本記事は、2024年5月2日に掲載したプログラミング英単語クイズの解説です。まだ問題を解いていない方は、こちらからご覧ください。
プログラミング英語検定が提供する「プログラミング必須英単語600+」から難易度レベル別にクイズ5問を出題しました。では、解答と解説を見てみましょう。
問1の解答と解説
下線部分の英語「Returns」の意味として最も適切なのは、A〜Dのうちどれでしょうか?
(A) 消す
(B) 戻す
(C) 決定する
(D) 送信する
解答
正解はBの「戻す」
解説
returnは「戻す」または「返す」という動詞です。メソッドや関数が処理結果として何を戻すのか説明する際に一般的に用いられる動詞です。
*「プログラミング必須英単語600+」前提英単語100に含まれる英単語です。
和訳
問題文の「Returns」は三人称単数現在形(いわゆる三単現)のsが付いている状態です。通常、英語の文には主語と動詞が必要です。ところがこの文には主語がありません。いきなり動詞の三人称単数現在形から始まっています。そのため、違和感を覚えた方もいるかもしれません。
しかしAPIリファレンスでは、このように主語を省略して動詞から書き始めるのが一般的です。ただし省略された主語は、文脈から「This method」のような言葉だと想像できます。なお、組織や開発プロジェクトによっては、三人称単数現在形ではなく、sのない動詞原形(問題文のケースならReturn)が使われることもあります。
問2の解答と解説
下線部分の日本語「置換」に対応する英語として最も適切なのは、A〜Dのうちどれでしょうか?
(A) replace
(B) sort
(C) input
(D) translate
解答
正解はAの「replace」
解説
replaceは「置換する」という動詞です。
*「プログラミング必須英単語600+」ベーシック300に含まれる英単語です。
英訳
他の選択肢の単語もあわせて確認しておきましょう。
- sort:並び替える、ソートする
- input:入力する(動詞)または、入力(名詞)
- translate:変換する、翻訳する
なお、すぐ上の「検索」というボタンは英語で「Search」です。動詞と名詞の両方で用いられます。
置換は検索してから実行されるため、検索と置換のボタンは近くに置かれることが多くなっています。まとめて覚えておくと便利です。
問3の解答と解説
下線部分の英語「Failed」の意味として最も適切なのは、A〜Dのうちどれでしょうか?
(A) 成功した
(B) 完了した
(C) 開始した
(D) 失敗した
解答
正解はDの「失敗した」
解説
failは「失敗する」という動詞です。問題文はFailedなので、過去形で「失敗した」となります。
問題文の「Failed to ◯◯」はエラーメッセージでよく用いられる表現です。「◯◯するのに失敗しました」と処理が正常に終わらなかったことをユーザーに伝えます。
問1の解説で、APIリファレンスでは主語が省略されると説明しました。この文でも同様に主語が省略されています。文脈から想像すると、省略されているのは「The IDE」のような言葉です。IT関連のドキュメントでは省略は頻繁に発生します。主語以外にも目的語などが省略されることもあります。英文を読んでいて何か違和感を覚えたら、省略が発生していないかも疑ってみてください。
*「プログラミング必須英単語600+」ベーシック300に含まれる英単語です。
和訳
「Failed to ◯◯」以外にも、何かができなかった旨を伝えるエラーメッセージでよく使われる表現がいくつかあります。次のような表現です。いずれも主語は省略されている点に注意してください。
- Unable to ◯◯:◯◯できません
- Cannot (Can’t) ◯◯:◯◯できません
- Could not (Couldn’t) ◯◯:◯◯できませんでした
問4の解答と解説
下線部分の日本語「行」に対応する英語として最も適切なのは、A〜Dのうちどれでしょうか?
(A) table
(B) row
(C) column
(D) area
解答
正解はBの「row」
解説
rowは(表などの)「行」という名詞です。
*「プログラミング必須英単語600+」ベーシック300に含まれる単語です。
英訳
他の選択肢の単語もあわせて確認しておきましょう。
- table:表、テーブル(ベーシック)
- column:(表などの)列(ベーシック)
- area:領域、エリア(前提)
プログラミングでは表形式のデータを扱うことがあります。そのため、table(表)、row(行)、column(列)の3つはセットで覚えておきたい単語です。問題文のマニュアルに限らず、APIリファレンスの説明や、関数やメソッドの名前でもよく使われる言葉です。
問5の解答と解説
下線部分の英語「invalid」の意味として最も適切なのは、A〜Dのうちどれでしょうか?
(A) 空の
(B) 不要な
(C) 冗長な
(D) 無効な
解答
正解はDの「無効な」
解説
invalidは「無効な」という形容詞です。
invalidはエラーを表現するのによく用いられる形容詞です。問題文の「invalid characters」のように名詞を直接修飾する(文法用語で限定用法)ことも、「◯◯ is invalid」と動詞の補語になる(文法用語で叙述用法)こともあります。
*「プログラミング必須英単語600+」アドバンスト300に含まれる英単語です。
和訳
invalidの反意語は「valid」で「有効な」という意味です。できればセットで覚えておきたい英単語です。なおinvalidの接頭辞「in-」は「〜ではない」(not)を表します。つまりinvalidは「not valid」の意味です。
他の3つの選択肢に出てきた言葉に対応する英語も、実はエラーでよく使われる言葉です。
- 空の:empty(ベーシック)
- 不要な:unnecessary(アドバンスト)
- 冗長な:redundant(アドバンスト)
プログラミングでは、エラーへの対処に時間がかかることがあります。こういった単語も覚えておくとエラーメッセージの理解が進むため、仕事が効率的にできるようになるはずです。
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何問正解できましたか?IT分野では次から次への新しい技術が登場します。しかし英単語は一度しっかり覚えておくと、比較的長い間、役に立ちます。特に今回出題された単語は、さまざまな種類のドキュメントで非常によく使われています。ぜひこの機会に把握しておきましょう。
著書、翻訳者、情報技術者、IT英語専門家。米国留学を経て国内の大学を卒業後、2002年からフリーランスの翻訳者とソフトウェア開発者に。2016年から合同会社グローバリゼーションデザイン研究所の代表。2017〜2022年に日本翻訳連盟(JTF)の理事も務める。訳書に『リセットを押せ』、『血と汗とピクセル』、著書に『アプリケーションをつくる英語』(第4回ブクログ大賞)、『ITエンジニアのための英語リーディング』(翔泳社)(韓国語訳あり)、『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』(インプレス)、最新刊に『ITエンジニアのための英語ライティング』(翔泳社)などがある。