テレワークの普及により、最低限のセキュリティマナーやITリテラシーを個々でも身につけなければならない時代になりました。実は、過去のセキュリティの常識は、現在の非常識になることもあるのだとか。そこで今回は「今この時代に即したセキュリティ対策の基本」をMicrosoft MVPを16年連続で受賞されている橋本和則さんに教えていただきます。初回は今すぐ確認できて重要度の高い、Windowsサポート期間について。この連載を通して、新しい知識を一緒に習得していきましょう。
まず知るべきこと。サポート期限内のOSを利用する重要性
Windowsはサポート期間内のバージョンのみセキュリティアップデートが行われます。サポートが終了したOSは日々進化する攻撃に対策を行わなくなるため即悪意に侵される可能性があります。つまり、サポート期間内のWindowsを利用することこそが、セキュリティ対策としてまず必須になるのです。
Windows 7やWindows 8はすでにサポートが終了しています。Windows 8.1ももうすぐサポートが終了するため、セキュリティを確保するにはWindows 11かWindows 10を利用する必要があります。また、Windows 10であってもすでにサポートが終了しているバージョンがあることに注意が必要です(後述)。
Q. 今使っているWindowsのサポート期限を知りたいです
Windowsバージョンを確認したうえで、現在利用しているWindowsバージョンがサポート期間内であることを確認します。
Windowsバージョンの上二桁は西暦20xxのxxを示しており、また末尾の「H1」は前期、「H2」は後期であることを示しています。
Windows 11 Home/Proはリリース日から24ヶ月間、Windows 10 Home/Proはリリース日から18ヶ月間がサポート期間になります。
Q. Windowsのバージョンは、どこから確認できますか?
Windows 11であれば[設定]-[システム]-[バージョン情報]、Windows 10であれば[設定]-[システム]-[詳細情報]でWindowsバージョンを確認できます。
ショートカットキーであれば双方のOS共通で[ウィンドウズキー]+[X]→[Y]キーで素早く確認することも可能です。
「Windowsの仕様」欄にある「バージョン」がWindowsバージョンです。
Q. OSのバージョンがサポート期間内であれば安全ですか?
日々進化する悪意に対策するために、脆弱性対策などが含まれたセキュリティアップデートが必要です。Windowsの品質を高めるプログラムやMicrosoft Defenderのウイルス対策の定義は「Windows Update」で自動更新することができます。
このほか、ウイルス対策やファイアウォールなどのセキュリティ全般が正常動作していることの確認、日常操作において不要なファイルを開かない、ビジュアルハッキングやフィッシングなどへの対策が必要ですが、これは次回以降の連載で解説します。
Q. Windows Updateは、どこで確認できますか?
Windows 11/Windows 10共に[設定]-[更新とセキュリティ]-[Windows Update]で確認することができます。既定では自動更新が適用されています。また、任意に更新をチェックしたい場合には「更新プログラムのチェック」をクリックします。
また、更新した履歴を確認したい場合には「更新の履歴を表示する」をクリックします。
コラム:最新版への更新は適切ではないPC環境&ビジネス環境もある
Windows Updateにおける更新プログラムには「品質更新プログラム」(基本月次配信)や「機能更新プログラム」(基本年次配信、Windowsバージョンを更新する)があります。 共にOSを構成するプログラムの変更する更新であるため、アプリやハードウェアが不整合を起こして不具合が起こる可能性があります。
実際に最新版のWindows Updateにおける更新プログラムの適用により、「特定のアプリが起動しない」「周辺機器の動作が不安定になった」「PCが正常起動できなくなる(ブルースクリーン)」などの不具合が事例として存在します。
一般的には「セキュリティ対策のためにはOSもアプリも最新版にすべし」という解説がなされますが、私たちのようなIT関連職種の場合には、実は「セキュリティ対策とPCの安定性(現在利用しているハードウェアやアプリとの互換性)」のバランスを考えて、「あえて最新版の更新プログラムを適用しない(様子を見てから適用する)」という管理も必要になります。
Windows Updateにおける更新の一時的は、Windows 11の場合には[更新の一時停止]から、Windows 10の場合には[詳細オプション]をクリックして、[更新の一時停止]欄で設定することができます。
またWindows 11/10共にエディションがPro/Enterprise/Educationであれば、「ローカルグループポリシーエディター」で「品質更新プログラム」や「機能更新プログラム」の受信遅延日数を任意に設定することができます。
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いかがでしたか。Windows 10もバージョンによっては、サポート期間が終了しているもの、終了間近なものもあるので注意しましょう。次回は、Windows 11&10の標準セキュリティ機能について教えていただきます。セキュリティ機能が有効なのに、なぜマルウェアに侵されてしまうのでしょうか。お楽しみに。