日本で働いたあと、ワーキングホリデーを利用してニュージーランドを訪れたのをきっかけに10年間住み続けた宮木奈央さん。移民として過ごす日々の中で、国際協力に興味を持ち、現地の大学で学んだあとソーシャルワーカーとして働いた。帰国して約1年、国際協力への想いは熱いままで、いつしかそれは生涯のテーマになっていた。

趣味のために選んだのが、派遣という働き方

ある日の18時。定時を知らせるベルが鳴ると宮木さんは走り出した。手にしたバッグには広島カープのユニフォームとカンフーバッド。急いで神宮球場へと向かい、滑り込むようにスタンドに座ったのは18時35分。

「広島カープが神宮球場で試合する日はこんな感じ(笑)。定時で上がれる派遣スタッフの醍醐味です」

宮木さんが広島カープの大ファンになったきっかけは、ニュージーランド移住中にインターネットで観たとある選手のドキュメンタリー番組だった。

「母子家庭で貧しい環境で育った子がプロ野球選手になるまでを追った番組で、観ながら号泣しちゃったんです。応援してあげたい!って。その選手がたまたま広島カープだったというご縁です。そこからインターネットで野球中継を観るようになりました」

帰国後、いざ仕事を探そうと思ったとき、条件として頭に思い浮かんだのが「なるべく野球を観に行きたい」というもの。

「以前日本で働いていたとき、仕事時間がすごく長くて仕事以外ほとんど何もできなかったんですよね。派遣だったら残業が少ないところを選べていいかなって」

さっそく派遣登録し、「できれば国際協力に携わりたい」と告げたところ、トントン拍子でいまの就業先、一般財団法人 日本国際協力センター(JICE)に決まった。

ニュージーランドで知った移民・難民の不自由さ

大学卒業後、日本でホテルのフロント業務に従事したあと、高校時代から抱いていた海外への憧れを胸にニュージーランドへ渡った宮木さん。ニュージーランドでの日々は、「色々考えさせられた」と振り返る。

「ニュージーランドに行ったら自分自身が移民で、色々困ることが多いと実感したんです。自分の意思で来ている移民ですら戸惑いが多いのだから、自分で選択ができず入国した難民はもっと大変なんだろうなって。その部分をサポートする仕事がしたいって思いました」

ソーシャルワーカーになるため、大学で学ぶこと4年。卒業後、宮木さんは難民に対して、言葉や交通機関の使い方、銀行口座の開き方などを教えたり、ときには生活必需品を買うのを手伝うなど、ニュージーランドでの生活を行なうためのサポートをしていたそう。

そうこうしているうちに、いまの主人と出会い結婚。お互い日本人であることから、日本に住んでいる両親のことを考え、ひとまず帰国することに。

「ニュージーランドは一度永住権をとれば、いつでも戻れますからね」

リタイア後はボランティアで国際協力を

現在の就業先では、留学生支援を行なっており、宮木さんの部署は主にアフリカとアフガニスタンを担当。宮木さん自身は直接留学生と関わらないが、陰ながらサポートを行なうことにやりがいを感じている。

「彼らが日本で勉強したことを自国に活かして様子を見ると感動します。ある留学生は、ITを勉強しに日本を訪れて、その技術を使って自国の交通網アプリを開発したんです。それが英字新聞の『ジャパンタイムズ』にも紹介されて。すごく嬉しかったですね」

宮木さんは「リタイアしたあとでも、ボランティアとして国際協力に関わり続けたい」と語る。

そのために、週1日開催される英会話教室で英語力を高めるだけでなく、世界情勢についての勉強会にも積極的に参加し、様々な知識を深めている。

「例えばアフガニスタンについての勉強会だったら、アフガニスタンの現状や宗教、生活様式について学びます。留学生のバックグラウンドを知ることで、より良いケアができるようになるんです」

どちらも就業先が実施していて、派遣スタッフも自由に参加できるので「ありがたい」と宮木さんは目を輝かせる。

自分にとっての幸福は何か。わかっているから、充実する

やりたい仕事をして、趣味の時間も楽しんでいる宮木さんは「現在、自分の幸福度は100%」と語る。

「幸福度って自分にとって何が幸福かを見極めるのが大事だと思うんです。私の場合は、仕事と家庭と趣味の3つがいいバランスを保っていること。で、真ん中に健康。健康でないと働けないし野球観戦にも行けないですからね」

人によって何に幸福を感じるかは違う。インフラが整った都心に住むことが幸福な人もいれば、多少不便でも空気がおいしい地方に住むことが幸福な人もいる。お金があることが幸福な人もいれば、お金がなくても笑顔で過ごせることが幸福な人もいる。

大事なのは、何が自分にとって幸福かを自覚すること。それをはっきりと自覚している宮木さんが幸福度100%なのは、もはや必然だ。

「ちなみにこの冬、日本で初めて野球のオフシーズンを迎えるんです。正直どうしようって感じなんですけど(笑)。いまのところ、野球観戦って結構体力いるんで、健康維持と全力で野球観戦を楽しむためにジムで鍛えようかなって考え中です」

野球応援を全力で楽しむための真っ赤なグッズたち

野球応援グッズのユニフォームとカンフーバッドは、観戦の日は欠かせない。
「職場の人も私がカープファンって知っているから、広島出張に行くとお土産を買ってきてくれるんです」とのこと。ドリップコーヒーは「もったいなくて飲めない」と笑う。

シーズン前は、『プロ野球12球団パーフェクト名鑑2018』(ぴあMOOK)を読んで勉強。「年俸とかも結構チェックします」

最近は、12月のTOEIC試験にむけ、朝早めに家を出てカフェで参考書片手に勉強中。

ライター:小山 典子(こやま のりこ)
カメラマン:坂脇 卓也(さかわき たくや)
SPECIAL SITE
ABOUT

あなた「らしさ」を応援したいWorkstyle Makerリクルートスタッフィングが運営する
オンラインマガジンです。

JOB PICKUPお仕事ピックアップ

リクルートスタッフィングでは高時給・時短・紹介予定派遣など様々なスタイルの派遣求人をあつかっています

Workstyle Maker

『「らしさ」の数だけ、働き方がある社会』をつくるため、「Workstyle Maker」として働き方そのものを生み出せる企業になることを目指しています。