小中学生3人の子どもを育てながら、デザイナーの専門学校で講師として働き、フリーランスのデザイナーとしても活動している横川梨恵さん(43)。第一子を出産したあと、10年ものブランクがあり、その後コツコツとキャリアを取り戻してきた。一時は子育てをしながら頑張りすぎて体調を崩したこともあったが、その後は自分のペースでやりたいことを成し遂げている。そんな横川さんに、これまで歩んできた道、これからの将来像をうかがった。

*今回はオンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人より提供いただきました

10年のブランクのあとは、クラウドソーシングからスタート

専門学校を出て、印刷会社の営業やデザイン事務所、広告代理店と、デザインだけでなく、その周辺である印刷や営業、クライアント対応などにも幅広く取り組んできた横川さん。「方向性を決め、デザイン、印刷をしていくという一連の流れを経験したかった」という、願望通りのキャリアを着実に歩んでいった。

第一子が生まれたのを機に子育てに専念し、3人の子どもに恵まれる。その間もデザインの仕事を受けつつ10年ほど経ったころ、デザイナーの仕事を本格的に再スタートした。

「クラウドソーシングのプラットフォームを使って、個人で仕事を少しずつ受けるようになりました。作品がある程度溜まってから、それを実績として、インハウスデザイナー(社内デザイナー)の派遣スタッフとして週に3日ほど働き始めました。しばらく働いてから、違う仕事も検討しようと退職を申し出ると、『正社員になってほしい』と引き留められ、週5日の時短勤務に。ところが、通勤時間が長く、家庭のこともあり、キャパオーバーで体を壊してしまったんです」

朝は三男を認定こども園に送り、仕事が終わると急いで迎えに行く。帰宅後には食事作りや長男次男の宿題を見て、風呂や寝かしつけ……。「他のお母さんもやっているんだからできなきゃダメだ」という思い込みがあり、頑張りすぎてしまったのだそう。

専門学校の講師としてスタート。学生の成長が一番のやりがい

体調を崩して退職したあと、横川さんが選んだのは講師業。フリーランスデザイナーとしての仕事も無理のない範囲で受けつつ、専門学校の講師として、これまでの経験を活かしてグラフィックデザインなどを教えている。

「きっかけは、インハウスデザイナーをしていたときに、新人教育を任されたこと。『わかりやすい』と評判がよかったようなんです。他の部署の教育も任されるようになり、自分でも教えるのがとても面白かった。今度は教える側にチャレンジしてみようと、講師の募集をネットで探してみました。タイミングよく週2~3日勤務くらいから無理のない範囲でできそうな仕事が見つかり、今は一番力を注いでいます」

学生の中心は、18~20歳前後。入学前に「MacBookすら触ったことがない」という人も少なくない。ましてや、デザインツールの「Illustrator」や「Photoshop」も同様だ。

「若い方の1年って、ものすごく成長の幅が大きい。デザインに触れたこともない学生さんが、1年後に作品を発表すると『ここまでできるようになったんだ』と感動します。私が教えたことが成長の役に立ったかもしれないと思うと、大きな喜びを感じます」

横川さんが教えるときに心がけているのは、相手に敬意を払うことだそう。講師と生徒は、人として上下があるわけではない。

「具体的には、相手の目になるようなイメージを持っています。相手から見えている世界を想像するんです。それは、子育てがとても役に立っているかもしれません。急に泣き出したり、怒り出したり……。相手の目になって世界を見て、『これが嫌だったんだね』『これが嬉しいんだね』と読み取ってあげる。そんな力が培われてきたのだと思います」

講師をしている横川さんを、子どもたちは誇らしく感じているのだろう。「うちのお母さん、学校でデザインを教えているんだよ」と友だちや先生に自慢することもあるという。子どもたちを学校の文化祭や学園祭、デザイン展に連れて行くことも多いため、おそらく間接的にでも、母の仕事を感じ取っているに違いない。

プライベートでは、趣味としてハンドメイド作家活動も

趣味はもっぱら読書。電子書籍も読むが、紙の質感や装丁のデザインが好きで本をたくさん買ってしまうのだとか。

「長くとっておきたいものは紙の本で買うようにしています。やはり、デザインや印刷系の本が多いですね。発行部数が少ないのか、絶版になりやすい気がしていて、いいと思ったらすぐに買うようにしています。朝起きてすぐや移動中、子どもたちが寝たあとなどに読むことが多いです」

他にも、ハンドメイド作家として、作品を販売できるプラットフォームを通してお店を出している。レトロなデザインの「御薬手帳」や「御朱印帳」などが人気だ。

今のライフスタイルを振り返り、横川さんはこう語る。

「女性の場合は、妊娠や出産があり、キャリアデザインがライフデザインとほぼイコールでつながっていると思っています。若いころは『育児も仕事もできる女性』を目指して頑張りすぎていましたが、40代になってバランスのとり方がようやくわかりました。これからやりたいことは、デザインの学びなおしです。ほとんど独学でやってきたので、基礎からしっかり学びたい。また、講師の立場としても盗めるところがあるんじゃないか、と期待しています」

ひとめぼれしたコーヒーカップとともに

横川さんが愛用しているのは、仕事やプライベートに欠かせないMacBookと、お気に入りのカップ&ソーサー。「一目見て『あった!』と思いすぐに買いました。一目惚れに近いです。きれいすぎず、素朴な感じが気に入りました。いつもコーヒーを入れて飲んでいます」

コーヒーを飲む量は多く、「中毒かと思うくらい」なのだとか。「怖いから数えないようにしている」と言う、チャーミングな一面も見せてくれた。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)

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