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【イベントレポート】時給を上げ、引く手数多のエンジニアになるために必要なことを知ろう

株式会社リクルートスタッフィングが運営するITSTAFFINGでは、弊社に派遣登録いただいている皆さまのスキル向上を支援するイベントを、定期的に開催しています。

2019年1月11日のイベントでは「『自分らしい働き方』を貫くための武器を手に入れる!〜単価を上げ、引く手数多のエンジニアになるために必要なこと〜」と題して、書籍『ITエンジニアのための【業務知識】がわかる本』の著者である三好康之さんを講師にお迎えし「業務に関する知識」という切り口から見たエンジニアの将来のキャリアについて解説していただきました。

■今回のイベントのポイント
・ITエンジニアにとっての壁
・SEからコンサルタントへ
・業務知識の学び方
・これからのキャリア形成について

【講師プロフィール】
三好 康之さん
株式会社エムズネット代表。大阪を主要拠点に活動するITコンサルタント。本業の傍ら、ITエンジニアに対して、資格取得講座や階層教育を担当している。保有資格は、情報処理技術者試験全区分制覇(累計30個,内高度系23個)をはじめ、ITコーディネータ、中小企業診断士、技術士(経営工学)、販売士1級など多数。著書も『勝ち残りSEの分岐点』、『ITエンジニアのための【業務知識】がわかる本』、『情報処理教科書プロジェクトマネージャ』(以上翔泳社)他多数。

ITエンジニアにとっての壁

企業では「売上アップがしたい」という一方で「労働時間は短縮させたい」という大きな矛盾を抱えています。

この問題を解決し、生産性を高める方法こそがITです。実際に、今では経理・財務はもとより、人事、生産、販売など、企業のあらゆる活動にITのシステムが入り込んでいます。しかし、現場の諸課題を解決するためには、ITの知識と業務の知識を兼ね備え、さまざまな改善提案が行えるITコンサルタントが必要になります。

多くの場合、企業が売上向上を図る際に、経営者はタスクフォースを結成して臨みます。

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▲企業が売上向上を図る際に結成されるタスクフォースの例

エンジニアは、単なるシステム発注先ではなく、ITコンサルタントとして、こうしたタスクフォースに加わり、リードしていくべきなのです。

SEからコンサルタントへ

SEからITコンサルタントになれれば、単価が上がる可能性が高いのはもちろん、それ以外にも時間が自由になる、経営者から感謝されるなど、仕事の進め方もやりがいも大きく変わります。

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▲SEからITコンサルタントになることで時間が自由になり、感謝されるなど、仕事の魅力も増える

そのための重要な要素について、三好さんは次の2つを挙げます。

・資格
・業務知識

たとえば情報処理技術者の資格には、プログラミングの力を問うものがあります。プログラミングの知識・経験は、コンサルタントにとって大きな強みになります。

「直接プログラムを作成するわけではなくとも、コンサルタント同士の間でのチカラ関係に影響します。プログラムの中身まで見据えられるとして一目置かれる立場になります」(三好さん)

「自分はプログラマではない」という方や「最新のプログラミング言語の知識はない」という方もいるかもしれませんが、三好さんによれば、それでも強みになるのだそうです。

「昔ながらのプログラミング言語を使っている人も、運用フェーズやサポートで関わっている人も、アレルギーがない分、チャンスが広がります」(三好さん)

最近ではパッケージソフトウェアを使ったり、主要サービスのAPIを組み合わせたりしてシステムを構築することも増えており、プログラミングをしないことも多いでしょう。だからこそ、重要になるのは業務知識なのだと三好さんは力説します。実際に、SAP社のERPパッケージソフトが日本に上陸し始めたとき、その導入の仕事を一番多く手掛けたのは、エンジニアではなく公認会計士だったそうです。それは、経理・会計等の業務に最も詳しい立場にいたからです。

