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IT業界ってどんな仕事をしているの?

システム開発のV字モデルってなに?ふたばさんが聞く!ITの現場に入る前に知っておきたいこと

現在、営業事務として働くふたばさん。最近、IT業界の発展のニュースをみて、自身のキャリアについて考えることが増えました。

ふたばさん:
IT業界がすごいんだなぁ。IT系のお仕事に興味はあるけれど、なんだか難しそう…。そもそもIT業界ってどんな仕事があるんだろう?
ますい先生:
なにやらふたばさんが悩んでいるようですね。

たしかに、一言で「IT業界」といっても、さまざまな会社があり、そこで働いている人の職種もさまざまです。そして、システム開発に関わっている人に絞っても、契約形態や開発の進め方など非常に多様な業界です。実際にお仕事をはじめる前にも知っておきたいことがたくさんあります。

そこで、本連載では「ITの現場に入る前に知っておきたいこと」として、ITに関するお仕事の前提知識や、開発の流れ、エンジニアが使っている用語やツールなどを、やさしく解説します。

今回はIT業界にある会社やそこでの働き方などについて、ざっくりと見ていくことにしましょう!

また、本記事のご感想をお寄せいただいた方の中から抽選で、書籍『1週間でシステム開発の基礎が学べる本』増井敏克著(インプレス)をプレゼント!詳細は記事の最後に。

INDEX
  • IT業界にはどういう会社があって、どういう職種があるの?
  • 発注側と受注側の役割分担
  • 開発のV字モデルってどういうもの?
  • 知っておきたいIT用語〜今回のまとめ
  • 読者プレゼントのお知らせ!

IT業界にはどういう会社があって、どういう職種があるの?

皆さんは「IT業界」に対してどんなイメージを持っているでしょうか?
パソコンに向かってひたすら難しい言葉を入力している場面を想像するかもしれませんし、最先端の技術を使ったおしゃれなオフィスで働いている場面を想像するかもしれません。パソコンなどのデジタル機器に詳しい人を想像するかもしれません。

ふたばさん:
ますい先生、教えてください。IT業界ってどんなお仕事をしているんですか?
ますい先生:
難しい質問ですね。そもそも、IT業界と一口にいっても、仕事内容は会社によって大きく異なります。どこまでをIT業界と呼ぶか、という問題があるくらい幅が広い業界です。

具体的にはIT業界には、次のような会社があります。

  • ソフトウェアを作る会社(開発ベンダー)
  • クラウドサービスやネットワークを提供する事業者
  • システムを運用・保守する会社
  • 通信事業者
  • コンサルティング会社
  • 家電やIoT機器などを開発する会社(組み込み)
  • ゲーム会社
    など
ふたばさん:
ということは、IT業界で働いている人はプログラミングができる人ばかりじゃないんですね…。
ますい先生:
その通りです。IT業界で働く人々の役割も非常に幅広いです。

たとえば、次のような職種があり、多岐に渡ることがわかります。

  • プログラマ(アプリケーション開発)
  • システムエンジニア
  • インフラエンジニア(ネットワーク、サーバー構築)
  • セキュリティエンジニア(脆弱性診断など)
  • データベースエンジニア
  • プロジェクトマネージャー
  • UXデザイナー
  • QA(品質保証)、テスター
  • データサイエンティスト(データ分析)
  • ビジネスアナリスト
  • セールスエンジニア
  • カスタマーサクセス
    など
ふたばさん:
もしかして、IT業界って病院みたいな感じなんですか?内科とか外科とかそれぞれ担当する仕事が分かれているような…。
ますい先生:
その通り!非常に幅が広い業界なので、同じ「IT業界」にいても、隣の部署にいる人とはまったく異なるスキルが求められ、仕事の進め方も違います。

たとえば、上記の一部の職種について、業務内容と求められるスキルを整理すると、次の表のようなものが考えられます。

ふたばさん:
それぞれ役割がはっきりしていておもしろいですね。

 

発注側と受注側の役割分担

IT業界で働く人の働き方という面でも、その会社の規模や業務内容、契約内容などによって大きな違いがあります。システム開発の領域だけを考えたときに、よく使われる言葉として「SIer(エスアイヤー)」と「Web系」があります。

SIerは「システムインテグレーター」の略で、顧客に合わせたシステムを設計、開発、運用、保守などあらゆる業務をまとめて担当する会社を指します。一方のWeb系は、開発したサービスやアプリケーションをインターネット経由で提供、運用する会社を指します。
つまり、SIerは顧客から発注されたシステム開発を受注するのに対し、Web系は自社で開発したものを提供するイメージが一般的です。

ふたばさん:
発注や受注とはどういうことですか?
ますい先生:
企業が独自のシステムを開発するときは、依頼側(発注者)と請ける側(受注者)が存在します。

WindowsやMicrosoft Officeのような、どの企業でも共通して使える製品はパッケージソフトとして販売されていることが多く、これらを使うだけで組織を運営できれば話は簡単です。しかし、自社の業務に合わせた独自のシステムが必要になることがあります。

このとき、自社の情報システム部門などでシステムを開発できるのであれば、外部の会社に依頼する必要はありませんが、IT業界の会社や大企業でなければ自社でシステムを開発することは難しいものです。

そこで、システムを開発してくれるSIerに発注することになります。このとき、基本的にはシステムが完成されることを前提とした「請負契約」を締結します。依頼側の発注者は、「こういう成果物が欲しい」という要望を出し、請ける側の受注者はその要望を具体的なシステムやサービスとして作ります。

