3人の子育てをしながら派遣スタッフとして働く清塚三貴さん(42)。フルタイム勤務で、PTA役員までこなし、パワフルな毎日を過ごす。仕事は生命保険や損害保険など、約10数年「保険業界」に絞っている。多様な業種があるなかで、保険業界を選び続ける魅力とはなにか、お話をうかがった。

相手に寄り添うことから始める

「“保険=売られる”とイメージを持たれる方も多いのでしょうか。会社のカラーによって営業スタイルもまちまちですが、私は会っていきなり売り込むようなことはしないんです。それよりもまずお客様の気持ちをうかがって、一人ひとりの背景を想像することを意識しています。たわいもない話をしながらお客様に役立つ情報をお伝えしたり、相手の方と徐々に馴染むように心掛ける。自分で“馴染み活動”と呼んでいますが、まずはお客様に安心していただくことが、大事だと思っているんです」

穏やかに語る清塚さん。保険の仕事を始めた当初は飛び込み営業をしていたこともあったというが、現在は相手とのアポイントは必須。保険の話をすることがわかっていることが前提で、相手と会うのが業界でも主流だそう。

そもそも、なぜ保険業界で働こうと思ったのだろうか。

「約20年近く前になりますが、看護士を目指して病院で看護助手として働いていた時期がありました。そのとき入院されていた患者さんに、保険会社勤務の方がいらっしゃって。徐々に仲良くなってお互いの話を少しずつしていくうちに、保険の仕事をしてみないか、と声をかけられたんです。ちょうど自分に医療の仕事が合っているかどうか迷っていた時期。思い切って仕事を辞めて、新しい道を選ぶことにしました」

生命保険会社で働いてみたものの

意を決して生命保険の仕事に臨んだものの、当時は予想以上に仕事がきつく、長くは続かなかったという。

その後、元々興味があった化粧品会社の営業職に転職。すると、前年比売り上げの200%まで達成する快挙を成し遂げる。そのまま仕事を続ければ、順調にキャリアを重ねていけただろう。しかし、同時期に結婚、出産し、復帰に選んだのは保険業界だった。

「以前勤務していた生命保険会社の方に、子どもがいても働きやすいからと再度声を掛けていただいたんです。当時と営業スタイルもだいぶ変わっていましたし、子どもが急な熱を出しても臨機応変に対応してくれたりして、また頑張れそうだと思えたんですよね。知っている人もたくさんいたので心強いかなと」

その後、約13年保険業界に身を置いている。一つの業界でここまで長く働き続けるのは、この仕事を始めて間もないころに、お会いしたご家族が忘れられないからだ。

「そのご家族は既に他社の保険に加入済でしたが、念のため保険証券を見せてもらうことに。すると、保障内容が旦那さんに合っているとは思えず、保険の見直しをすすめました。その後、しばらくして旦那さんが心筋梗塞を発症。幸い命に別状がなかったのが救いですが、『あのとき保険の見直しをして本当に良かった。清塚さんに担当してもらって助かった。本当にありがとう!』とすごく感謝してくださって。この経験で、保険の仕事に誇りを持とう!と強く思いました」

働くことで子どもに穏やかな状態で接することができた

現在は派遣スタッフとして働きながら、3人の子どもがいる母親でもある。

「子どもは中学1年生、小学6年生、3年生の3人で全員女の子。みんな朝起きないんですよ(笑)それでも朝の支度を済ませて、7時半には家を出ます。帰宅時間は残業があれば20時か21時。それから夜ご飯を作り、寝るのは日付が変わってからでしょうか」

さらにPTA役員もこなしながら、フルタイムで働いているというから、なかなかのハードワーク。しかしこの働き方は、3人目を出産したときに、育児ノイローゼのような状態になってしまったことがきっかけという。

「上の2人の子どもたちは保育園に行くようになり、毎日家で末っ子と2人だけで過ごす日々が続きました。もちろん子どもは可愛いです!でも、元々アクティブだった私がずっと家に閉じこもり、子どもだけと向き合い続けるのは精神的に余裕がなくなってきて…。それなら、外に出て仕事をしている方がリフレッシュも出来て、子どもとも良い関係でいられると思ったんです。まだ産休期間が残っていましたが、それを待たずにすぐ復帰しました。結果的に気持ちも安定して良かったです」

ちなみに、仕事をしているときと、母親であるときでは気持ちも違うのだろうか。「全然違いますね。家ではお母さんですが、外に出ると子どもがいるように見られないこともあります。仕事が終わり、帰りの電車で最寄り駅の1駅、2駅前辺りから徐々に母親モードに戻っていく。この二つの顔を持っていることで、気持ちにも余裕ができて毎日楽しめていると思います」

家庭も仕事も両立しているからこそ、自分らしく生きられる。清塚さんの前向きな生き方からパワーがあふれていた。

愛犬に癒され、気持ちを切り替える

スマホの画面には愛くるしい犬の写真が。飼いはじめてまだ2か月だそう。「子どもたちがずっと犬を飼いたいと言っていて、最近我が家に仲間入りしました。今では誰よりも私がノエルに夢中かも。仕事が忙しいときや疲れているときに、そっと画面を覗くんです。すると、その一瞬でもノエルの世界に入り、癒されます」

手帳はプライベート用と仕事用で使いわける。プライベート用は家族それぞれの予定も書きこめて、機能性も充実。子どもたちの提出物や行事なども、これで把握している。「帰宅したら毎日手帳に記録をつけるのが日課。家族の予定も再確認できますし、手帳と向き合っている時間は、自分とのふりかえりの時間にもなっています」

仕事用の手帳は、最近貼ったという大きなニコニコマークのシールが印象的。気分が落ちたときにこのページを見て、笑顔を忘れないようにしている。

ライター:松永 怜(まつなが れい)
カメラマン:上澤 友香(うえさわ ゆか)

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