業務知識の学び方

では、そもそも「業務知識」とは何なのでしょうか。そして、どのように知識を身につけていけば良いのでしょうか。

三好さんによれば、業務知識はその存在理由などから4つのレベルに分けられ、そのレベルに応じて学んでいくとよいそうです。

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▲4段階に分けられる業務知識のレベル

まずはレベル1の法律で決められている業務。これは、企業としては腰が重い業務であり、したがって、業務の効率化が大きな課題解決になるのだそうです。法律に強いのはタスクフォースの中で言えば弁護士さんで、基本はともかく、法律の詳しい知識で弁護士を超す必要はありません。要するに、弁護士さんと普通に話ができればよいということです。

次に、レベル2のISOやJISで決まっている業務。これは、人によって、あるいは立場によって専門分野が違ってきます。やる、やらないは企業次第なので、提案だけできれば良い領域だそうです。このレベル1とレベル2は、顧客からすれば「知っていて当然」という部分。机上で事前学習しておけばOKです。

そしてレベル3の何かしらのメリットがあるから準拠する業務。たとえば、業界特有の取引ルールや業界規格などです。ここはOJTや経験で学んでいく部分であり、タスクフォースで言えば、経営コンサルタントさんの得意領域。「繊維業界20年」などという人が本領を発揮する領域なので、そうした人から情報を引き出して学んでいくのが良いそうです。

そしてレベル4の当該企業の創意工夫の部分。ここは経営者の領域です。そしてここがITエンジニアの活躍領域でもあります。自由度の高い業務であり、独自の工夫や取組みを行う部分で、顧客しか知らない情報もあるため、その都度確認しながら業務を組み立てていきます。技術をバックグラウンドにした、さまざまな提案も行えます。

すべてを押さえていればベストですが、レベル1とレベル4の両方を押さえている人も極めて少ないため、まずは、この両方を押さえておけば、大きな武器になるそうです。とは言え向き不向きもあるでしょう。

そこで三好さんが提案する業務知識の学び方のコツは、「興味のあるものは放っておき、興味のないものを積極的に勉強していく」というもの。興味のあるものは、自然に目が向き、放っておいても知識が身についていくけれど、興味のないものは、いつまでたっても身に付かないからだそうです。

これからのキャリア形成について

プログラミングができて、業務改善提案もできるという人は、中小企業の経営層から引く手あまたで、自ら強引に売り込んでいかなくても、挨拶を交わしただけで、後から探して見つけてもらえるプル型の人材として活躍できるようになるそうです。三好さんは、これをインバウンド戦略と呼んでいます。

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▲探して見つけてもらえるITコンサルのインバウンド戦略

そして業務知識を学ぶタイミングですが、必要になる前に勉強していくことが大切だそうです。必要になる前ならば、時間も自由に使えるためストレス無く学べ、プレッシャーもかかりません。

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▲必要ない段階で学んでおくとプレッシャーもかからない

また、いきなり実績を作るのは難しいという場合は、実績がなくてもキャッチアップできる方法として資格の取得があります。特に情報処理技術者試験は、業界でも知られていてかつコストがかからないという点で、三好さんもお勧めです。

先が見えない中で、将来のために何をしておけば良いか悩むことがあります。多くの場合、信頼のおける先輩、上司、親などに相談することでしょう。ただし、それらの人たちには、それぞれの立場に応じた利害関係があるので、その点は理解しておく必要があります。

もし、一つだけ確実だとすれば、それは国家資格です。情報処理技術者試験は、現場での評価は賛否あるかもしれませんが、間接的な影響は大きいので、取得しておいて損はないそうです。

いきなり業務知識を学ぶといっても、どこから手を付けて良いかわからない、ということも多いでしょうが、今回、三好さんからたくさんのヒントをもらいました。まず、必要になる前段階で、興味の向かないものから手をつけていくこと、そして資格取得はやはり大事だということで、早速行動してみましょう。