紙の書類管理で困っている方にエールを送る、ファイリング応援部。今回の困りごとは、仕事に集中しているとき「あの書類どこだっけ?出してきて」と声を掛けられてしまうこと。どうしたら改善する?ファイリングのプロにお聞きしました。

今回の困りごと

集中しているとき「あの書類どこだっけ?出してきて」と声を掛けられる。

実はファイリングで最も重要!書類探しの仕組み

ファイリングのポイントは、「的確なタイトルをつけて、分類・管理することである」とご紹介いたしました。

▼「○○書類、その他」を使わずタイトルを付ける方法

そしてこの先に、実は最もファイリングで重要な作業「ファイルリストの作成」があります。個別フォルダの使用を例に、ご紹介します。

書類探しの仕組みとなる「ファイルリスト」とは?

このファイルリストは、「ファイル基準表・文書管理リスト」などと呼ばれます。100個の個別フォルダがあれば、その分、ヌケモレなく全てをリストに入力。そのとき、以下イメージのように、大分類・中分類・個別フォルダタイトルの3階層に分けて入力します。


▲他にも、備考、廃棄予定日、引き継いだときの状況、担当者などの欄を加えてもいい

実際に書類が入っている個別フォルダにも、仕切りの役割を行う、大分類・中分類の「ガイド」を差し込みます。


▲個別フォルダにガイドを差し込む。見出しスペースの割合から、「1/6カットの仕組み」「1/6カットシステム」とも呼ばれる

大分類・中分類のガイドを差し込むことで、実際の分類仕切り+個別フォルダの並んでいる状態そのものが、「ファイルリスト」に表示されます。

そのため、この「ファイルリスト」があれば、目の前に書類がなくても、探している書類が、「どの分類の・どのタイトルの・どの個別フォルダに入っているか」、その並び順まで正確に把握することができます。

「ファイルリスト」で運用できるメリット

上記リストがなくても、「自分の担当の書類なら数秒で出せるので、リストまで作らなくてもよい」という方も多いです。しかしこれが案外日常で大活躍します。

例えば、自分の担当の業務に関して「あの書類出して」と周囲から聞かれることがある場合、リストがあれば、各自がリストから必要な書類を探し、自分で取り出すようになります。

当然、この仕組みに周囲もなじむことが前提ですが、実際にリストを作成した方からは「『あの書類だして』と声をかけられて手が止まることがなくなった」「自分の仕事に集中できるようになった」という声も多数いただいています。

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そして実は「書類出して」と依頼する側も、忙しいと悪いからと、声を掛けるタイミングを見計らっている方も多いです。

もちろん、「リストがあっても探してくれない」「どうせあの書類どこ?と聞かれるので意味がない」というのは、現場の声としてはよくあります。ただ、運用がうまくいかない“人”の問題と、仕組みを整えておくのは別の課題です。

■運用を始めてみた方の声 他にも

「ある営業担当者たちは、絶対に自分で書類を出さない」とおっしゃっていた方がいました。運用をスタートして「ここにリストがあります」「このタイトルの通り並んでいます」と説明した結果、1週間もしたら、「みんな絶対にまず私に聞いていたのに、自分で取り出してくれる人が増えた」と大喜びされていました。

■ファイルリストの活用例

・Excel上で管理し「検索機能」を使って見つけてから、書類を探しに行く
・リストを印刷して、個別フォルダに入れておく
・リストを印刷して、書類が入っているキャビネットの扉裏に貼っておく

顧客名簿などの個人情報が含まれている場合は、セキュリティ上の取り扱いにご注意ください

自分が休む日は『このリスト見て』。さらに、引継ぎ時にも

もちろん先のリストは、自席にいないときでも有効です。「休みの日に連絡が入ることが無くなった」「連絡しなくてよくなった」という声もよく聞きます。コロナ禍では、「書類の場所を頻繁に聞かれるけれど自分もここにある、とはっきり言いきれないため出勤せざるを得ない」なんていうケースも聞きました。リスト1つで連絡の数、働き方の選択肢も大きく変わります。

また、日々の書類を共有する・探すというシーンだけではなく、異動や退職のときなどにも活躍します。次の人へ引き継ぐ際は、そのリストと書類をセットで渡すだけです。引き継がれる側は、短時間で効率よく業務の全体把握も可能になります。

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理想は全部署のファイルリストがもともと社内にあり、組織的に管理共有・引継ぎがなされていることです。この管理の仕組みがある企業なら、個人の判断に書類管理が委ねられることがないため、組織的に書類も整い管理されているので、既に上記のような共有が成立しているでしょう。

ただ職場にこのような仕組みがない場合、自分だけでも「ファイルリスト」を作成すれば、今日からすぐメリットが受けられます。たくさんのシーンで活用できますので、まずは自分用のリスト『マイファイルリスト』を作成してみませんか。

次回は、ファイルリストの具体的な活用方法をご紹介します。

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コラム執筆:長野 ゆかさん

株式会社オフィスミカサ代表取締役。業務効率化コンサルタント。元大阪府八尾市役所職員。公文書管理法に基づいた、文書(書類・データ)ファイリング技術から環境改善・業務効率の改善まで幅広く指導。オフィスの環境改善を業務改善へつなげる(モノからコトへ)ことで、全社的な業務効率アップを実現。これまでに約50トン以上の書類削減実績がある。著書は『実践! オフィスの効率化ファイリング』『実践!はじめてのホームファイリング ―「おうち書類」の片づけかた』(同文舘出版)など。

▼これまでの「ファイリング応援部」
ファイルのタイトルなにが正解?
ファイルのタイトル思い浮かばないときは?

イラスト:うるぽろ

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