Excelの困りごとを解決するこのコラム。

今回の困りごと:IF関数をイマイチ使いこなせない

IF関数、複数条件になると急に難しく感じる…。そんな声にお応えして、今回は「使いこなすためのコツ」をやさしく解説します。

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IF関数をイマイチ使いこなせない…

IF関数で条件分岐ができることはわかるんだけど、複雑な処理になるともう無理…。

このようなご相談は、IF関数の基礎は理解できたんだけど実務でイマイチ使いこなせない…という段階の方からよくいただくご相談です。

そこで今回は、IF関数の基礎を学んだあとに押さえておきたい応用技を見ていきましょう。

▼IF関数の基礎はこちらから。「論理式」「真」「偽」「返す」などの用語も解説!

【1】複数の条件分岐「かつ」「または」

たとえば、

営業成績の評価を自動で出したい。売上が100万円以上かつ、新規契約が5件以上の人は「A」、そうじゃない人は「B」にしたい。

もしくは、

商品カテゴリーごとに割引対象か対象外かを自動で出したい。商品カテゴリーが食品か、または日用品だったら「割引対象」、そうじゃなければ「対象外」にしたい。

このように、

・かつ
・または

といった言葉を使って説明されるような、複数の条件を判定して分岐したいときは、どのようにすればよいのでしょうか。

このような複数の条件を判定するときに必要になるのが

AND関数
OR関数

の2つです。

これらは複数の論理式を使って、複数条件の真偽を判定することができる関数です。

「AND関数」「OR関数」とは?

一般的にも「AND条件」「OR条件」という言葉があります。

AND条件
すべての条件が満たされたときに「真」になる条件

OR条件
どれか一つでも条件が満たされれば結果が「真」になる条件

ということになります。

ではここでExcelのAND関数とOR関数の書式を見てみましょう。

■AND関数の書式

■この関数の機能
括弧内に指定した論理式の結果が、
・すべてTRUEだったらTRUEを返す
・一つでもFALSEになるならFALSEを返す

■例
B2セルが100万以上、かつ、C2セルが5以上であるという条件を満たしているかどうかを確認する場合。

「AND関数の式の結果がTRUEになれば条件を満たしている」ことが確認できます。

■OR関数の書式

■この関数の機能
括弧内に指定した論理式の結果が、
・一つでもTRUEだったらTRUEを返す
・全部FALSEだったらFALSEを返す

■例
B2セルの値が「食品」または「日用品」のいずれかであるという条件を満たしているかどうかを確認する場合。

「OR関数の式の結果がTRUEになれば条件を満たしている」ことが確認できます。

複数条件で分岐するIF関数は、このAND関数やOR関数を論理式に指定することで実現できます。

IF関数×AND関数の使い方「かつ」

では冒頭に提示したようなケースの場合、どのような関数式になるのか見てみましょう。

営業成績の評価を自動で出したい。売上が100万円以上かつ、新規契約が5件以上の人は「A」、そうじゃない人は「B」にしたい。

この場合は次のような式になります。

IF関数の第一引数の論理式にAND関数を使うことで、AND条件の括弧内にある複数の論理式がすべてTRUEになる場合は「A」、そうじゃない場合は「B」を返す、という式になっています。

IF関数×OR関数の使い方「または」

次に、

商品カテゴリーごとに割引対象か対象外かを自動で出したい。商品カテゴリーが食品か、または日用品だったら「割引対象」、そうじゃなければ「対象外」にしたい。

という場合は次のような式になります。

IF関数第一引数にOR関数を使っています。つまり、OR関数の括弧内にある論理式のうち、一つでもTRUEになる場合は「割引対象」、そうでない場合は「対象外」という値を返す式になっています。

【2】複数の条件分岐「もしAなら●、もしBなら■、それ以外は…」

次に「お客様の会員グレードによって割引率を変えたい」というケースにて、そのルールが

会員グレードがAなら割引率は20%
会員グレードがBなら割引率は19%
会員グレードがそれ以外なら割引率は18%

という場合。つまり、

会員グレードという条件によって、返す値を20%、19%、18%の3つに返す値を分岐させたい。

ということです。

次のように複数のIF関数を組み合わせた式で対応することができます。

例えばB2セルに会員グレードが入力されている場合、

IF関数の第三引数の「偽の場合」のところにもう一つのIF関数を組み込んでいる式になっています。

「もう一つのIF関数を組み込んでいる式」とは?

式は長くなり、複雑そうに見えますね。そこで、先ほどの以下の式を日本語に訳してみましょう。

B2セルの値がAだったら20%、そうじゃなかった場合、B2セルがBだったら19%、そうじゃなければ18%

という内容になります。

このように、結果を3つ以上に分けたい場合は上記式のように複数のIF関数を組み合わせる書き方が使われます。

そして、このように複数の関数を組み合わせることを「ネスト」といいます。

しかし、このネストも、やりすぎると式がとんでもなく長いものになり、解読やメンテナンスに支障をきたすケースがあります。

「メンテナンスに支障をきたすケース」とは?

たとえば先ほどの会員グレードごとに割引率を変えるというケースにて、次のようなルールだったらどんな式になるでしょうか。

会員グレードがAなら20%
会員グレードがBなら19%
会員グレードがCなら18%
会員グレードがDなら17%

つまり、

会員グレードAの20%から会員グレードTの1%まで1%刻みで割引率を減らしていきたい。

ということです。

たとえばD2セルに会員グレードが入力されている状態で、先ほどのIF関数のネストを使った式でこの処理を書こうとするとこんなに長い式になってしまいます。

これでは、他の人が読むのも大変ですし書いた本人ですらメンテナンスが極めて困難になってしまいます。

Excelの実務ではあまりに長くて難しい式は避けたほうが賢明です。

「長くて難しい式」になってしまったときは

ではこのように、分岐が多数に渡るときはどうしたらいいのか。

このようなケースで活用していただきたいのが、「決定表を用意してVLOOKUP関数で済ませる」という考え方です。

条件分岐を全部IF関数の中に詰め込むのではなく、まずこのような「決定表」と呼ばれる表を用意します。

この決定表を参照するVLOOKUP関数なら、こんなに短い式で済ませることができます。

「条件分岐の数が増えてきたら、IF関数でなくVLOOKUP関数」というのは多くの現場で活用されている、式をシンプルにするための優れた工夫です。ぜひ覚えておいてください。

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コラム執筆:吉田 拳さん

Excelの効率化支援を行う株式会社すごい改善代表取締役。実務直結主義のExcel研修を2011年から14年間に渡り500回以上開催、受講者は1万名を超える。著書『たった1日で即戦力になるExcelの教科書』『たった1秒で仕事が片づくExcel自動化の教科書』(技術評論社)など累計50万部を突破。

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