皆さんから寄せられた困りごとを解決する、らしく働くための相談室。回答者は、『感情の問題地図』の著者であり、職場のメンタルヘルスについて研究されている関屋裕希さんです。今回は、それぞれが違う場所で働くことの難しさから出てきた困りごと。あなたは、完全テレワークの人と上手くコミュニケーションはとれていますか?

Q.完全テレワークの人と上手くいきません。モヤモヤした気持ちが増えていくばかりです。

私は隔日でテレワークをしています。完全テレワークの人と上手くコミュニケーションがとれず、わだかまりを感じています。ひどい依頼だと「出社しているんだからやってね」という感じで、終業間近に連絡が来ることもあります。それも当たり前のように。出社しなければできない業務だからこそ、やらないといけない。というのは、もちろん理解していますが、なぜ終業間際に?と、モヤモヤした気持ちを抱いてしまいます。不平等すら感じます。自分の気持ちを消化できずにいるので、ことあるごとに不満が積み重なっています。(50代)

「出社している人に負荷が掛かっている」と感じる方は、意外と多い

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テレワークをしている労働者を対象とした調査の中で、テレワークにまつわる不安やストレスの理由を尋ねたところ、ハイブリッド勤務(出勤とテレワークが混ざる働き方)をしている方は、完全テレワークの人よりも、「出社している人に負荷が掛かりやすくなることが、ストレスである」と回答している割合が多いという結果でした。

コロナ禍で在宅勤務を経験している労働者が感じるストレス | E-COCO-J | 新型コロナウイルス感染症に関わる全国労働者オンライン調査 | 精神保健学/精神看護学分野 東京大学大学院医学系研究科
https://dmh.m.u-tokyo.ac.jp/e-coco-j/13.shtml

郵便物の整理や電話対応など、出社しているメンバーに業務が偏ることも事実です。テレワークやハイブリッド勤務は、まだまだ試行錯誤なところがありますが、誰かだけに負担が偏らない方法を見つけていくことは大事なこと。今回のお悩みも、働き方が多様化したからこそ感じる「難しさ」が表れている内容かと思います。

働き方が多様化して、相手を察することが難しくなっている

テレワークだと何が難しいのかというと、チームメンバー全員が同じ場所で働いていたときには、お互いの様子からなんとなく伝わっていた「今は余裕がなさそうだな」「トラブル対応に追われて大変そう」などが、見えづらくなることです。

ともすると、自分の作業状況を伝えない限り、それは相手にとって無かったことになってしまうことも。そのため、忙しい業務に追われていたとしてもその様子は見えていないので、「出社しているんだからやってね」という依頼の連絡に繋がるのでしょう。

完全テレワークの人に不平等を感じるも、「だけど出社しないとできない業務だから、しょうがないか…」とモヤモヤした感情を抱きながら、相談者さんは今働かれているのではないでしょうか。

これ以上モヤモヤした感情を増やさないために。2つの行動で対策を

そこで今回は、2つの対策をおすすめします。

ひとつは「相手に察してもらうことは難しい」という前提で行動しましょう。例えば、見えづらい作業の様子を言語化することなど。自分の様子を相手に伝えるときは「自分ばかり大変!」という不満のトーンではなく、「郵便物が平均〇通くる」、「問い合わせの対応に1日〇分ほど掛かっている」など、客観的な事実を具体的に言語化することがおすすめです。

もうひとつは「自分の大事なものを守る」という行動です。今回のように、終業間際に依頼されるのは、モヤモヤして当然のシチュエーションです。そのとき役立つのが「感情の方程式」。モヤモヤの中にある感情が怒りだとすると、

怒り=大事なもの×傷つけられる

怒りは、大事なものが傷つけられたときに湧きおこってくる感情です(今回の場合は、職場の公正性や、自分の予定、時間が傷つけられている可能性があります)。「今日は予定があり、定時に会社を出なければいけません。なので、次回出社日に対応することでも問題ありませんか」など、自分の状況を相手にハッキリと伝え、相談してみましょう。

このように、大事なものを守るための行動をとることで怒りの感情は昇華されていきます。もちろん、「代わりに対応いただいて、ありがとうございます!」などの感謝の気持ちを言葉で伝えることも忘れずに!怒りの感情については、以下の「らしさラジオ」で詳しく解説しています。ぜひ合わせて、お役立てください。

怒りと上手く付き合うための方法5選!

回答者:関屋 裕希さん

福岡出身。臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員・精神保健学分野 客員研究員。大学院時代は「怒り感情」をテーマとした研究に従事。専門は産業精神保健(職場のメンタルヘルス)であり、心理学の知見をもとに、ストレスマネジメントに関する講演、企業の組織的なストレス対策に関するコンサルティング、執筆活動を行っている。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。

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