働き方がみるみると多様化している昨今。働く環境が劇的に変わっている現代だからこそ、「仕事で求められるスキル」を把握し、効果的な方法でスキル&キャリアアップしていきたいもの。今回のらしさオフラインでは、『どんな職場でも求められる人になるためにいますぐはじめる47のこと』の著者である藤井佐和子さんに、「らしく働くために知っておきたい 就業先で求められる秘訣」について教えていただいた。

講師:藤井佐和子さん
1968年3月生まれ。大学卒業後、カメラメーカー海外営業部のOL経験を経て、大手総合人材サービス企業にて、派遣事業部、人材紹介事業部の立上げに携わる。主に女性を対象とした転職支援チームを立上げ、数多くの転職を支援。その後、独立。延べ13,000人以上のキャリアカウンセリングを行う一方、数多くの企業に対し、研修やスキーム作りなど人材育成支援を行う。その他、大学の非常勤講師、講演、キャリアセミナー、執筆など幅広く活動。

取り巻く環境の変化を理解して

「らしく働くためには、自己分析が大事」という藤井さん。さらに、職場で活躍するためには、劇的に変化する環境の変化をしっかりと理解しておくことが大事。そのうえで、自己分析と照らし合わせてキャリアップにつなげていくといいそう。

「私たちを取り巻く環境の変化はたくさんありますが、大切なものは大きく3つだと考えています。1つ目は『多様化』。少子化により働く人が少なくなったので、女性を含め、たくさんの人が活躍できるようにしなくてはなりません。2つ目はAI。RPAの導入など、ルーティンワークを機械化していく流れがあります。私たちは仕事のやり方を変え、機械ではできないところに力を注ぐ必要があります。3つ目は高齢化。人生100年時代と言われる現代では、高齢まで働き続けることを意識しなくてはならないでしょう」

藤井さんはそれら3つに対し、詳しく説明をした。特に、RPA化への対策として、テクニカルスキルとヒューマンスキルをピックアップして紹介。知識や技術、資格といったテクニカルスキルは、これまでは重宝されたものの、RPAに代替しやすいと言われている。そのため、AIやロボットでは代替できないヒューマンスキルに着目し、もともと持っているものを自覚し、磨いていくことが特に必要だという。

募集要項に「未経験者OK」と書かれている仕事はままあるが、言い換えればヒューマンスキルが求められている。持っているものを自覚しながら、必要に応じてテクニカルスキルを身に着けていくことが大切だ。

キャリアップの方向性と、自らのビジョンを決めておく

職場におけるキャリアアップは、大きく3種類に分けられるという。

1. 違う仕事に変えていくキャリアアップ
例えば、製造からマーケティングを経て販売担当になるなど、部門間を異動して、さまざまなスキルを学んでいく。

2. 昇進、昇格など、上位層に上がっていくキャリアアップ
試用期間を経て、配属数年ののち、主任、課長、部長と、縦に昇進していくこと。

3. 仕事内容や立場、部署を変えずにキャリアアップ
同一部署や同一地位内で、自分の仕事を広げていく様子や、自己の重要性を高めていくこと。

現在の自分がどれに当てはまるのか、参加者に挙手をしてもらった。多くの人は、自分のキャリアアップがどの方向性なのか把握している様子だ。ただ、藤井さんは、途中で変化していいのだと説明。最初は1だったが、途中から3になった、などのケース。それぞれのパターンにはメリットもあるが課題もあるため、ときどき見直すのがよいのだそう。また、一見変化しないように見える3を選んだ人も、ずっと同じではなく、自らのかかわり方を変えて磨いていく必要があるだろう。

さらに、自分のキャリアでぶれない軸を持つためには、「ビジョン」が必要だと言う藤井さん。ビジョンとは働く意義や価値感、譲れないものを示す。自分に対して次のような質問をして、決めておくといい。

 「なぜその仕事をしたいのか」
 「なぜそのポジションを得たいのか」
 「なぜその会社で働きたいのか」

すべて「なぜ」の質問。その答えはすぐには見つからないかもしれないが、じっくり考える時間を設けたいものだ。

どんな職場でも求められるために、実績を積む

どんな職場でも求められるスキルを具体的に説明する前に、大事なことは「問題に気付く」「実行する」の2つだと説明する。気づかなければ実行できないし、気づいたとしても実行しなければ実績にはならない。

そのツーステップを説明した後に、演習としてAさんの具体例をスライドで紹介。職場での不満や課題を周囲の人に伝えるも、疎ましく思われてうまくいっていないケースだ。それぞれのグループでAさんに足りないスキルと、強みと思われるところをディスカッションしてもらった。

ワークの後に意見を聞くと、「気づける力はあるのに、言い方や伝え方がよくない。周囲から反感を買ってしまっている」という意見が述べられた。いくつかのグループに聞いたがおおむね同様の意見で、藤井さんも「気づけるのは強み」と解説。正義感もあるため、いい形で発信できるようになればリーダーシップスキルを発揮できる人材になる可能性がある、と解説した。

Aさんの事例になぞらえて、仕事がうまくいく人の法則として、「①期待されていることは何か、を理解し、周囲とかかわる」「②自分の感情を客観的に理解し、調整、いつも機嫌のいい人でいる」の2つを紹介した。

Aさんが高めるとよいスキルには、感情の仕組みを理解することが挙げられた。情動は、できごとの6秒後にマックスになる。そのあとで理性が働きだすので、文句を言いたいときにも、時間を置けば冷静になれる場合が多いという。

もうひとつ、アサーションのテクニックも簡単に紹介。自己主張をするときに、威圧的ではなく、直接的な表現をすることで、お互いにWin-Winの関係に持っていくことができるという。

具体的な事例を通して、仕事ができる人のスキルをリアルに感じられた今回のオフライン。自分に足りないスキルについて、講演後の食事を楽しみながら話すグループもあったようだ。著書の中の一部の紹介ではあったが、より具体的な例を知りたい方は本を読み、自らのスキルアップにつなげてもらいたい。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)
カメラマン:坂脇 卓也(さかわき たくや)
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