週に4日、インテリア関連会社で派遣スタッフとして働く高橋ゆかさん(49)。併行して、モロッコ雑貨の輸入卸業を立ち上げた。二足のわらじ、しかも一方は「自営業」。大変なことも多いだろうと思いきや、「双方にとっていいことだらけ。無駄がありません」とたくましい答えが返ってきた。自ら事業を立ち上げた背景やいまの働き方に寄せる思いを、じっくり聞いた。

*今回はオンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人より提供いただきました

オリジナルのモロッコ雑貨を、企画から手掛ける

高橋さんが輸入卸業を始めたのは2017年の8月。扱っているのは、バブーシュ、ラグ、かごなど、メイドインモロッコの雑貨だ。輸入といっても、既存の商品を買い付けているわけではない。アパレルブランドやインテリアショップなどのクライアントに提案しながら企画したオリジナル品を、モロッコにいる日本人コーディネーターを通して専用の工房で製作している。

個人事業主としてスタートし、2020年6月には法人化。合同会社の代表兼社員として、あらゆる業務をこなしている。

「企画や商談はもちろん、会計処理から消耗品の管理、ポップアップショップが開催されるときには出荷や荷受けも全部自分でやります。20代はずっと経理事務をやっていたので数字にはまあまあ強いし、小学校から体育会系でずっと鍛えてきたので体力にも自信がある。スキルも人脈も、これまで培ってきたものを総動員している感じです」

転機は突然に。「あ、これやー!」

高橋さんは、なぜ起業を思い立ったのか。なぜ、モロッコ雑貨だったのか。

「30歳を前にしたとき、自分はどうあるべきかを考えたんです。振り返れば、それがそもそもの始まりでしたね」

学校を卒業して以来、事務の仕事一筋。とくに疑問をもつこともなかったが、ふと立ち止まってみると、自分がステップアップしていく道筋が見えてこなかった。

「このままでは沈んでしまいそう。そんな風に思ってしまって」

私にしかできないこと、私が本当にやりたいことは何なのか……。悶々とする日々が続いた。

転機は思いがけずやってきた。当時通っていたオフィスの近くで受け取った1枚のチラシ。インテリアスクールの生徒募集広告だった。

「渡された瞬間、あ、これやー!って。このことがホントはしたかったんやーって。そのときの映像、今でも鮮明に覚えています」

それまでもインテリアには人一倍関心があり「インテリアコーディネーター」の資格が気になった時期もあったが、踏み切るきっかけがないまま忘れていた。その記憶が呼び起こされたのだ。

「今なら生活を心配せずに学校に通えるかなと思ったんです。それで、派遣スタッフとして働きながら週2回スクールに通うことにしました」

スクール修了後、晴れてインテリア業界に転職。キャリアを重ねるなか、入社したひとつが、モロッコ雑貨を扱う商社だった。高橋さんは、モロッコ在住の社長に代わり、責任者として業務を任される。この時にモロッコ特有の商習慣や会社を回すノウハウを学んだことが、いま存分に活かされているという。

「独立を考えたのは、40代半ば。50歳を見据え、もう一度自分を見つめ直したとき。がんばればがんばるほど結果が返ってくる自営という働き方がいいなと思えてきたんです。以前の仕事で関わりのあった方からお仕事の依頼もいただき、決意しました」

料理や入浴で、上手に気分転換するのがコツ

一方、高橋さんは、起業と同時にリクルートスタッフィングのサービス「ZIP WORKにも登録した。「幸い、インテリア関係の派遣先がすぐに見つかり、精神的に安心材料になりました」と振り返る。

ZIP WORKとは“限られた時間で専門的な知識やスキルを活かす”リクルートが提案する新しい働き方。リクルートスタッフィングでは、派遣というワークスタイルでZIP WORKを推進しています。

「生活が安定していないと、商売も思いきりはできません。ある程度きちんと生活できる収入を派遣スタッフとして確保できるので、自営のほうで少々お金を使ってしまったとしても人に迷惑をかけることはない。そう思うと、冒険ができるんです」

平日18時に派遣スタッフの業務を切り上げたら、そこからが会社代表としての時間。ただ、料理をしたり入浴したりと、必ず気持ちを切り替える時間を設けている。

「コロナ前は通勤時間に切り替えができていたのですが、派遣の仕事も在宅になり、気分転換がうまくできなくなってしまったんです。それで、いったん仕事から離れてまったく違う脳みそを使うようにしたらリズムが戻った。今はこのスタイルに落ち着いています」

ときには日をまたいで仕事をすることも。

「自分次第だから“終わり”がないんです。やりたいと思うこと、やらなきゃいけないことはいくらでもある。よく『高橋さんは24時間営業だね』なんて言われます。でも、疲れて何もしない日もあるし、ちゃんと遊びに出かけたりもしていますから、安心してください」

改めてモロッコ雑貨の魅力を問うと、「手仕事ならではのあたたかみですね」と高橋さん。独特の風合いやぬくもりのあるモロッコの雑貨をトレンドに合うようにアレンジするのが得意。現地に雇用を生み出しているという手ごたえも、やりがいにつながっている。

「一番お伝えしたいのは、私の場合、派遣と自営の両立で双方によい効果が出ていること。派遣スタッフとしての職場では、ひとりではむずかしいスキルアップの機会に恵まれていますし、逆に、自営で得た知識や情報を派遣先で活かすこともできる。何も無駄がないし満足感が倍になっている気がします」 

迷いのないポジティブな言葉を聞いていると、ひとつの働き方にとらわれる必要はないんだ、自分なりの働き方があるんだと、力が湧いてくる。

大阪生まれで「関西人らしい関西人」を自認する高橋さん。「この働き方、本当に損がないからおすすめ!そんな風に言うと、いかにも大阪人ぽいですか?」と、茶目っ気たっぷりの笑顔を見せた。

こだわり抜いて選んだ調理器具2点

食べることも料理も大好き。食卓には、煮物のような和食もがっつり系も。ふつうの食材で手間なくおいしく作るのがモットーだ。

今お気に入りの調理器具は、バルミューダのトースターとティファールの電気圧力鍋。パン屋巡りを趣味とするほど、パンが好きで、このトースターは「ぜいたくにも」パンを焼くためだけに使っている。「劇的にパンがおいしく焼けて感動します」

電気圧力鍋は、時短になるし、材料を入れたら放っておけるので重宝している。どちらも吟味に吟味を重ねて購入したから、人にも熱くすすめてしまうそうだ。

「料理は集中できるのがいいですね。その途中でいいアイディアが浮かんだりする。気分転換といっているのに、結局仕事のことを考えちゃうこともあるんですよ」

ライター:高山 ゆみこ(たかやま ゆみこ)

SPECIAL SITE
ABOUT

あなた「らしさ」を応援したいWorkstyle Makerリクルートスタッフィングが運営する
オンラインマガジンです。

JOB PICKUPお仕事ピックアップ

リクルートスタッフィングでは高時給・時短・紹介予定派遣など様々なスタイルの派遣求人をあつかっています

Workstyle Maker

『「らしさ」の数だけ、働き方がある社会』をつくるため、「Workstyle Maker」として働き方そのものを生み出せる企業になることを目指しています。