テレワークで活用できるサテライトオフィス|利用時のメリットと注意点

2021.02.25

テレワークで活用できるサテライトオフィス|利用時のメリットと注意点

「テレワーク=在宅勤務」と思われがちですが、テレワークはオフィスから離れた場所で働くスタイルの総称で、サテライトオフィスでの勤務もテレワークのひとつです。サテライトオフィスは、支店や支社とどのように違うのでしょうか。企業がサテライトオフィスを活用する場合のメリットと注意点についてご紹介します。

サテライトオフィスとは

本拠地から離れた場所にある簡易オフィスのこと

サテライトオフィスは、テレワーク時の就業場所のひとつです。英語の「satellite」、つまり「衛星」から付けられた名前で、本社(本拠地)から離れた場所に設置されたワークスペースを指します。

支社や支店との違いは、設置される目的や規模、設備にあります。支社や支店が業務全般をおこなえる設備と人材を揃えているのに対し、サテライトオフィスはコンパクトな広さで設備も簡易的です。

サテライトオフィスの種類

サテライトオフィスには、エリアや契約形態によりいくつか種類があります。

エリアで見たサテライトオフィスの種類

都市型
顧客が集中する主要都市に拠点を置くケース。地方に本社がある企業に多く見られますが、都市部に本社がある企業でも、顧客近接を目的として設置することがあります。

郊外型
都市部に本社があり、郊外に拠点を置くケース。職住・顧客近接を目的とすることが多いようです。

地方型
地方の雇用創出や地方創生への貢献も目的とし、本社がある都市部から離れた地方に設置するオフィス。事業拡大を目的として設置されることもあります。

契約形態で見たサテライトオフィスの種類

専用型
自社専用に設置されたサテライトオフィス。業務機器やネットワーク設備、セキュリティ対策が整っているので、準支社・支店的な使い勝手が期待できます。

共有型
「シェアオフィス」「コワーキングスペース」と呼ばれ、他社とオフィススペースを共有するスタイルです。法人だけでなく、個人事業主が利用することもあります。

サテライトオフィスが注目されている理由

国や企業が推進する働き方改革に加え、2020年は新型コロナウイルス感染拡大を防止するための手段として、テレワークの推進に拍車がかかりました。そのような社会状況下で注目されたのが、サテライトオフィスです。

また、少子高齢化による労働力不足の問題も背景にあります。企業にとって働き続けてほしい優秀な人材が、育児や介護など家庭の事情で離職してしまうのは非常に残念なことです。「仕事を続けたいが、毎日オフィスに通勤するのは難しい」という事情を抱えている人が、自宅からほど近いサテライトオフィスで業務ができれば、プライベートとの両立もしやすくなり、離職を防ぐことができます。

在宅ワークの場合、IT環境の整備やワークスペースの確保などハード面でいくつかハードルがあります。また、「自宅では仕事に集中しづらい」という声も聞かれます。そのような在宅ワークの問題点を一部解消してくれるのが、サテライトオフィスです。

サテライトオフィスのメリット

サテライトオフィスには、在宅型のテレワークと共通の利点に加え、サテライトオフィスならではのメリットもあります。両面からご紹介します。

在宅ワークと共通のメリット

在宅ワークで見られる以下のようなメリットは、サテライトオフィスでも得ることができます。

移動時間を削減することで生産性が上がる


サテライトオフィスを従業員の住居に近い場所や営業先(取引先)に近い場所に設置すれば、自宅から本拠地、本拠地から営業先(取引先)などへ移動する時間が減ります。ラッシュアワーの電車を利用したり長時間移動したりするストレスも軽減されるので、その分の体力と気力が温存され、仕事に全力投球することができます。

また、通勤や移動時間が減ると、プライベートに充てる時間が増えるので、社員のモチベーションが上がり、結果的に仕事の生産性も向上するという好循環が期待できます。さらに、交通費も抑えられるので、企業側は経費が削減できるというメリットもあります。

育児・介護などによる離職を防止できる


子育てや介護では予測できないできごとが起こります。急に子どもが熱を出して保育園に迎えに行かなければならなくなったり、高齢の親が病院に行く際に送り迎えをしなくてはならなくなったりしても、自宅または自宅から近い場所にサテライトオフィスがあれば、時間をやりくりして対応することができるでしょう。

