モノトーンのファッションに身を包み、艶のある黒髪を「かんざし」でハーフアップにまとめた堤葵さん(25)。落ち着いたたたずまいと、少女のような透明感のある声が印象的だ。学生時代法律を勉強していた堤さんは、昨年10月から、東京・虎ノ門の「青和特許法律事務所」に派遣スタッフとして就業している。「働きながら自分のスキルを思い切り伸ばしていけそうな就業先と出会えて嬉しい」と瞳を輝かせる。

文系最難関の資格試験をめざして

大学受験を考えるようになった頃、堤さんの進路の選択に強く影響を与えたのは、両親からの助言だった。

「とくに母は、もう少し勉強していればやりたい仕事につけたはずと、大人になって後悔したんですって。とくに女性は何かしら資格をとったほうがいいと、口酸っぱく言われていました」

母の言葉に背中を押され、堤さんが進んだのは法学部。文系の資格の中で最難関といわれる弁護士を目指すためだった。

当時、堤さんが弁護士に抱いていたのはテレビドラマの延長のような漠然としたイメージ。けれど大学で実際に法律を学んだり、現役の専門家の講義を受けたりするうちに、少しずつ「なりたい弁護士像」が思い浮かぶようになったという。

「ドラマでは刑事事件が主に扱われますが、現実に多いのは圧倒的に民事のほう。民事では、法律を知らない一般の人同士の間でこじれているケースがとっても多いんです。私たちが平穏に暮らしていくためには、法律の知識をもった専門家が欠かせないのだと、改めて法律を学ぶ意義を感じました」

やっぱり、“法律”に関わる仕事がしたい

学部を卒業し、迷わず法科大学院に進学した堤さん。けれど、そこでの勉強は思っている以上に厳しいものだった。

「毎晩11時の閉館まで学校で勉強して、自分なりには結構がんばったつもりなんですが、ちゃんとやっている人に比べたら全然努力が足りなかったんでしょうね。どうにも成績がついてこなくて……。応援してくれていた親や親戚には申し訳なかったのですが、途中でやめるしかない状況になってしまいました」と、視線を落とす。

弁護士の道をあきらめ、初めての就活に臨んだ堤さん。希望したのは、やはり法律関連の仕事だった。

「4年プラス2年、思うような成績はとれなかったけれど、どっぷり法律に浸かっていたので、法律と無縁の世界に進むことは気持ちの中でうまく折り合いがつけられなかったんです」

とはいえ、新卒採用の時期ではなく、求人は経験者に集中。戸惑った堤さんの視野に入ってきたのが、「派遣スタッフ」という働き方だった。

「母は少し心配していましたが、法律に関わる仕事に携われるならと、私は気になりませんでした。逆に、万が一相性がよくなかった場合、方向転換もしやすいかなと」

自分に明確にプラスになる勉強だから身が入る

現在は、クライアントの特許出願に関するサポート業務のうち、特許庁に提出する書類の準備やファイル作成などに携わっている。社員と派遣スタッフとの間に隔たりを感じることがなく、身近に派遣スタッフから正社員になった先輩がいるなど、目標も見えやすい。就業先に恵まれたことを実感しているという。

そしていま、堤さんがチャレンジしようとしているのが、知的財産管理技能士(知財技能士)2級の検定試験。いまの業務に直結する知的財産権について、判断、解決できる知識とスキルを身に着けるためだ。

「この資格が取れれば、仕事にも生かせるし、時給が上がるかもしれない。正社員への道も近づくかもしれない。自分に明確にプラスになることがわかるから、勉強にも熱が入ります」と、にっこり。

「もともと関心のあった分野で、社会人としての1歩を踏み出すことができて本当によかったです」

「ルールがガチガチに決まっているほうが、燃えるんです」

インタビューの間、言葉を丁寧に選びながら答えていた堤さん。そんな堤さんの口調が一段と熱を帯びたのは、大好きなボードゲームの話題になった時だ。

「割と有名なところでいえば…」と教えてもらった「Cat&chocolate」は、「大喜利みたいな感じ」(堤さん)で、手持ちのアイテムを駆使し、ピンチを切り抜ける方法を披露し合うもの。

「自分の発想ひとつでどんな話にも広げられる。与えられたアイテムがただの鏡でも、私が『これは魔法の鏡です』と言えば、ファンタジーの世界になるんです」

法律とゲーム。一見まったく別世界のように思えるが、どこかに堤さんを惹きつける共通項があるのだろうか。

無茶ぶりのような質問をしてみると、うーんとしばらく考えてから、「たとえば、『Cat&chocolate』の場合は、限られた条件の中でどうやって辻褄を合わせるかを考えるんです。そんなところは法律の論述に若干通じるものがあるかもしれません」と答えてくれた堤さん。

「どちらも相手を論理的に納得させなければ勝てない。私自身はそこまで論理的な人間ってわけではないのですが、ゲームでも、ルールがガチガチに決まっているほうが、間違いなく燃えるんですよね(笑)」  

地に足をつけて現実を生きるオンの堤さんと、思いきり空想を飛ばして遊ぶオフの堤さん。その両者が、とてもいいバランスで共存している。それが堤さんの「らしさ」かもしれない。

子どもの頃からのぬいぐるみを、いまも大事に

ぬいぐるみが大好き。自室は大小のぬいぐるみであふれかえっているという。「増やすのは何とか我慢しているけど、子どものときに買ってもらったものを大事にしています」。
つぶらな瞳の羊は、6歳の頃、懸賞で当たった家族旅行で訪れたハワイで買ってもらった。名前はヒュー。いつも枕元に置いて寝ている。「3歳の七五三写真を撮影したスタジオでもらったパンダも、しっかり現役です」

お気に入りのパスケースは、堤さん自身「神作」と評する映画の限定グッズ。「観に行って、9割方泣いていました」と、思い出して笑う。

スマートフォンはずっと同じシリーズを使い続けてきたが、2021年に販売終了予定で、次をどうしようか思案中。ブルートゥースは通勤時の必携品。アニメのキャラソンで気分を盛り上げる。

この日着けていたかんざしは、原宿のアクセサリーショップで見つけたもの。長い髪をアレンジするときに重宝する。「やってみましょうか」と、クルクルと髪を束ね、さっと刺す。器用な手つきに見とれてしまった。

ライター:高山 ゆみこ(たかやま ゆみこ)
カメラマン:上澤 友香(うえさわ ゆか)
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