世の中が劇的に変化していく中、働き方も数年先すら予測できない状況といえる。「このスキルがあるから一生安泰」ということはほぼなく、変化に応じたキャリアチェンジが必要となるだろう。先が見えない中でのスキルアップには何をしたらいいのだろうか。今回は、キャリアアドバイザーの藤井佐和子さんに、キャリアの選び方と活躍し続けるための具体的な行動の起こし方を解説いただいた。

講師:藤井佐和子さん
大手総合人材サービス企業にて、派遣事業部、人材紹介事業部の立ち上げに携わる。主に女性を対象とした転職支援チームを立上げ、数多くの転職を支援。その後、独立。延べ13,000人以上の女性を対象としたキャリアカウンセリングを行う一方、数多くの企業に対し、研修やスキーム作りなど人材育成支援を行う。その他、大学の非常勤講師、講演、キャリアセミナー、執筆など幅広く活動。

「事務の仕事がなくなる」「専門性がないと生き残れない」は本当?

キャリアアドバイザーの藤井佐和子さんがよく受ける質問がある。それは、「事務の仕事はこれからもあるの?」「専門性がないと生き残れないの?」という2つ。

「事務の仕事はなくなりませんが、AIやロボティクスでオートメーション化されて仕事の数は減っていく可能性があります。これを機に考えていただくのも一つの手です。また、専門性を追求する『スペシャリスト』だけが生き残れるというわけではありません。さまざまな業務を経験している『ジェネラリスト』という道もあります。これらを分けて考えていくことも大切です」

スペシャリストとは、技術や知識など、その職業に必要な専門性を持っている人のこと。例えば、美容師やWebデザイナー、SE、通訳、翻訳者、会計士、経営コンサルタント、データサイエンティストなどがある。ジェネラリストとは、幅広くさまざまな業務の経験を積んでいる人のことで、それぞれは一貫していないように見えても、数多くの経験があることが強みになる。

「スペシャリストは、専門分野があるという強みがありますが、変化が激しい世の中で、今の専門性がずっと使えるという保証はありません。一方でジェネラリストは『得意分野がない』と考えがちですが、状況に応じてこれまでの経験を活用できます。例えば、人数の少ない中小企業などは、販売や事務、経理など、ひとりで何役もこなしてくれる人が求められる場合もあります」

テクニカルスキルとヒューマンスキルのピラミッド

スペシャリスト、ジェネラリストに関わらず、スキルは「テクニカルスキル」と「ヒューマンスキル」に分けられると藤井さんは言う。

「テクニカルスキルはスペシャリストのものだけではありません。ヒューマンスキルという人間力のような土台の上に乗っているもの。ヒューマンスキルは、コミュニケーショ力やチャレンジする意識、問題を発見し解決する力など、汎用性の高いスキルが含まれます」

スペシャリストでも、ヒューマンスキルを磨くことでその上にあるテクニカルスキルが活きてくる。また、ジェネラリストはスペシャリストに比べて、テクニカルスキルが低い傾向にはあるが、ヒューマンスキルを磨いていけば、職場や職種を変えても活躍し続けることができる。

いずれにしても、スペシャリストとジェネラリスト両方にとって、ヒューマンスキルの習得が大切であることは間違いない。

「ヒューマンスキルには『好奇心』『柔軟性』『冒険心』の3つのポイントが挙げられます。新しい学びの機会を模索する姿勢が『好奇心』、姿勢や状況の変化を進んで取り入れるのが『柔軟性』、結果がはっきりとわからなくても行動を恐れないのが『冒険心』です」

これらのヒューマンスキルは、行動によって磨ける。そのための行動は、以下のワークシートで見つけられるのだとか。

「好奇心」「柔軟性」「冒険心」を育むためのワークシート

藤井さんが「好奇心」を磨くために紹介したのは、「仕事上やり取りしている人」「相手はあなたに何を期待している?期待に応えるためにもう少し私がやったほうがいいことは?」を表形式で埋めていくワークシート。

「例えば、『隣の部署のAさん』と仕事のやり取りをしていることにしましょう。この方に対して『もっとわかりやすく状況を表にまとめてほしいと期待されている。マニュアルと現状がわかる一覧表を作ったほうがいい』と表に書ければ、これからの行動のプラスアルファが見えてきます」

ほかに、勉強したいと思っているものを書き出したり、話したことのない人と話してみたい内容を書き出すことが「好奇心」には有効だ。

2つ目の「柔軟性」を磨くためには、まずは自分のこだわりを明らかにしていく。「苦手な人はどんな人?それはなぜ?」「突発的な出来事や変化があった時、うろたえる?うろたえる場合には、どういう気持ちになる?」「頑固だと周りに言われたり、それを自覚している?もしそうなら、頑固で生きづらいと思ったことは?」という質問に答えることで、自分のこだわりを知ることができる。

3つ目の「冒険心」では、「本当はやったほうがいいと思っていること」「どのようにやれば不安が軽減されて着手できる?」と書かれた表に自分の考えを埋めていく。不安を軽減するための方法を具体的にすることで、着手できる可能性が高まるはずだ。

「できることを増やすために、『好奇心』『柔軟性』『冒険心』のスキルを少しずつ上げて、未来につなげていっていただきたいです。すべてを行動に移すのは難しいかもしれません。まずはひとつでもいいのでやってみる。それが未来につながる行動になっていきます」

ひとつでも行動すれば次につながるが、ゼロなら今のままになってしまう。まずはワークシートにトライし、小さなことから着手してみると効果的だろう。

より詳しく学びたい方は「らしく学ぶ」より動画をご覧ください。
https://www.r-staffing.co.jp/rasisa/entry/202103265318/

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)

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