ひとつの会社で働いていると、世の中の変化になかなか気が付けないかもしれない。ところが今、働き方をめぐる環境は劇的なスピードで変わり続けている。これから自分らしく、幸せに働くために、どのような情報や考え方が必要なのだろうか。働き方の専門家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんをお迎えした本イベントは、142名が参加した。その模様をレポートする。

講師:ピョートル・フェリクス・グジバチさん
ポーランド生まれ。ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後、2000年に来日。モルガン・スタンレーにてラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデント、グーグルにてアジアパシフィックでのピープルディベロップメントやグローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。現在は、独立して2社を経営。
著書に『0秒リーダーシップ』(すばる舎)、『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法』(SBクリエイティブ)、2018年2月『ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち』(大和書房)、3月『Google流 疲れない働き方 やる気が発動し続ける「休息」の取り方』(SBクリエイティブ)発売予定。

破壊的イノベーションは見えないところで起こる

グーグルで先進的なピープルデベロップメント(人事)を担当していたピョートルさん。ポーランドで生まれ、さまざまな経験をしてきたプロフィールを紹介したあと、参加者に次のような質問を投げかける。

「自分の仕事はあとどれくらいでAIに置き換わると思いますか?」

歴史的には、AIでないにしても、新しい技術に職を奪われた人たちがいる。例に挙げたのは「氷の収穫」という仕事。気温の低い場所で氷を手に入れ、気温の高い場所へ輸送すれば非常に高く売れたのだ。ところが、氷を作る工場ができ、さらには家庭用の冷凍庫を作る工場ができてしまった。「氷の収穫」をしていた人たちの職を奪うイノベーションは、突然、劇的に起こった。

「このように、破壊的イノベーションが見えた時にはもう遅いのです。少なくとも氷の収穫者には見えていなかったのでしょう。今はそのころと違い、インターネットを使って無料で勉強ができます。自分のいる世界や経済を、グローバルな視点で詳しく見るように心がけてください」

新しいワークルールは、クリエイティブエコノミー

過去から見ていくと、働き方のルールはどんどん変わっているという。ピョートルさんは、下からWork1.0、Work 2.0、Work 3.0と書かれたスライドを表示した。

「Work 1.0は生産経済で、働き方は肉体労働。求められるのは『勤勉さ』と『服従』です。Work 2.0はナレッジエコノミーと呼ばれ、『知能』と『服従』が求められます。Work 2.0とWork 3.0の間に赤い線が引かれていますが、これがAIに代替される仕事の境目。Work 3.0はクリエイティブエコノミーで、『情熱』『創造性』『率先』が必要となるでしょう。それらは、まだAIで代替する道が見えていないのです」

だからこそ、これからはWork 3.0の仕事が重要になる。

続いて、これからの働き方で必要なキーワードが紹介された。いくつかピックアップして紹介しよう。

・「Learn × Un-Learn」

新しいことを学ぶ「Learn」は、これまでもこれからも必須だが、これからのホワイトカラーにはさらに「Un-Learn」が必須となる。時代遅れの考え方を捨てる必要がある。

・「ものづくり」(メーカー)から「仕組みづくり」(プラットフォーム)へ

ものづくりの世界は終わり、これからは仕組みやプラットフォーム作りが大切になっていく。仕組みとは、テクノロジーのことだけでなく、コミュニティづくりでもある。

・「強欲主義」から「利他主義」へ

お金を求めるだけでなく、これからは社会貢献を考えながら仕事をしたほうがいい。評価は「お金」または「ありがとう」。仕事によってもどちらを受け取るかは変わっていく。

自己開示するための質問と、モチベーションに気づかせる質問

仕事を通して幸せになるためには、「自己実現」が大切だという。自己実現とは、自分の価値を使って世の中に何らかの影響をもたらしていくこと。そのためには、自分を知る「自己認識」が必要で、さらにはそれを「自己開示」し、「自己表現」していくというプロセスをたどる。その後で初めて「自己実現」が成り立つ。

「自分が何をやりたいかまず決めて、それを自己開示していくのが大切です。貢献したいという思いに加えて『大きいことをやりたい』『大きな挑戦をしたい』と考える人にフォロワーが付くのです」

ここで、自己認識や自己開示に関するワークを実施。2人組になり、次の質問からどれでも選んで相手に質問するよう促した。リラックスするためのアイスブレイクをしたあと、自己開示するための質問5つをスライドに表示した。

1.あなたのパッション(情熱)は何ですか?(何に夢中なのか)
2.あなたのビジョンは何ですか?(どんな世界が見たいのか)
3.あなたのミッションは何ですか?(何がしたいか)
4.あなたの野望は何ですか?(どういうふうに、いつまでやりたいのか)
5.あなたのサポーターは誰ですか?(あなたに応援、支援できる方は?)

この質問の答えを、ペアになった相手とシェアしていく。

次は、「モチベーションに気づかせる」7つの質問を紹介。

1.あなたは仕事を通じて何を得たいのか?
2.どうしてそれを得ることが大切なのか?(3回問う)
3.何をもって「いい仕事をした」と言えるだろうか?
4.どうして今の仕事を選んだ(選んでいる)のか?
5.去年の仕事は、今年の仕事にどうつながっているだろうか?
6.あなたの一番の強みは何だろう?
7.私(たち)はあなたをどう支援できますか?

お互いに質問をしたり、自分のことを開示することで、会場は一気に和気あいあいとしたムードに。2分ごとのワークを短いと感じた人が多かったようで、話し足りない雰囲気が漂っていた。

最後に、ピョートルさんよりリーダーシップについて補足があった。

「リーダーシップは、リスクを取ることだと言い換えられます。『リスク』は日本語ではマイナスのイメージかもしれませんが、元の言語であるラテン語は『リスカーレ』と言い、チャレンジの意味。チャンレジしないと伸びず、失敗しないと成功もありません。だから、できるだけ大きなチャンレジをしてください」

先の見えにくい時代を生きていくために前に進むのは、リスクもあるし大変に勇気が必要かもしれない。それでも、自分にとってのチャレンジをし続けてらしく働いていきたい。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)
カメラマン:坂脇 卓也(さかわき たくや)
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