書類管理は、得意ですか?「書類を捨てる・綴じるだけ」と思われがちですが、職場で苦労している方も多いのでは。例えば、ファイルに付けたタイトルが曖昧で、『あれどこ?』と毎回尋ねられたり、そのまま書類探しに付き合ったり…。
そこで本コラムでは、ファイリング応援部として、職場で使える改善ポイントをご紹介します。もちろん、自宅でも応用可能です。
ファイルのタイトルは、何が正解?
ポイントは、自分ではなく、「誰が見ても」
どんなタイトルが正解ですか?とご質問をいただいたときにお伝えするのが「誰が見ても、中身が具体的かつ正確に推測できるタイトルが正解」です。これが一見簡単なようで難しい。
例えば「パンフレット」と書いた場合、これでは50点です。自社パンフか他社パンフかわかりません。ほかにも、どのような目的でそのパンフレットを保管しているのかなども重要です。
・誰が見ても、中身が具体的かつ正確に推測できるタイトルが正解
・そのファイルを保管する目的
上記に沿って、
などと、情報を補い、共有できるようにすることがポイント。
こう説明すると「私の担当だから、企業案内に決まっています」「自分しか見ないから適当でも大丈夫」という方がいますが、突然誰かに探してもらうシーンが万が一にもない、と言い切れる方は少ないのではないでしょうか。
また数年たてば、自分が付けたタイトルですら「これなんだっけ」となるのは、笑ってしまうけどよくあること。たった数文字の補足で、その後処分するそのときまで、行動・思考も含めアクション数は何十回、何百回、と変わってくる。そう考えれば、もう数文字絞り出してみる価値があると思いませんか。
ペーパーレスが進んだ職場ほど、「共有」が難しい
改善のコツは、「これが何のファイルか考える」「間違ったファイルを取り出してしまう」という無駄なアクションを徹底的に排除することの積み重ね。実はどの職場でも大きく課題になる仕事の属人化は、こうしたタイトルの付け方も大きな要因の1つといえるでしょう。
また残念なことに、ペーパーレスが進んだ職場ほど、データの共有が難しく、より個人で抱えがちに。ナレッジの共有は今また課題だと言われているのはこれが理由です。
文書管理スキルは共有が基本。資料や情報が共有できなければ知識の共有も難しく、属人化の課題に大きく影響します。
さいごに。よくあるNGタイトル3選をご紹介
共有するためには、「誰が見ても、中身が具体的かつ正確に推測できる」がキーワードですが、1件1件ファイルの内容が違うことから、具体的にすべてをご紹介することはできません。
そこで逆に「こんなタイトルNG」のよくあるワースト3をご紹介します
3位
○○書類、○○資料、○○綴り
全部書類、全部資料、全部綴りです。あえてその限られた貴重な背表紙スペースに入れる文字情報として、その単語を加える意味を考えてみてください。
例えば「イベント資料」とだけ書いてあった場合。次回のイベント内容を決めていくためのアンケート資料であれば、
次回のイベント候補場所を集めた資料であれば、
より多くの人が同じ書類をイメージできるでしょう。
2位
イベント1、イベント2……
数字だけで情報を足しているのもよく見かけます。
確かに時系列であることはわかりますがそれなら「@月から@月」と書いてしまった方が、よりわかりやすいでしょう。
また、内容が違うにも関わらず、「イベント1」「イベント2」「イベント3」と番号に頼っているケース。この場合は、
と内容を補足する情報をタイトルに記載すると、通し番号+情報がわかり、よりよいでしょう。
1位
重要○○、緊急○○
「重要書類」もよくあります。「あの重要書類と書いたファイル、何の情報が具体的に入っているかわかりますか?」とお聞きしても、誰もわからない。だいたい埃がかぶっています。
「誰が見ても、中身が具体的かつ正確に推測できる」は今の段階ではできていません。そして、実際に手に取ってみてみたら「当時の担当者にとっては重要だったけれど、今となっては不要・陳腐な情報」ということもよくあります。またここから「以前探していた書類が出てきた」なんてこともあります。タイトルが正しく付いていなければ、結局見つけられず使うこともできないのです。
もしこの単語を上手に使うならば、『重要=処分のときに上長に確認してから』など社内で言葉に対する意味や行動を統一しておかれるとよいでしょう。
・・・
いかがでしたか?ほかにも、「その他1、その他2……」もよく見かけます。気づいた方もいらっしゃるかと思いますが、共有するためのタイトルを付けるには要約力が必要です。次回は、要約力を身につけるコツをご紹介します。お楽しみに。
株式会社オフィスミカサ代表取締役。業務効率化コンサルタント。元大阪府八尾市役所職員。公文書管理法に基づいた、文書(書類・データ)ファイリング技術から環境改善・業務効率の改善まで幅広く指導。オフィスの環境改善を業務改善へつなげる(モノからコトへ)ことで、全社的な業務効率アップを実現。これまでに約50トン以上の書類削減実績がある。著書は『実践! オフィスの効率化ファイリング』『実践!はじめてのホームファイリング ―「おうち書類」の片づけかた』(同文舘出版)など。