業務の忙しさを感覚からデータへ。伴走する専門家チームが描いた BPO導入の軌跡

伸び悩む派遣社員の定着率、進まぬ属人化解消。課題を抱えていたダイワボウ情報システム(以下DiS)の経理業務はリクルートスタッフィング(以下RS)のBPO(業務プロセスアウトソーシング)導入でどう変わったのか。その舞台裏を紐解く。
※本記事は日経ビジネス電子版Special 2025年9月19日掲載の内容を当社で許諾を得て公開しております。
BPOプロジェクトマネジメント部
プロジェクトマネジャー
中野 真里 氏
BPOプロジェクトマネジメント部
スーパーバイザー
清水 茜 氏
ダイワボウ情報システム株式会社
財務部
部長
横山 和正 氏
財務部
副部長 兼 財務課長 兼 経理業務課長
塚本 健郎 氏
財務部 経理業務課
専任
八木 壮人 氏
止まらぬ属人化への危機感
DiSがBPOを導入された経緯をお聞かせください。
DiS 横山:当社は国内最大級のIT専門商社として、全国に100拠点以上を展開しています。かつては拠点ごとに経理担当を置いていましたが、現金回収や紙手形が振込・電子手形へ移行する中で業務を東京に集約しました。ただ100拠点分の入金管理を社員だけで担うのは難しく、派遣社員の方々にもご協力をいただいていました。しかし定着率は低く、教育の負担が社員に重くのしかかっていました。
RS 中野:課題は二つありました。拠点集約後も残った属人的な業務と教育リソースの不足です。加えて「忙しさ」が感覚的にしか把握されず、可視化されていませんでした。そこで真因を明らかにするためにまずは「業務調査」を行い、その結果を踏まえ、標準化と生産性向上を図る一手としてBPOの導入をご提案しました。
DiS 横山:短期間の業務調査で当社の課題を的確に把握し、最良の改善策を提案いただけた点が決め手でした。標準化や生産性向上をともに進めていこうという姿勢に加え、同様の業務での豊富な改善実績から、自信と信頼を感じました。
DiS 八木:委託の準備と業務を並行して進めていただいたことで、立ち上げ時のタイムラグを最小限に抑えられました。また、準備期間中も密に連携し、状況に応じ柔軟に対応していただけた点が大きな安心感につながりました。
三位一体の力で加速する改革
3週間という短い準備期間で立ち上げを実現できた理由は。
RS 清水:三つあります。第一に「即実務投入型」の育成です。座学に時間をかけず、業務開始2日目から実務に触れ、先輩のフォローを受けながら学ぶ形でスピードを高めました。第二に「課題解決サイクルの即時化」です。疑問はその日のうちに解決し、翌日に持ち越さない体制を整えました。第三に「徹底した優先順位付け」です。必須業務から整備し、後に拡張・改善を進めました。さらにグループ窓口を統一して進捗を全体で可視化し、属人化を抑えて標準化されたプロセスに近づけています。
RS 中野:今回のプロジェクトでは、課題の性質に応じてそれぞれの専門人材が連携しながら対応しました。現場を深く理解して改善策を導くメンバー、標準化やマニュアル整備を担うメンバー、そして業務量を数値化し生産性を検証するメンバーが一体となり、精度の高い運用設計を実現しました。なかでも現場に常駐する担当者が日々の業務を体験しながら課題を的確に把握し、その知見を共有。サポート担当がマニュアルや教育体制を整備し、チーム全体の品質を底上げしました。さらに、分析担当が現場の情報をもとに工数計測ツールを活用して業務量を数値化し、生産性を妨げる要因を洗い出しました。こうして得られたデータをもとに「工数ロジック」を策定し、業務改善の精度を高めています。この仕組みはBPOメンバーだけでなく、DiS様の社内でも活用できる汎用性の高いものであり、今後の生産性向上に大きく寄与すると考えています。各領域の専門家が密に連携し、現場とともに改善を重ねることが、RSのBPO体制の強みです。
DiS 塚本:業務調査の段階から強く感じたのは「一緒に課題に取り組みましょう」という前向きでポジティブな姿勢です。課題をリストアップし、共に改善していこうとする姿勢はまさに我々が求めていたものでした。
DiS 八木:運用開始から4カ月で53拠点の巻き取りを完了しています。業務と並行して移管・教育を進めたため、一時的に社員の負荷は高まったものの、明確な目標と迅速な対応でその後負荷は軽減。下期に向けた目標に取り組む準備段階へと移行できました。

共に歩み、成長を後押し
BPO導入の感想と今後の展望についてお聞かせください。
DiS 横山:今回BPOを依頼して実感したのは、社内の立場からでは見えにくい課題が多いということです。入金管理のように全ての企業が行う汎用業務でも、自社では気づけない点が少なくありません。一度外部の視点で業務を棚卸しし、可視化してもらうことを強くお勧めします。
DiS 八木:現場にはどうしても変化を避ける傾向があります。しかし、外部からのデータや視点を示されると納得感が生まれ、改善への一歩を踏み出しやすくなります。内部と外部の視点を組み合わせることが、課題解決の大きな鍵になると実感しました。
DiS 塚本:今後はRS様のご協力のもと、業務の効率化を実現し、生産性向上につながる新たな施策にも取り組んでいきたいと考えています。
RS 中野:当社の強みのひとつは、人と仕組みを掛け合わせ、変化に強く持続的な体制をつくっていける点です。単なる業務委託ではなく、共に改善を続ける“パートナー”として、今後もクライアントの成長を確実に後押ししてまいります。
