中では、「こうしたほうがよい」という意見をしっかり持っていらっしゃるのだろうなと思いました。

それだけに、もどかしい思いをされているのではないでしょうか。

・自分が納得いかないこと
・違うと言いたいこと
・別の方法がよいと思っていること

どれも、率直に伝えるのは勇気がいることです。

“関係性が悪くなってしまうのではないか…。場の雰囲気を乱したくない…。”

そんな懸念や不安が頭にちらつくと、口をつぐむことが一番安全に思えてきます。

不安を感じているときには、私たちは将来のリスクを高く見積もるため、リスクを避けるような行動をとりやすくなります。

意見を言うときには、必ずしもその場で強い伝え方をしなければならないというわけではありませんので、自分が安心感をもてるような方法で伝えていくのはいかがでしょうか。

意見を「答え」ではなく「問い」として出す

「私はこう思います」「このやり方にしましょう」と発言するのではなく、「こういう観点もあると思うのですが、いかがでしょうか」など、「問い」や「質問」という形で発言する方法があります。

以下の例のように、問いの力は大きく、どのような問いを立てるかで、その後の決定事項も変わっていきます。

■「どうやって水のあるところまで行こうか?」という問い
水を求めて移動する遊牧民族に。

■「どうやって水を運んでこようか?」という問い
そのあとの生活スタイルにも影響を与えて、水を運んできて田畑を耕す農耕民族に。

問いかけることで、相手に気づきを促して、ご自身にとっても納得感の高い答えへと近づけていくのです。

意見は「その場で伝える」ものだけではない

対話しているときや会議中などに発言できないと意味がないように考えてしまいがちですが、意見は時間差で出してもよいものです。

内向的な方には「じっくり考えてから発言すると、よく考えた意見を出せる」という強みがあるので、むしろ、熟考したあとに言葉を整えて出す方がその強みを活かすことができます。

メールやチャットなどテキストベースのコミュニケーションで、「先ほどの会議ですが、こういう視点もあると思います」と伝えてみるのはいかがでしょうか。

■少しずつできるところから
【step1】メールやチャットなどテキストで伝える
【step2】少人数の場で「質問」という形で発言
【step3】意見をひとつだけ言ってみる

「この方法ならば、自分の意見を伝えられそうかも」と安心して使えそうな方法をスモールステップで練習していくというのもおすすめです。

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回答者:関屋 裕希さん
福岡出身。臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員・精神保健学分野 客員研究員。大学院時代は「怒り感情」をテーマとした研究に従事。専門は産業精神保健(職場のメンタルヘルス)であり、心理学の知見をもとに、ストレスマネジメントに関する講演、企業の組織的なストレス対策に関するコンサルティング、執筆活動を行っている。著書は『感情の問題地図』『モチベーションの問題地図』(技術評論社)など。

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