仕事における環境や状況が激変する昨今。見方を変えれば、自分のキャリアを見つめなおすいいタイミングとも言えそう。キャリアを考えるにあたり、現状の棚卸しや、自分が優先したいことなどをしっかりと整理しておく必要がありそう。これまでに、延べ13,000人以上のキャリアカウンセリングを実施し、研修や人材育成事業を支援してきた藤井佐和子さんに、これからのキャリアの考え方について教えていただいた。

講師:藤井佐和子さん
大手総合人材サービス企業にて、派遣事業部、人材紹介事業部の立上げに携わる。主に女性を対象とした転職支援チームを立上げ、数多くの転職を支援。その後、独立。延べ13,000人以上の女性を対象としたキャリアカウンセリングを行う一方、数多くの企業に対し、研修やスキーム作りなど人材育成支援を行う。その他、大学の非常勤講師、講演、キャリアセミナー、執筆など幅広く活動。

キャリア相談でよく受ける質問は?

はじめに、藤井さんがキャリア相談でよく受ける質問を紹介した。「やっぱり正社員が一番?」「資格って必要?」「転職回数が多いと不利になる?」の3つ。

「正社員は必ずしも一番ではありません。これからは、雇用形態よりも、自分の目的に合う仕事を選ぶ時代。正社員であれば安定、という時代でもなくなってきています。また、資格があれば安心、というわけでもありません。自分のしたいことに合っているのは大前提ですが、トレンドを見据える必要があります。転職回数は、悩んでいる方が非常に多いです。でも、自分の過去を棚卸してみれば、将来に役立つ過去の経験が眠っているはずです」

キャリアを考える上で、私たちに関わる環境は変化してきている。まずは、「多様化・少子化」。多様化が進めば、正解が1つではなく、選択肢が増えていくということになる。

次に「AI/ロボティクス・RPA化」。私たちの仕事にAIやロボットが入ってきて、現在取り組んでいる仕事がなくなったり減っていく可能性があるということ。仕事のやり方や必要なスキルが変化していくため、機械に任せるべき仕事、自分たちがやるべき仕事を見極めてスキルアップしていく必要がある。

最後に「高齢化」。人生100年時代と言われており、働く年数が長くなることが予想されるのだ。藤井さんが考える「人生100年時代に必要なもの」は、次の4つ。

「健康が大切なことは言わずもがなです。人脈は、いろいろな情報や仕事の紹介なども手に入りやすくなります。実績は、できることを増やすということなので、チャレンジをして自分の枠を広げていく必要があるでしょう。最後に学びとスキルアップ。学校で習ったものは、どんどん古くなっていきます。これからの時代は変化が速いので、学びとスキルアップを繰り返していく必要があるでしょう」

働き方は組み合わせ自由になっていく

ひとつの会社に勤めなくてはならなかった時代と異なり、さまざまな雇用形態や副業など、選択肢が増えている。「これからの働き方は、組み合わせが自由です」と藤井さんは言う。

正社員にこだわらず、自分の状況に応じて派遣を選ぶことも、副業をすることも可能な時代。副業をすれば、同時にさまざまな経験が積めるというメリットもある。

また、やりたい仕事で収入が見込めない場合に、収入のために別の仕事をしながら、並行してやりがいを追求することもできる。

40~50代に多いのが、「これまでは収入重視だったが、これからの人生はやりがい重視で働きたい」という人たち。しかし、これまでの仕事と、やりたいことがつながっていないケースがほとんどなのだそう。

そのように次のキャリアを考える際には、自分が目指したいことを明確にするといい。藤井さんが用意したのは、次の5つの選択肢だ。

5分ほど時間を取って、「次に目指したいこと、それはなぜか」を考え、書いてみるといいそう。選んだものに応じて、藤井さんから必要なポイントを解説した。

キャリアチェンジして違う仕事をする

進みたい仕事の情報収集をしよう。思い描いた理想と現実のギャップがないよう、しっかり調べておくことが大切。

お給料(時給)アップ

具体的な金額を明確にしよう。金額を決めると、選ぶべき仕事や、やるべきことが見えてくる。

正社員になる

ただやみくもに正社員を目指すのではなく、その先の目的や理由を明確にしよう。そうしないと採用面接で先方の質問に答えられない、といった事態が起こることもある。

手に職をつける

身につけたい技術が、世の中のトレンドに合っているか、さらに自分に合っているかを見極めよう。また、本当にやりたいことなのかを分析したうえでチャレンジするといい。

できることを増やす

何をできるようになりたいか、目標を明確にしよう。また、職場を変えなくてもできること、職場を変えなくてはならないことを整理したうえでキャリアを考えていくことが必要。

棚卸しをして、ヒューマンスキルを高めていこう

キャリアアップを考える際に、現状と理想のギャップを整理することが有効だという。表の白い部分を埋めていくと、現状の棚卸しができる。

これも、5分ほど時間を取って書いていくといい。

書いてみると、「お金や福利厚生は理想どおりだが、やりがいが足りない」など、理想にマッチする部分としない部分があったのではないだろうか。その場合、すべてを変えなくてもいい可能性がある。現在の職場にいながら理想に近づけることも考えてみるといいかもしれない。

これからのキャリアに必要なスキルとしては、テクニカルスキルとヒューマンスキルがある。藤井さんは、特にヒューマンスキルに着目して解説していった。

「ヒューマンスキルは人間力とも言い換えられます。コミュニケーションスキルや、ご自身の感情マネジメントなどもあげられます。これは汎用性が高く、どの業界でも会社でも必要とされ、活かせるもの。したがって、専門分野を変えながらでも、ヒューマンスキルを活用して、活躍し続けることができるのです」

藤井さんが用意したヒューマンスキルチェックを見ながら、自分が不足している点などを確認して、磨いていくといいだろう。

キャリアアップを考える上で、今までと同じように考えるのではなく、今の変化に合った計画を立てていきたい。より柔軟に、より自分らしく、働く方法を探していこう。

より詳しく学びたい方は「らしく学ぶ」より動画をご覧ください。
https://www.r-staffing.co.jp/rasisa/entry/202008073845/

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)

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