サテライトオフィス勤務を含むテレワークは、「仕事は続けたいが、家庭の事情で辞めざるを得ない」という人の離職防止に有効です。

リスクの分散により緊急時も事業が継続できる

日本は近年、地震や大雨、台風など未曾有の自然災害に見舞われています。そのような緊急事態に見舞われたとき、ひとつのオフィスに設備や情報、人材を集中させていると、一斉に業務がストップしてしまう危険性があります。

本社や支社、支店以外に自宅やサテライトオフィスでの業務を可能にしておけば、仮に大きな災害にあっても影響を最小限にとどめ、事業を続けていくことができるでしょう。リスク回避やBCP(事業継続計画)対策としても、サテライトオフィスは注目されています。

サテライトオフィスならではのメリット

サテライトオフィスには、在宅ワークでは得られないメリットもあります。いくつか紹介しましょう。

業務中の移動時間削減により生産性が上がる

移動先の近くにサテライトオフィスがあれば、移動先からオフィスへその都度戻らなくて済みます。節約できた移動時間を業務に充てられるため、生産性が上がります。

家庭環境に左右されにくいので業務の効率が上がる

家族がいるなかでテレワークをしなければならない人には、子どもの声やテレビの音、視界に入るキッチンの洗い物や洗濯物など気が散る要因も少ないので、業務に集中しやすく生産効率が上がります。

また、サテライトオフィスは仕事をするために用意されたスペースであり、業務に必要なコピー機やプリンター、IT環境、デスクなどの設備が整っているため、在宅ワークより利便性が高いといえるでしょう。

会議・打ち合わせスペースとして使える

サテライトオフィスなら、会議や打ち合わせスペースとしても活用できます。昨今、会議スペースが足りないという企業も多いので、その点でも大きな魅力です。

在宅ワークより情報漏洩のリスクが少ない

専用型のサテライトオフィスであれば、会社がIT環境を整え、セキュリティ対策を施したうえで開設するので、個々のIT環境が異なる在宅ワークと比べると、情報漏洩のリスクは少ないといえるでしょう。

支社を設置するよりコストが安い

営業職など特定の職種用に用意する専用型サテライトオフィスなら、必要な設備も限られてくるため支社や支店を設けるより低コストで開設、運営することができます。

地方の人材を活用できる

地方にサテライトオフィスを開設すれば、地元や郊外での暮らしをベースにしながら仕事を変えずに働き続けたい人材を採用することができます。近年は、地方にUターン・Iターン・Jターンしたい人も増えています。地方型のサテライトオフィスがあれば、そのような志向の人たちの離職防止につながる可能性もあります。

サテライトオフィス利用時の注意点

さまざまなメリットが注目される一方で、実際にサテライトオフィスを導入した企業からは、いくつかの懸念点も挙がってます。

情報の管理

共有型サテライトオフィスでの情報管理には注意が必要です。コワーキングスペースなどで他企業やフリーランスの人とワークスペースを共有する場合は、電話やオンラインの会話やパソコン画面から情報が漏れてしまう恐れがあります。会話は防音の個別ブースでする、オープンスペースで作業をする際は覗き見防止フィルターを使用する、などの対策を徹底しましょう。

コストの管理

サテライトオフィスの利用頻度や利用時間を従業員の自由な判断に任せている場合、意外に高額な出費になることもあります。従量課金で契約をしている場合は、利用頻度・時間に上限を設定するなど運用ルールの検討が必要です。

そのほかにも、以下のような在宅ワークと同様の課題も挙げられています。
◇ひとりまたは少人数で仕事をするので、社員同士や上司とのコミュニケーション不足に陥りやすく、組織としての一体感を持ちにくい。
◇マネジメントする側にとって、見えない場所で働いている人の勤怠管理やプロセス評価が難しい。

まとめ

コロナ禍を機会に在宅ワークを導入する企業が著しく増加しましたが、自宅で仕事ができる環境を整えることが難しい人も少なくありません。サテライトオフィス勤務というワークスタイルが、その課題を解決するひとつの手段となるかもしれません。注意点を抑えた押さえたうえで、活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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