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医師とともに最先端の現場で働く。医療の進化を目指す、研究の仕事が好き

医療の世界には、一般的になじみのある医師や看護師以外にも、さまざまな役割の専門職がある。患者さんたちと直接的に関わる仕事だけではなく、治療のための研究に従事している人たちも大勢いる。萩原吟重さん(41)も、その一人。医療機関への派遣スタッフとして、糖尿病治療に関する研究に取り組んでいる。現在は2人の男の子を育てながら、研究を続けている萩原さん。なぜこのキャリアを選んだのかを聞こうと、彼女が働く国立研究開発法人 国立国際医療研究センターの研究室をたずねた。

医療機関の研究チームで、まだ世の中にない治療法を探る

「糖尿病には1型と2型があって、一般的に知られている症状は2型。しかし1型は、体質改善や食事療法では治らない病気なんです。私はその治療法を見つけるための研究にたずさわっています」

はじめに、ご自身がたずさわっている研究について説明してくれた萩原さん。2015年から、この法人の研究所で働いている。10名ほどが所属するチームで、細胞培養などの医療実験を行ない、基礎研究を一歩ずつ進めていく。

萩原さんは大学を卒業してからずっと、さまざまな医療機関の研究施設を選んで働き続けている。そのきっかけをさかのぼっていくと、10代の頃の経験にたどりついた。

自分も、医師とともに働きたい!医療の研究職を志す

子どもの頃から動物が好きで、はじめに夢見たのは獣医。そのために必要なことは何か、と調べていくうちに、自分は根っからの理系タイプであるとわかったそう。

「理科の実験や、数学も好きでした。出発点は動物への興味でしたが、祖母の病気などをきっかけに、医療の世界に憧れるようになったんです」

進学するにあたり、萩原さんが選んだのは検査技師の勉強ができる大学。自然と、看護師など直接患者さんに接する仕事ではなく、研究職を志すようになったという。

そして彼女は、医療の最前線で、医師とともに働くことを選んでいった。

「こんなにも真剣に向き合っている人がいる」医療の世界で受けた衝撃

「やはり医療の世界はすごい!」と改めて衝撃を受けたのは、大学卒業後すぐに勤務した大学病院の研究室だった。たずさわっていたのは、乳がんの研究。今から17年前、乳がんに対する理解は現在ほど広まっておらず、どの科にかかったらいいのかもよく知られていなかった。

「そうした病気の現状と、医師たちが日々懸命に向き合っているのを目の当たりにして。病気を治療することだけではなく、きっと迷っているであろう患者さんのためにできることを真剣に考えている――その事実に感動したんです」

こうした研究の仕事を続けていきたい。そう考えていた萩原さんだったが、結婚を機に転職したクリニックでは、多忙のあまり、平日も休日も仕事のことが頭から離れない……という経験もしたそう。

「仕事自体は、とてもやりがいがあって嫌ではなかったんです。でもやっぱり、人には休みが必要なんですよね。自分の健康も維持していかなければいけないし、これから子どもを産むことを考えると厳しいな、と」

2人の男の子を育てながら、仕事では実験に没頭する毎日

医療関係の研究職の仕事ができるなら、正社員でも派遣スタッフでも、こだわりはなかったという萩原さん。現在は17時までには仕事を終え、家族のもとに帰る毎日を送っている。

子どもは4歳と6歳の男の子。子どもが大好きだという夫が、よく面倒をみてくれるのだそう。

「職場はみんな医療従事者だからか、子どもの状態にも理解があるんですよね。子どもが熱を出して……というと、すぐ『早く帰ってあげて』といってくれる方が多くて。今まで、働きにくいと感じたことはありませんでした」

子育てに、仕事にと忙しい日々ではあるが、彼女がこの仕事を楽しんでいるのが言葉の端々からうかがえる。

「実験は思い通りの結果が出ないことも多々ありますが、そのこと自体が興味深いですよね。同じ条件で培養した細胞でも、こんなに結果が違うんだ……と。そうすると、『じゃあ、今度はこうしてみよう』と冒険心がわいてくるというか。そうしたプロセスが好きなのかもしれませんね」

医療を支えているのは、当然だが医師だけではない。自分の仕事も、間違いなくその一端を担っている――そんな仕事に対する誇りが、彼女の毎日を支えている。

実験の間のリフレッシュ方法は、棚の整理整頓!

研究室で実験をするときは、細胞の培養液や薬品などの液体を扱うため、PCなどのデジタル機器をすぐに取り出して使うことができない。そのため、メモを取る際のA4サイズのバインダーとメモ用紙が欠かせないのだとか。実験結果や数値の計算など、ひとまず最低限の記録を手書きで残している。

そんな仕事の合間の息抜きは、なんと「整理整頓」だという萩原さん。

「ずっと座って実験に集中していると、気分転換したくなるじゃないですか。そうすると、実験器具や薬品の棚を整理し出す(笑)。なんとなく、リフレッシュできるんですよね」

温かい飲み物でホッとひと息つくこともある。最近はコンビニのホットコーヒーがお気に入り。冷めてしまった飲み物をレンジで温めるのに、マグカップが活躍する。

ライター:大島 悠(おおしま ゆう)
カメラマン:上澤 友香(うえさわ ゆか)