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図でパッと理解!ネットワーク基本の『き』

ネットワークのしくみ基本の『き』を図解つきで確認しませんか。初級エンジニアやIT職を希望する方はもちろん、「あの用語なんだっけ」と意味をもう一度押さえておきたい方にもおすすめです。まずは用語をチェック。

IPアドレス・LAN・ルーターとは

まずは、ネットワークを覚える・環境構築する上で、ごく基本的なネットワーク用語を把握しておきましょう。ネットワーク用語といっても難しく考えたり深堀りしたりする必要はありません。「こんなもの」程度に捉えておけば十分です。

IPアドレス

IPアドレスとは、ネットワークの住所です。

同じ住所が存在すると手紙を送れないのと同様、ネットワークの住所であるIPアドレスも必ず一意(ユニーク)になります。

ちなみに、IPアドレスは「PCのネットワーク設定」で指定することもできますが、一般的な環境では「ルーター」が各ネットワーク機器に自動的に割り当てます。つまり、一般的なネットワーク環境ではPC側のネットワーク設定でIPアドレスを固定してしまうと、通信ができなくなる可能性があることに注意が必要です

この特性を利用して「一定範囲のIPアドレスが設定されたPC以外の通信を許さない」というネットワークもある

▲一般的な環境ではIPアドレスはPCで設定するものではなく、ルーターから発行される。画面内、「IP割り当て:自動(DHCP)」は、ルーターからIPアドレスが割り当てられていることを意味する。

LAN(ラン)

LANは「ローカルエリアネットワーク」の略です。対義語はWAN(ワン:ワイドエリアネットワーク)であり、少し割り切った説明をしてしまえば、インターネットの世界がWAN、自宅内・事務所内など目の前にある閉じたネットワークがLANです。

限定されたエリア内のネットワークになるため、LAN内だけの通信にはインターネット回線(インターネット接続)を必要としないことなどを把握しておくと、環境構築時やトラブルシュート時に役立ちます。

ルーター

ルーターは通信の出入口であり、またLAN内のPCやスマートフォンにIPアドレスを割り当てる重要なネットワーク機器です。

本来ひとつしかない回線を複数の機器でインターネット通信を実現できるのはルーターがアドレスを変換しているからです。

なお、LANにおいて「ルーターは1台のみ」にすることが基本です。複数のルーターが存在すると通信ができない、あるいは特定のネットワーク機器で、特定の通信が行えないなどのトラブルが起こります。

PCのネットワーク情報を確認するには

ネットワークを学ぶ上で知っておきたいのが、ネットワーク情報の確認手順です。ネットワーク情報の確認方法を知っておけば、PC(ネットワークアダプター)に割り当てられたIPアドレスや、Wi-Fi接続におけるWi-Fiの規格や周波数帯などを知ることができます。

確認方法(Windows 11/Windows 10)

[設定]から[ネットワークとインターネット]を選択します(ショートカットキーは、[Win]+[X]→[W])。現在接続済みのネットワークが表示されるので[プロパティ]をクリック。

・SSID(Wi-Fi接続の場合)
現在Wi-Fi接続しているアクセスポイントのSSIDを確認できる

・プロトコル(Wi-Fiの場合接続)
現在Wi-Fi接続しているアクセスポイントの無線LAN規格を確認できる

・セキュリティの種類(Wi-Fi接続の場合)
現在Wi-Fi接続しているアクセスポイントの暗号化モードを確認できる

・ネットワーク帯域(Wi-Fi接続の場合)
無線LANの帯域(2.4GHz/5GHz/6GHz)を確認できる

・ネットワークチャネル(Wi-Fi接続の場合)
無線LANのチャネルを確認できる

・IPv4/IPv6アドレス
割り当てられたIPv4/IPv6アドレスを確認できる

・IPv4/IPv6DNSサーバー
DNSサーバーのアドレスを確認できる

・製造元
ネットワークアダプターの製造元を確認できる

・説明
ネットワークアダプターの型番を確認できる

・ドライバーのバージョン
ネットワークアダプターのデバイスドライバーのバージョンを確認できる

・物理アドレス(MAC)
ネットワークアダプターのMACアドレスを確認できる

ちょっと一息
ネットワークは「難しい?簡単?」

ネットワークというと「難しい」という人もいれば、「簡単」という人もいます。なぜ、「難しい」と「簡単」という両極端な意見があるのでしょうか?

・・・

以前のネットワークに接続する機器(デバイス)は、「同種のデバイス同士はクロスケーブル」「他種のデバイスはストレートケーブル」というかたちで、LANケーブルの種類をきちんと場面で使い分ける必要がありました。

しかし、今はほぼすべてのルーターやハブに搭載されている「AutoMDI/MDI-X」という機能で自動判別されるため、本来クロスケーブルを利用しなければならない配線においてストレートケーブルを利用しても、「自動判別」して切り替えて正常な通信を行います。

ルーターとルーターの接続も同様で、以前は回線契約で供給されるルーターに、自分で購入したルーターを接続する場合などでは、「NAT」や「DHCP」(双方とも次回解説)などの設定を意識して調整しなければなりませんでしたが、今では「自動機能」でどうにか接続可能になってしまいます。

つまり、「自動判別・自動機能任せ」で“特に問題ない”と考える人は、ただ接続だけすれば通信ができるので「簡単」なのです。

一方、ネットワークをきちんと覚えて、この知識を生活やお仕事に活かそうという場合は、「自動判別・自動機能任せ」ではなく、ネットワーク機器の役割や構造、また機能や制限なども理解して接続や設定を行わなければならないため「難しい」ということになります。

これから『自宅でのお仕事を希望する・IT職を希望する』と考えている場合は、「自動判別・自動機能任せ」ではなく、きちんとネットワークを構造から理解して環境構築する必要があるでしょう。

ネットワークについてもう少し知りたい!と思ったら

ネットワークを学ぶ際は、まず「LAN」を学ぶことをおすすめします。ネットワークの世界は大別するとLANとWANがありますが、目の前のネットワーク環境である「LAN」は自分で任意に確認・構築・設定できる自習素材として最適だからです。

次回は、【ネットワークの基本的な構図】について。ぜひ自宅の環境を思い出しながら読んでみてください。

【筆者】橋本 和則 さん
Microsoft MVP(Windows and Devices for IT)を17年連続受賞。IT著書は80冊以上、ベストセラー&ランキングトップ書籍多数。『時短×脱ムダ 最強の仕事術』(SBクリエイティブ)『Windowsでできる小さな会社のLAN構築・運用ガイド』(翔泳社)など。IT機器の使いこなしやWindows OSの操作、カスタマイズ、ネットワークなどをわかりやすく個性的に解説した著書が多い。震災復興支援として自著書籍をPDFで公開。Windows関連Webサイトの運営のほか、講演・講義、著者育成など多彩に展開している。

※本記事に記載されている会社名、製品名はそれぞれ各社の商標および登録商標です。

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