
「ストレスは趣味で発散します!」と、明るさいっぱいの武田愛子さん(45)。派遣スタッフとして、外資系を中心に営業事務などで働いてきた。仕事の合間に武田さんを癒していた趣味とはボディボードとピラティス。そして、この春からピラティスの講師として活動している。そのパワーの秘訣や、これからの働き方をうかがった。
*今回はオンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人より提供いただきました

自分の仕事の前後がわかれば仕事の全体像が見える
武田さんのキャリアのスタートは百貨店での化粧品販売員。ところが、20代前半の当時は感情の起伏が激しく、お客様の前で常に笑顔でいることを苦しく感じるように。また、女性同士の世界も窮屈さを感じていたという。
それから、外資系を中心に派遣スタッフとして働くようになった。高校生のときにカナダに留学したこともあり、もともと英語が好きだった。さらには雰囲気が合っていたという。
「短期でいくつかの派遣先を経験し、日本の会社より、外資系の方がフラットで自分に合っていると思いました。上司の呼び方ひとつとっても、日本企業は『部長』『社長』ですが、外資系なら『さん』づけ。人間関係もさばさばしていて、フランクな雰囲気が好きでした」
ただ、販売員から事務職となり、最初は苦労もあったという。わからないことは「教えてください」と素直に周囲に聞いていたのだとか。1ヶ月ほどでエキスパートにならなくてはいけないというプレッシャーがあったが、「慣れるまで3ヶ月ほどかかってしまった」と武田さんは言う。
ところが7~8年経つと、周囲の人が求める仕事がわかり、それに合わせて動けるようになってきた。
「自分の仕事だけでなく、その前後に他部署の人がどういう処理をするのか知っておくととても進めやすいです。やり取りする人に『嬉しい』と思ってもらえる動きができると、仕事がスムーズに回っていきます。そのためには、聞くことを大事にしています。『この後どう処理するんですか?』『こちらの方が便利ですか?』など、コミュニケーションを取るんです」
そんな仕事の仕方をしていると、周囲から「気が利く」という評価を受ける機会が増えていくのだという。
ストレスは趣味で発散!
イヤなことがあってもそれほど気に病まないと言うが、それでも辛いことがあれば、趣味で発散している。
「25歳のころから、ボディボードが趣味です。当時お付き合いしていた人がサーファーだったことをきっかけに始めて、当時は毎週のように海に行っていました。楽しいのと、目の前の波に集中するので、イヤなことも全部忘れてしまうんです。海の中でも思い出すほどのことがあったら、それは危険信号。つまり、私のバロメーターになっています」
お付き合いしていた彼と別れたのをきっかけにやめていたこともあったが、2ヶ月ほどすると具合が悪くなってきた。
「海に行っていないから調子が悪いんだ!と思って、一人暮らしなのに車を買い、ひとりで海に通っていました」
そこでサーファー仲間もでき、現在の夫に出会う。今では、小学生の子どもも一緒に海に通っている。
「小さいときから海に連れて行っています。最初は砂遊びからで、小1になった今は浮き輪を持って波に乗っています。子どもによっては海が好きじゃない場合もあるので、うちはラッキーでした」
子どもが小学校に上がるタイミングで、働き方改革を
子どもが小学校に上がるタイミングで、子育てに全力を注ぎたいからと、働き方を見直すことに。会社勤めでは拘束時間が長いうえ、それまで働いていた週3勤務では、思うようにパフォーマンスが上がらないと感じていた。
「息子が小1になる時に45歳だったので、人生あと半分ほどだと考えたんです。できれば好きなことをしていたい。仕事も同じで、できることでお金を稼ぐのか、好きなことで稼ぐのか……。私は収入が減ったとしても、好きなことがしたいと思いました」
ボディボードと並行して、10年ほど前からヨガとピラティスを続けていた武田さん。ヨガやピラティスに行くためには、夫に子どもを任せなくてはならなかった。ところが、これを仕事にすればわざわざ時間を作る必要がない。
ピラティスで長年の腰痛が軽減された経緯があり、ヨガよりも向いていると思った。昨年末に養成コースを受け、晴れて合格。現在は午前中を中心に働いていて、スポーツジムでアルバイトをしながら、ホットスタジオでのレッスンを受け持っている。今後は息子の成長と共に、受け持ちのレッスンを増やしていきたいそう。
「初めてのレッスンでは、終わった後に感極まって泣いてしまったんです。好きなことでお金がもらえて、お客様に感謝してもらえる。やりたかったことを仕事にできたことに感動してしまいました」
常に笑顔でハツラツと話す武田さんは「会うと元気になる」と言ってもらえることが多いのだとか。レッスンでも、参加している方にエネルギーチャージしてほしいと考えている。
「もともと接客業が苦手だと思って辞めたのに、結局、戻ってきた感じがします。結婚、出産、親の面倒など、大変なことがいろいろあっても、働いていて笑顔で人と話せば自分の助けにもなります。笑顔になれる仕事、コミュニケーションを取れる仕事は自分にプラスなんだって思っています」
ピラティスとボディボードのグッズがお気に入り
ピラティスのときに持参するボトルは、夫のアメリカ出張でお土産に買ってきてもらったもの。ペットボトルのように飲みやすいのだとか。麦茶や常温の水を入れている。
レッスンのときのファッションにもこだわりたい武田さんは、好きな色のスモーキーカラーでまとめることが多いそう。自然になじむ感じが気に入っている。
冒頭の写真にも写っているボディボードのフィンは20年前からずっと同じもの。他のメーカーを試してみるも、このフィンに安心感があるのだそう。
「海外にも一緒に行ったし愛着があるんです。でも、ゴムが劣化して硬くなってしまって。そろそろ引退かもと、次のフィンを探しているところです」板は幅が狭いものが好きで、ショップで一番狭いものを購入した。
ライター:栃尾 江美(とちお えみ)