
小澤香織さん(34)は派遣スタッフとして働きながら、心理カウンセラーを目指して学校へ通い勉強している。元々はアパレルの店員だった彼女がなぜキャリアチェンジを考えたのか。心理学を学んで変化したことはあったのかなど、お話をうかがった。
*今回はオンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人より提供いただきました

高校卒業と同時に上京。ファッション系の専門学校へ
学生の頃からお洒落に関心が強かったという小澤さん。高校卒業と同時に上京し、ファッション系の専門学校に進学した。厳格な両親との仲が良好とは言えず、地元を離れて新しい世界を見たいという気持ちも強くあったそうだ。
初めての一人暮らしで小澤さん自身のたがが外れてしまい、勉強がおろそかになった時期もあると言う。3年で卒業の予定が4年で卒業。就職活動をする頃には世の中はリーマンショックの煽りを受け、希望していたデザイナーの求人はほとんどなかったと話す。まずはアパレルの店員をしながら将来を模索することになった。
それから2年。友人との会話がきっかけで、“自分自身がお洒落をすることは好きだけど、人にお洒落を勧めることにはあまり興味が無いのでは…?”と、気づいた。次第にデザイナーへの熱も冷めてしまい、ファッション業界から離れたそう。
心理学を学ぶキッカケは、中学時代のイジメ
現在は派遣スタッフとして働きながら、心理カウンセラーになるために勉強を続けている。子どもの頃から人の心理や行動に興味があり、小学生の頃は雑誌に載っている星占いや性格診断のコーナーを楽しみにしていたそうだ。しかし、心理学を学ぶ理由はそれだけではない。
「中学生のときにイジメに遭っていたんです。大人しくてイジメられるというより、自分の気持ちとそぐわないことには強く反発したり、今思えば言い方もきつかったので周りから浮いていたのかもしれません。団体行動が苦手で運動も不得意。体育の授業で私がミスをすると周りから過剰に責められて…。高校時代も中学のトラウマが残ったままで、あまり記憶がないんですよ。ただ、今となってはそんな経験もどこかで活かせたらと思うようになりました」
これまでも心理学の本を読んだり、講演会に足を運んだりする機会はあったが、徐々に趣味の範囲を超えて、自分自身が心理カウンセラーとして仕事をしたいと考えるようになった。
将来は心理カウンセラーとして独立も視野に入れており、資格取得を目指して学校に入学。週1日就業後に通っていたが、途中からコロナの影響でオンライン講義が中心になった。授業時間に合わせて急いで帰宅したり、間に合わないときはカフェに入って授業に参加したりと、上手に時間をやりくりしている。
心理学を学んで変わった。前向きに捉える考え方
本格的に心理学を学ぶようになってから、今足りているもの・満たされているものにフォーカスして物事を考えられるようになったそう。今までとは、逆の考え方だ。
「両親に対しての考え方も変わりました。親は親で私を育てるのに一生懸命だったことも理解したし、厳しいなりに愛情を注いでもらったと思えるようになりました。両親はいつまでも大事な存在ですが、親には親の、私には私の人生がある。適度な距離感を保ちつつ、一人の人間として改めて尊重したいと思うようになったことは大きいですね」と穏やかに語った。
また、友人に対しても以前は過干渉だったが、今は相手を変えることは出来ないこと、まずは相手の意見を受け入れることなど、人間関係に対しても変化が起きているようだ。
ステイホーム中にも思わぬ発見
通学中に発令された緊急事態宣言も、小澤さんにとっては、思わぬ発見に繋がった。
「以前は常に予定が入っていて、多忙でイライラしたり、偏頭痛がしたり、それでもいつも動いていないと気が済まないと思っていたんです。でも外出自粛によって自宅で過ごす時間が増えていくと、意外なことに家でゆっくり過ごす時間がとても居心地が良くて。気持ちが穏やかになって体調を崩すこともなくなってきました」
緊急事態宣言が解除され久しぶりに外出したときには、実は人混みが苦手なことにも気付いた。改めて、自分自身が居心地良くいられるためには、しっかりと休みをとること。オンとオフのバランスが大切だとわかった。今は、趣味のヨガ教室に通いながら、家で過ごす時間も大事にしているそうだ。
今後は学校で学んだ心理学の勉強を深めつつ、ブログの更新や将来の独立の準備を進めている。
「ゆくゆくは本を出版したり、1対1というより大人数の前で講演会が出来るようになりたいですね」上京したときと目標は変わっても、小澤さんの「新しい世界を見てみたい」と思う気持ちはこれからも変わらず原動力となるのだろう。
新しい自分に出会えた眼鏡
「元々眼鏡が苦手で避けていましたが、眼鏡屋さんで働いている友達がセレクトしてくれた眼鏡がとても素敵で…!眼鏡を掛けて街に出てみると、知らない方まで“素敵な眼鏡ですね”と声をかけてくださり嬉しくなりました」。自分でもこういうお洒落が楽しめるんだと新たな発見だったそう。
腕時計も毎日愛用している。今通っているヨガ教室は時間制でスケジュールが組まれており、時間にも敏感になったそうだ。「以前は携帯で時計を見ていましたが、ブレスレットのようにも見える時計に惹かれて大事に使っています」
イヤリングやピアスは密かにキャラクターのものを楽しんでいる。「厳しくない職場ではたまにつけていきます。元々キャラクターものが好きで、アクセサリーも集めています」
ライター:松永 怜(まつなが れい)