エピソード 2

労働者派遣法は、
こうやって改正されてきた!

解説

1985年に制定された派遣法が幾度か改正されてきたことについては、前回触れました。改正に大きく影響を与えたのが、日本経済の変化です。
1990年代初頭のバブル経済崩壊により、日本経済は低成長期に入ります。
企業は日本型雇用により固定費化していた正社員に代わって、非正規雇用や外部人材(派遣労働者を含む)の活用を進め始めました。
政府も派遣の活用を広げるための規制緩和を進め、派遣対象業務が拡大しました(26業務、自由化業務、製造業務、紹介予定派遣など)。
しかし、2008年のリーマンショックにより、製造業を中心に“派遣切り”“雇止め”などが大きく報道され、社会問題化する現象が巻き起こりました。 
その結果、規制強化に舵が切られ、 2012年から2015年にかけて、派遣労働者の保護、キャリア支援、派遣期間制限の見直しなどを目的とした2回の法改正が行われました。
こういった日本経済の変遷に合わせて、派遣法はその都度見直されてきたのです。
以下、過去の改正を簡単に振り返ります。

  • 1996

    派遣対象業務が専門的な知識・技術・経験を必要とする26業務へ拡大 など

    (ちなみに、1985年に13業務だったものが、1986年に16業務へ拡大)

  • 1999

    ・派遣対象業務の原則自由化(ただし、建設、港湾運送、警備、医療、士業、物の製造業務は禁止)

    ・26業務以外の業務(自由化業務)については派遣期間を1年間に制限

    ・紹介予定派遣(派遣から職業紹介を経て直接雇用化)の仕組みも法定化 など

  • 2003

    ・自由化業務の派遣期間の上限を1年から最大3年に延長

    ・製造業務への労働者派遣解禁 など

  • 2012

    ・日雇い派遣の原則禁止

    ・離職後1年以内の労働者を元の職場へ派遣することを禁止 など

    また、法律の名称にも「派遣労働者の保護」が加わりました。

  • 2015

    ・業務による期間制限を廃止し、事業所単位および個人単位(組織単位)での派遣期間制限(上限3年)へ変更

    ・派遣元に派遣労働者の雇用安定措置の義務化

    ・派遣労働者のキャリアアップ支援強化 など

このような法改正は、その時々の経済政策における必要性に応じて行われてきました。
2020年の派遣法改正も、政府が推進する経済政策である「働き方改革」の一環です。
「働き方改革」では、雇用形態に関わらない公正な待遇を実現し、全ての労働者が能力を発揮しながら長期にわたって活躍できる環境を整備することを目指しています。
派遣労働者については、就業先は派遣先であり、待遇に関する派遣労働者の納得感を考慮するため、派遣先の労働者との均等(差別的な取り扱いをしないこと)、均衡(不合理な待遇格差を禁止すること)がポイントとなります。

2020年の働き方改革や派遣法改正については、次回以降で詳しく説明します。

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