「自分が病気になるなんて思ってもいなかった」と言う松井久美子さん(42)が、突然入院することになったのは2年前。国の指定難病で、退院後も薬を飲みながらずっと病気と付き合っていくことになる。以降、体に負担のない働き方を心掛けるとともに、周囲の友人のありがたみがわかるなど、生きる上での意識が変わったそう。そんな松井さんの心がけや病気のこと、日常の楽しみなどを聞いた。

*今回はオンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人より提供いただきました

生きるために働く。民間より学校法人が向いていた

大学卒業後からずっと学校法人の事務職として働いていた松井さん。数年前にはじめて民間企業へ派遣スタッフとして勤めることになり、カルチャーショックを受けたという。

「民間企業は利益を求めているからか、バリバリ働く人ばかり、という印象を受けました。これまであまり使わなかったExcelなどのパソコンスキルや資格を活かす機会があったのはよかったのですが、『置いていかれそう』という焦りも……。自分から話しかけて、周囲の人にいろいろ聞くようにしていました。人に話しかけるのはあまり得意ではなく、なじむまでに1~2か月ほどかかった気がします」

学びは多かったものの「ひとりでコツコツと仕事をするほうが向いている」という松井さんは、その後また学校法人の事務職へ戻る。現在は自分に合った環境で仕事ができているそう。

「これまでは、経営や広報、教務課などいくつかの部署を経験しました。広報など、人とのコミュニケーションが大事な仕事は自分には向いていない気がしました。今は経理担当として、請求処理のミスを指摘することも多いため煙たがられる場面もありますが、きちんとルールに則って細かくチェックしています。分厚いマニュアルを覚えるのは毎回大変ですが、それほどストレスには感じません」

仕事に楽しさを求めるのではなく「生きるために働いている」と割り切っている。とはいえ、仕事にやりがいはある。

「『いつも丁寧に仕事をしてくれて助かる』と言われたり、お手伝いした学生さんたちが無事卒業していく様子を見たりするのは嬉しいです」

病気になってはじめて、いろいろなもののありがたみがわかった

穏やかに仕事をしていた松井さんに大きな出来事があったのは2年前。病気が発覚し、すぐに入院することになった。

「体の不調が続いていて、健康診断の結果も悪かったのですが、仕事が忙しくて放っていました。まさか病気になるとは思わず、自分を顧みなかったのがよくなかったんだと思います。3か月ほど入院することになり、収入がゼロになってしまいました」

ひとり東京で暮らしている松井さんにとって、収入が途切れるのは大きな不安が伴う。さらには、自分の体が思うように動かず「いつ死ぬかわからない」という気持ちにもなった。

「それまでは無難に日常を過ごしていて、自分からはあまり行動を起こさないでいました。病気になってはじめて『後悔のないように生きなきゃ』という意識になったんです。優しい言葉をかけてくれた友だちに、会えるうちに会いたいし、感謝の気持ちも伝えたい。また、健康に気を付けるようになりました。入院中は今後のことがとても不安でしたが、今は吹っ切れて、毎日自分から動くようにしています」

大好きなスイーツやヨガでリフレッシュ

「女性だったらみんな好きなんじゃないか」と松井さんが信じて疑わないのがスイーツ。病気になる前からずっと好きなのだそう。

「病気になって糖質制限があったらどうしようと思いましたが、医師によると『糖質を取ったほうがいい』とのこと。神様が残してくれたんじゃないかと感激しました。スイーツは見た目がかわいいし、味も甘くておいしい。さらにお店の雰囲気なども好きで、エネルギーの源ですね。仕事の合間にほぼ毎日食べますし、お店に行くのも好きです」

スイーツ好きが高じて「スイーツコンシェルジュ」の資格も取得。勉強が好きなので楽しかったそう。少し前は、バレンタインに合わせたチョコレートのイベントで数万円ほど使ったことも。スイーツは松井さんの生きる活力のひとつになっている。

そのほか、最近はヨガがお気に入りだ。

「以前も習っていたのですが、数か月くらい前に再スタートしました。平日と土日で、週3回くらい通っています。3歳からバレエを習っていて体が柔らかいので向いていると思ったのと、健康に良さそうなのがはじめた理由です。普段じっくり考える時間が取れないので、ヨガで瞑想や振り返りができて、いいリフレッシュになっています」

今は退院後の体力回復の時期として仕事をセーブしているが、いずれ責任のある仕事もしていきたいと言う。

「今は派遣スタッフとして働いていますが、もう少し健康管理ができたら契約社員として働きたいです。今までの仕事が活かせる職場に勤めたいですね」

また、バレエを再開するのもひとつの夢。妖精のように人間らしからぬ美しさが魅力で、現実世界から離れられるのが好きなのだとか。

健康を第一として、自分から友人に連絡をしたり、新しい活動をしたりと、病気をきっかけに新たな人生を歩んでいる松井さん。その中で見つけていく価値観で、これからの人生を充実させていくのだろう。

スイーツは自分で手作りも!

スイーツは食べ歩きのほか、自分で手作りも。クッキーやマカロンなど、多めに作って職場に持っていくこともある。友人から祝ってもらった誕生日では、普段ホールケーキを食べることがないので特に嬉しかったそう。(一番上の写真)
3歳から15年ほど続けていたバレエは、社会人になってからも5年ほど続けた。ほかにも、漫画やヨガ、ベリーダンス、ネイルなどの時間が松井さんの癒しなのだそう。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)

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