ビジネスの現場やSNSなど、さまざまな場面で「文章力」は欠かせない。会話であれば、相手の理解度を計りながら伝えられるものの、文章の場合は必要な情報をまとめて伝えなくてはならないケースが多い。そのため、相手にうまく伝わらなかったり、自分で読み返してもわからなかったりするのではないだろうか。「文章力があれば的確に伝わるのに……」と、悩ましいところ。そこで、書籍『才能に頼らない文章術』の著者である上野郁江さんに、文書力をアップさせる方法をレクチャーしていただいた。

*本記事内容を動画で学ばれたい方はこちらからご視聴ください。

講師:上野 郁江さん(エディトリアル・コンサルタント / 株式会社エディットブレイン代表取締役)

人や会社を編集するエディトリアル・コンサルタント。その人の持つ強みや、会社の独自性を発見して、情報発信についてアドバイスする。編集スキルを「編集の文法」として体系化し、現在は同手法の内容を元に、「人に伝わる」文章の書き方支援、編集部構築支援プログラムなどを提供する。また、複雑に絡み合う事象を編集者の視点で可視化する「編集思考」を提唱。企業の事業戦略にそった情報発信の提案や新規事業支援も手掛け、編集スキルの可能性を社会に広げている。一般社団法人クリエィティブ思考協会理事。慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科研究員。

編集の文法チェックシートを活用して文章力をアップ

講師の上野さんは、「どうやって文章力を伸ばせばよいのですか?」という質問をよく受けるのだとか。そんなときは、「編集の文法チェックシートで練習すれば、上達します』と答えている。

「編集の文法とは、編集者が文章をわかりやすくするために使っている技やルールのこと。そのチェックシートを使ってご自身の文章を添削し、直していくと読みやすい文章が書けるようになります」


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編集の文法チェックシートを使った上達法の良いところは、才能に頼らないこと。チェックシートに沿って修正していくことで、文章力が上がっていくのだ。

上野さんの著書『才能に頼らない文章術』の31項目の中から、今回はエッセンシャル版として13項目に絞り紹介していく。7日間のカリキュラムとして用意しており、続けると自分の意図した内容が相手に伝わる形で書けるようになる。

(編集の文法チェックシート・エッセンシャル版は、こちらからダウンロードできる)

「『伝える』と『伝わる』は異なります。『伝える』とは、『○△□』と話したつもりが、相手の頭の中で『○◆■』と再現されてしまう。これは一応伝えているかもしれませんが、伝わっているとは言えません。『伝わる』状態は、相手の頭の中にそのまま同じ形で『○△□』と再現され、適切に行動できることだと考えています」

まずは過去に書いた文章を使い、添削と書き直しの練習から

7日間のカリキュラムを始める前に、1日1時間を7日間スケジュールに入れ、他の予定を入れないようブロックしておこう。時間を確保することがスタートとなる。

そのうえで、次のものを用意する。

編集の文法チェックシート
・赤ペン(消せるペンがおすすめ)
・過去に自分が書いた文章(600字程度)を2つ用意し、印刷しておく

自分が書いた文章は、議事録や報告書などのほか、SNSなどネット上に自ら投稿した記事でもいい。

・1日目:レベル1で添削する

過去に自分が書いた文章の1つ目を使い、チェックシートに沿って添削をしていく。文章を印刷した紙に赤ペンで印をつけ、コメントを入れていく。このとき、自分で添削するのもいいが、ペアでお互いに添削し合うのも効果的。

1日目は、チェックシートのレベル1、文章基礎力だけでOK。文章全体に赤字を入れたら、チェックシートに記入していく。できていれば評価に○、1~2個のミスまでは△、3個以上は×を書く。

・2日目:添削した文章を直し、別の文章をレベル2まで添削する

1日目で添削した文章を修正する。30分と区切って直すのがコツ。書き直したあとに、再度チェックシートで見直しをする。

残りの30分で、1日目に添削したのとは別の文章をチェックリストに沿って添削していく。今回はレベル2まで。1日目と同じように、「○△×」をチェックシートの評価に記入する。

もし時間が足りなくなったら、3日目に持ち越してOK。

・3日目:添削した文章を直す

2日目に添削した文章を書き直す。チェックシートの評価に記入した、△と×の部分を重点的に。1時間の中で、表現の練り直しをするよう心がけよう。

4日目からは新たに文章を書いて添削し、書き直してみよう

・4日目:明日書く文章のテーマや目的を決める

翌日600~800字の文章が書けるように、テーマや目的を決める。クライアントへのサービス説明や、業務報告書、依頼メールなど。「誰に」「何の目的で」「何を伝えるか」の3つの視点を明確にしておく。

テーマの決定が難しい場合には、「SNSに友だち限定で投稿する」という設定でもいい。その場合にも、3つの視点を明確にしていこう。

・5日目:実際に書いてみる

4日目に決めたテーマで、600~800字の文章を書く。1時間を超えないよう、タイマーをセットするといい。書き終わらなかったら、時間が来た時点で終わりにする。

・6日目:レベル3まで添削する

5日目に書いた文章に対して、チェックシートのレベル3まで添削していく。

レベル3には「⽂章全体のロジック(論理構造)が通っており、読者に意味が伝わるか」といった判断が難しい項目もあるが、「読み返しをせず理解できたか」という判断基準を使うといい。自分で判断するのが難しければ、第三者に読んでもらうのもおすすめ。

また、自分が設定した「誰に」「何の目的で」「何を伝えるか」の達成も確認する。

・7日目:6日目の添削を基に、自分の文章を直していく

レベル3の評価のどれかに「×」が付いた場合には、改めて文章の構成を考える必要があるため、最初の目的を再確認するといい。

書き直しができたら、再度チェックシートで見直しをして終了となる。

添削見本を見ながらレクチャー

次に、実際の文章にチェックシートを使って添削する方法が紹介された。動画内ではWordの文章にコメントで修正内容を記載して見せ、そのあとに編集履歴を残した形で修正していく。

一読して違和感に気が付かなくても、チェックリスト通りに「主語と述語が明確に示されているか」などを確認していくと、主語と述語がずれているのを発見できることも。

そのあとで、チェックリストをひとつずつ確認し、「○△×」を評価に記入していく。

「毎日1時間」と時間を区切って、チェックリストによる添削に慣れていくのがコツ。7日間できたらそれで終わりではなく、大事な文章では毎回チェックしていくとよさそう。文章力をアップして、適切に「伝わる」文章が作れるようにしたいものだ。

添削見本など詳しい内容を見たい方は、動画でご覧ください。
動画:らしく働くための相手に伝わる「文章」の磨き方

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)
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