ふたばさん:
ということは、受注側のSIerには多数の開発者が在籍しているのですか?
ますい先生:
もちろん、多くの開発者が在籍していることもありますが、常に案件があるわけではないので、外部の開発者に依頼することもあります。

開発案件は一般的にプロジェクトという単位で進められ、そのプロジェクトが完了すると仕事も終了となります。次から次へと同じような規模の案件が続けばよいのですが、その規模は大規模なものから小規模なものまでさまざまです。このため、SIerは案件の量や規模、期間にあわせて開発者の数や働き方を調節します。

具体的には、下請けの取引先に発注したり、外部の開発者と一時的に契約したりすることがあります。このため、ITエンジニアの契約形態は、単純な雇用契約だけではありません。例としては、SESや派遣スタッフ、フリーランスなどがあります。

*システムエンジニアリングサービスの略。「準委任契約」と呼ばれ、システムの完成は求めず、時間単位で契約することが一般的。

ふたばさん:
IT業界にはいろいろな働き方があるんですね。

開発のV字モデルってどういうもの?

次は開発の流れを見てみましょう。SIerにシステム開発を依頼すると、一般的には「要件定義」から「設計」、「(プログラムの)実装」、「テスト」といった順に進められます。

ふたばさん:
「設計」という言葉を聞くと、家を建てるような雰囲気を感じますね。
ますい先生:
最初にきちんと設計しておかないと、後から修正するのは難しいのも家を建てるときと同じです。

実際のシステム開発の工程は、もう少し細かく分けた「V字モデル」という考え方がよく使われます。V字モデルは図のようにV字の形で進められることを意味し、左側を上流工程、右側を下流工程といいます。

ふたばさん:
これを見ると、システム開発の中で、プログラムを実装するプログラミングの工程ってほんの一部なんですね!
ますい先生:
そうなんです。このように、プログラムを作るときに使うプログラミング言語についての知識はもちろん必須ですが、設計書やテスト結果などの文書を作る作業にも多くの時間がかかります。

このV字モデルでは、左から右に流れるだけでなく、同じ高さの作業が対応付けられていることが特徴です。つまり、詳細設計で決めたことを単体テストで検証し、基本設計で決めたことを結合テストで検証する、というイメージです。

ふたばさん:
ということは、設計の段階でどのような項目でテストをするかを考慮しておかないと、後で大変になりそうですね。
ますい先生:
まさにその通りです。そして、設計者とテスト担当者が違うこともあるため、文書をきちんと作成しておくことが重要になります。

一般に、V字モデルを左から右に一方向に進める手法は「ウォーターフォール開発」と呼ばれています。当然のことながら、そもそもの要件定義などで定めた仕様が変わってしまうと、そこからあとはやり直しになってしまいます。実際に、システム開発に年単位の時間がかかる規模では、世の中のニーズが変わってしまい、仕様が変わることも考えられます。

そこで最近では、仕様に変更があることを前提として、上記の流れを短期間で繰り返す「アジャイル開発」という進め方も広がっています。
このような進め方は、プロジェクトの規模や特性に合わせて選ばなければなりません。

ふたばさん:
アジャイルは、V字モデルとどう違うんですか?
ますい先生:
基本的な要件定義から設計、実装、テストという流れは同じですが、これを短い期間で繰り返すことが大きな違いです。当然のことながら、作る文書の量なども変わってきます。

両者には一長一短があり、要件が固まっている大規模プロジェクトではウォーターフォール、変化が多く小規模なプロジェクトではアジャイルが向いていると言われます。最近は両者を組み合わせたハイブリッドな進め方もよく使われます。

ふたばさん:
なるほど。実務だと文書作成や調整がかなり重要そうですね。
ますい先生:
いずれにしても、コミュニケーションやドキュメントの作成、テストの設計、運用の計画といったスキルはどの職種でも必須です。技術だけでなく、相手に伝える力や整理する力も重宝されるんですね。
次回以降は、主にWebアプリを開発している会社を前提として、具体的な部署ごとや職種ごとの違いについて詳しく解説していきます。お楽しみに!

知っておきたいIT用語〜 今回のまとめ

■SIer
「システムインテグレーター」の略で、顧客からシステム開発を受注する。顧客に合わせたシステムを設計、開発、運用、保守などあらゆる業務をまとめて担当する会社を指す。
 
■開発のV字モデル
要件分析→要件定義→設計→実装→テストという開発の流れにおいて、前の工程での成果物をテストで検証するモデルのこと。
 
■ウォーターフォール開発
開発の流れを、上流から下流に一方向に進める手法。要件が固まっている大規模プロジェクトに向いている。
 
■アジャイル開発
基本的な開発の流れを短い期間で繰り返す進め方。変化が多く小規模なプロジェクトに向いている。

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【筆者】増井 敏克さん
増井技術士事務所代表。技術士(情報工学部門)。情報処理技術者試験にも多数合格。ビジネス数学検定1級。「ビジネス」×「数学」×「IT」を組み合わせ、コンピューターを「正しく」「効率よく」使うためのスキルアップ支援や、各種ソフトウェアの開発、データ分析などを行う。著書に『Pythonではじめるアルゴリズム入門』『図解まるわかり プログラミングのしくみ』『「技術書」の読書術 達人が教える選び方・読み方・情報発信&共有のコツとテクニック』(翔泳社)、最新刊の『ITエンジニアのフリーランス独立戦略』(インプレス)がある。

※本記事に記載されている会社名、製品名はそれぞれ各社の商標および登録商標です。
※本稿に記載されている情報は2025年9月時点のものです。

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