ガーデニングが趣味で、「昨年は庭にブドウが200房くらいなって、びっくりしちゃった」と笑う張イさん(40)。出産・育児による6年間のブランクを挟みながらも、派遣スタッフとして働き続ける二児の母だ。夫の理解と母の育児援助を支えに、日々仕事に向き合っている彼女の元気の源は愛する子どもと過ごす時間だった。

生まれ育った街を飛び出したい

張さんが初めて日本を訪れたのは2001年のこと。専門学校卒業後、数年間、会計の仕事をした後のことだった。

「とにかく、違う国に行きたかったんです。ちょうどそのとき留学生を募集していたのがシンガポールと日本。日本は子どもの頃からアニメを観ていたり、親戚が留学経験あったりして親近感があったので、日本に行くことにしました」

来日後、情報系の専門学校を卒業後、尊敬していた先生の勧めもあってエンジニアに。以来、エンジニア畑をひた走ってきた。

「決め方はちょっと適当。そのときの気持ちに乗っただけだね」と笑う張さん。とはいえ、もともと1つのことをコツコツと進めるのが好きだったため、流れるように始めたエンジニアは性に合っていたようだ。

日々の暮らしから、文化の違いを学んだ

勉強も仕事も楽しかったが、最初は文化の違いに少し戸惑った。

中国では、自分の意見をはっきり言うのが当たり前。何も言わない人は、もはや“いない”と同じだそう。一方、日本の場合は、自分の意見をすぐには言わない。熟考して、言葉を選んで、それからようやく意見を言う。

「日本だと、はっきり言うことで、知らないうちに人を傷つけてしまうことがあるみたい。自分の仕事をしながら相手の気持ちを考えるっていうのが、日本の仕事のやり方なんだなって」

言葉は、自分一人でも学べるし、学校で教わることもできる。けれど、文化の違いは、日々の暮らしや学費を稼ぐためのアルバイトをしながら肌で学んでいった。

エンジニアとして、もっと自由に働きたい

アルバイト先で出会った夫との結婚を機に、日本で暮らし続けることを決めた張さん。最初は正社員として働いていたが、だんだんと働き方に不満を抱くようになった。

当時、張さんは他社に出向して勤務していた。けれど、どんなに業務で忙しい時期でも、何かと自社と出向先を行き来しなければならず、エンジニアとしての仕事以外に割く時間が多いことが煩わしかったのだ。

そんなときに、同じ現場の人から派遣という働き方を教わり、思いきって転向。

「派遣は、自由で面倒くさいことがなくていいですね。集中して仕事に取り組めます。金銭面も、月給が10万円くらい上がったから、そういう意味でもよかったかな。本当に自分に向いている働き方だと思います」

だからこそ張さんは、出産・育児が少し落ち着いて仕事復帰を決めたときも、ほとんど迷わずに派遣スタッフという働き方を選んだ。

「職場の方も小さい子どもがいることを了承したうえで雇用してくれ、柔軟に理解してくれています。定時で帰って全然大丈夫ですよって。そのうえで、好きなエンジニアの仕事ができる。本当にとても働きやすいですね」

優しい夫が、彼女を柔らかくした

エンジニアという仕事が大好きな張さんだが、何をしているときが一番楽しいかと問うと、頬を緩ませて「子どもと一緒にいるとき」と答えた。

実は、30歳過ぎまで子どもをつくるつもりがなかった張さん。夫も「それでいいよ」と言ってくれていたので、仕事に邁進しつつ二人で仲良く過ごせればいいと思っていた。ところがある日、偶然夫がTwitterで、子どもがいない未来を嘆いているのを見てハッとした。

ずっと一緒にいたい人の願いを叶えてあげられないなんて、それでは一緒にいる意味がない。彼のその願いを叶えられるのは自分だけだ。考えを180度変え、産もうと決心した張さん。1度は流産したものの、いまは2人の子どもに囲まれ、「本当にかわいくて、自分に母性がこんなにも溢れてくるなんて思わなかった」と幸せそうに笑う。

この幸せをくれたのは、きっと夫だ。彼は、初めてアルバイト先で出会ったときから、ずっと「頼りになって、とても優しい人」だった。ひとり母国を離れ、勉強だけで頭をいっぱいにして視野が狭くなっていたという当時の張さんを、いつも気遣って、温かくほぐして、いい具合に“適当”にしてくれた。

いま、張さんが柔らかく笑って、趣味のガーデニングや子育てを楽しめているのは、間違いなく彼のおかげだ。

「悩んでいるときはすごく冷静にアドバイスしてくれるし、いま私のお母さんが家のことを手伝ってくれているのだけど、どんなときだって悪口を言わない。家事も育児も協力的。そんな人と一緒にいたら、性格も柔らかくなっちゃうよね」

妻であり、母であり、エンジニアである張さん。彼女は今日も明日も明後日も、温かい人たちに支えられながら3つの顔を使い分け、明るく走り回るのだろう。

シンプルで、ちょっとかわいいもの

「私、なかなかものがダメにならないの」と語る張さん。なんとこの財布、10年以上愛用しているらしい。「シンプルだけどワンポイントが入ってかわいい」とデザインが気に入っている。

猫がポイントの小銭入れは、会社で飲み物を買いに行くとき用。ICカードが使えないところはまだまだ多いので、活躍の場はなくなりそうにない。

メガネはブルーライトカット。これを使い始めてから肩こりが減ったのだそう。

メモ帳は、専門用語やわからない日本語、資格の勉強をした内容などを書き込んでいる。「何だっけ?」となったときにすぐ取り出して確認できるよう、常にバッグに入れている。

水筒はほぼ毎日職場に持って行く。「毎朝夫が、同じコーヒーを淹れてくれるんです」

ライター:小山 典子(こやま のりこ)
カメラマン:上澤 友香(うえさわ ゆか)
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