ビジネス英語は覚えることがたくさん。でも、異文化を理解して英語発想を身につけることで、ビジネス英語をマスターする近道になるはず。日本語から直訳できない表現や、敬語の表し方など、神林サリーさんが動画で解説。考え方から理解して、普段のメールや会話に役立てていこう。

講師:神林サリーさん
英語インストラクター。学習カウンセラー。アメリカ留学後は、モデルをしながら通訳・翻訳学校でプロの英語を習得。オーストラリアでの就労経験や、大手英会話学校の講師、外資系企業の秘書、営業、通訳などのビジネス経験を活かして、現在はフリーの英会話インストラクターとして活躍する。著書に最新刊 『イケメン英会話フレーズ』をはじめ、『英語で手帳を書こう』『Sally先生のバイリンガル英会話学習法』『英語でショートスピーチ』『たったひとことでモテる英語の伝え方』などがあり、累計16万部突破。

直訳できない「おつかれさまです」

直訳できない日本語はたくさんある。名詞や動詞などの単語レベルでひとつずつ訳が存在しても、すべての日本語フレーズを英語に訳せるわけではない、というサリーさん。ところが、日本語独特の表現は、英語にない場合が多いのだそう。

代表的なものは「おつかれさまです」というフレーズ。会ったときの挨拶にも、別れの挨拶にも使う。

「生徒さんによく『おつかれさまです、って英語で何と言いますか?』と聞かれるのですが、英語には存在しないんです。一緒に働いていた外国の先生も日本語の『おつかれさまです』を覚えて使うほどで、『英語にもあったら使いたい』と言っていました」

何も知らずに直訳しようとした生徒さんから「You look tired.」と言われ、「疲れた顔をしているのかな?」と気になったというサリーさん。毎回言われるので尋ねたところ「おつかれさまです、と言いたかった」と言われたのだそう。

また、別の生徒さんには「Thank you for your hard work.」と言われたこともあった。そのシチュエーションでは通常そんな言い方はしないため、どういう意味なのかと本人に尋ねたら、やはり「おつかれさまです、と調べました」と言われたのだそう。辞書に載っていたという。

「解決法としては、言葉を訳すのではなく、意味を改めて考えるのが大事です。『おつかれさま』は相手をねぎらうためにある言葉です。また、別れのときに使う挨拶としてなら、そういった意味も含まれています」

別れ際なら「See you.」でよく、相手をねぎらうなら「Have a good day.」など英語ならではの表現を使えばいいのだ。

「お世話になっております」などのお決まりフレーズ

「おつかれさま」と同様に、メールなどのお決まりフレーズも直訳に注意したいところ。サリーさんが取り上げたのは「お世話になっております」だ。「お世話」という単語があるので「take care of」を使いたくなってしまう人が多いらしい。

「生徒さんが、『You’re taking care of me.』と書いてくれたことがありますが、『お世話をしてくれていますね』みたいな言い方は英語ではしないのです。また、『You took care of me.』と口頭で言われたことも。でも、『お世話になっております』は直訳できないんですよね」

これも、日本語のお決まりフレーズであるため、「お世話」という言葉にあまり意味はない。挨拶ができればいいので「Hello.」などでいい。また、英語での決まり文句としては「I hope you are doing fine.」などが挨拶として適切だ。

「ただし、本当に何かのイベントなどでお世話になって感謝を伝えたい場合には、『Thank you for your help the other day.』という言い方もあります」

そのときによって状況が異なるので、「お世話になっております」に対する完璧な訳があるわけではないのだ。

同様に「I’m sorry. You are busy.」「Every time I’m sorry.」なども通常は使わない表現。それぞれ、生徒さんが「忙しいところすみません」や「いつもすみません」と表現したかったのだそう。

「これは意味を考えると、『I’m sorry』ではなく『Thank you』です。日本語では『すみません』を使うため『I’m sorry』を使いたくなるかもしれませんが、伝えたいのは感謝ですよね」

意味を考えると、それぞれ「Thank you for your prompt reply.」「Thank you so much.」など、状況に応じた適切な表現を使いたいところだ。

「辞書が必ずしも正解なわけではありません。日本語から訳すと違和感があるので、おすすめは英英辞典。その方がナチュラルな英語を学ぶことができます」

敬語の使い方にも英語ならではのコツ

敬語にもコツがある。「日本語は縦、英語は横」を押さえておくといいとサリーさん。

「日本語では年上、年下ということをすごく気にします。一方で英語圏は関係性が大事なのであって、年齢は関係ない。だから、日本語は縦、英語は横という解釈ができます」

例えば、「先輩」「後輩」という言葉はなく、すべて「friend(s)」になる。同様に「同期」という考え方もなく、仕事仲間なら「co-worker(s)」の「同僚」となるのだ。また、兄や弟、姉や妹という言い方もせず「brother(s)」「sister(s)」となる。上や下を区別しないのだ。

呼び名も縦と横の考え方が役に立つ。日本では上司をファーストネームで呼ぶことはまずないが、英語圏では一般的。

「ただし、最初だけは例外です。Mr. Jason Homesという上司がいたら、最初は『Mr. Homes』と呼ぶ方がいいでしょう。すると相手に『Jasonと呼んでください』などと言われるので、以降はJasonと呼べばOKです。その後もずっと『Mr. Homes』と呼んでいたら、何か特別な理由があるかと思われてしまいます」

先生の名前も同様。ファーストネームで呼んでも失礼には当たらないという。

さらには、「Thank U(=you)」といった省略語を使わない、「: )」のような絵文字を使わない、カジュアルな話し言葉を使わない、といったコツがある。カジュアルな話し言葉は、「Yeah」や「wanna do」などが代表的。特に「want toはビジネスでは使いません」と断言するサリーさん。「I’d like to」を使うといいとのこと。

全て丸暗記するのではなく、文化の違いを理解することで英文を作る助けになる。また、新しい知識もより覚えやすくなるはず。特に、日本語の発想を直訳して英語で使おうとしないことが大切だ。しっかりと理解して、ビジネス英語を使っていきたい。

より詳しく学びたい方は「らしく学ぶ」より動画をご覧ください。
https://www.r-staffing.co.jp/rasisa/entry/202010234397/

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)

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