
このコラムでは、日々の仕事の中で感じやすい悩みや不安に対して、心理学の視点から「自分でできる、心を整えるヒント」をお届けします。
今回は、「仕事・緊張モードを抜け出したいとき」に役立つセルフケアについてご紹介します。
無理に頑張るのではなく、自分に合ったペースで働くための小さな工夫を、一緒に見つけていきましょう!

福岡出身。臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員・精神保健学分野 客員研究員。大学院時代は「怒り感情」をテーマとした研究に従事。専門は産業精神保健(職場のメンタルヘルス)であり、心理学の知見をもとに、ストレスマネジメントに関する講演、企業の組織的なストレス対策に関するコンサルティング、執筆活動を行っている。著書は『感情の問題地図』『モチベーションの問題地図』(技術評論社)など。
頑張ってきた方ほど「なんとなく疲れがとれない」
新年度が始まってから数ヶ月が経ち、就業先や環境の変化に少しずつ慣れてきた頃ではないでしょうか。
最初は新しいやり方を覚えたり、変化についていくのに注力していたところから、少し余裕が出てきたという方も多いかもしれません。
一方で、こんな感覚はありませんか。
「なんとなく疲れがとれない」
「気が張っていたのか、肩や首がこっている」
「気力が出づらいように感じる」
環境の変化に早く慣れようと頑張ってきた方ほど、疲れが溜まっている時期です。
その疲れは「自律神経」が関係しているかも?
「自律神経」という言葉を聞いたことがある方もおられるかもしれませんが、私たちの身体には交感神経と副交感神経の2種類の自律神経が働いています。
■交感神経
仕事をしているときは、「交感神経」が優位に働く緊張モード
■副交感神経
休んでいるときや、睡眠をとるときは、「副交感神経」が優位に働くリラックスモード
仕事に集中するとき、ゆったり休息するとき、この2つのモードを行き来しながら、健やかに働いています。
ただ、環境変化のタイミングでは、交感神経優位の「仕事・緊張モード」が続いて、家でもゆっくりと休めなかったり、休息が十分にとれなくなることがあります。
そんなときには、副交感神経が優位の「リラックスモードに切り替えるスイッチ」を押してあげることがおすすめです。
仕事・緊張モードから、抜け出すには?
「切り替えるスイッチ」というと、難しそうに思われるかもしれませんが、私たちが絶え間なくしている「呼吸」に少し工夫を加えるだけで、自分で自分をリラックスモードに導くことができます。
■仕事・緊張モードから、リラックスモードに切り替える呼吸法
座って行う場合には、背もたれには寄りかからず、腰を立てて座ります。仰向けに横になって、行っていただいてもよいでしょう。
【1】まずは息をしっかり吐き切るところから始めていきます。
【2】鼻からゆっくり息を吸ったら、1秒ほどの間をとります。
【3】口からゆっくりと息を吐きます。このときに「はぁっ」と一気に吐き切るのではなく、「ふーーーーっ」と細く長く吐くことがポイントです。息を吐いているときに、身体から少しずつ力が抜けていきます。
【4】吐き切ったら、また1秒ほどの間をとって、次の息を鼻から吸います。
【5】はじめに戻り繰り返していきます。3~5分ほど続けていただくのがおすすめです。
■Check
おおよそで構いませんが、息を吸うときの倍の時間をかけて、ゆっくりと吐くイメージです。
たとえば、「1、2、3」と3カウントで吸ったら、「1、2、3、4、5、6」と6カウントで吐きます。
肺活量は人それぞれなので、無理のないペースで構いません。
息を吐くたびに、肩の力、顔の力、背中の力などが少しずつ抜けていき、身体がゆったりとリラックスしていきます。
1日の仕事終わりのタイミング、寝る前、休日の朝など、リラックスしたいというときに活用してみてください。
ふっと一息入れたあとに見えてくるもの
ふっと一息入れて、ゆるんだ状態でいると、仕事のことも、心理的に距離をとって、振り返ることができます。環境の変化に慣れてくるタイミングだからこそ、見えてくるものもあります。
たとえば、
・最初よりできるようになったこと
・周囲との関係で見えてきた自分の役割
・自分なりに工夫しているポイント
などにも目を向けてみてください。ご自身の成長や、強みに注目して振り返ると、自然と前向きなエネルギーが湧いてくるものです。
■今回の「はたらくに役立つセルフケア」
仕事・緊張モードから、リラックスモードに切り替える呼吸法
■こんな活用シーンも!
リラックスしたいときだけでなく、仕事でミスをして、頭が真っ白になってしまった、というときなどにも使っていただくと、落ち着きを取り戻せて、そのあと冷静に対応することができるようになります。
※体調不良や強い不安が続く場合は、無理をせず、医療機関や身近な相談先に相談してください。







