加速するテレワーク導入で見えてきたメリットと課題

2021.01.20

加速するテレワーク導入で見えてきたメリットと課題

テレワーク導入の流れがコロナ禍で加速し、従業員だけでなく派遣社員にもテレワークという働き方が導入されるようになってきました。企業・働き手それぞれにテレワーク導入によるメリットが多くあげられています。今回は、双方にとってのメリットをおさらいするとともに、さらに普及を進めるための課題についてもご紹介します。

テレワークとは

テレワークは「tele=離れた所」と「work=働く」から造られた言葉です。自宅で働くことをイメージされがちなテレワークですが、働く場所は自宅とは限らず、働く場所によって3つのスタイルがあります。企業のオフィスなどから離れて働く場所として、自宅、サテライトオフィスのほかに、リゾート地や旅先などでのテレワークも注目されています。

働く場所によって3つのスタイルがあるテレワーク

テレワークは、働く場所によって以下の3つのスタイルがあります。

自宅利用型テレワーク(在宅勤務)

オフィスに出勤せず、自宅でパソコンとインターネット、電話などを使って働くスタイルです。

サテライトオフィス勤務型テレワーク

たとえば都市にある企業が郊外に、地方企業が都市部に、社内LANでつながった簡易的なオフィススペースを設置し、そこでパソコンなどを使って働くスタイルです。契約形態により、一社で使える「専用型」、数社が共同で使う「共有型」、レンタルオフィスとの契約などがあります。

モバイルワーク型テレワーク

移動中や移動先で、パソコンや携帯電話を使って働くスタイルです。インターネットや携帯電話がつながる環境があれば、出張先やプライベートの旅先でも仕事をすることが可能です。

首都圏で約5割、全国で約3割の企業がテレワークを実施

総務省が2019年9月におこなった「通信利用動向調査」によると、その時点でテレワークを導入している企業は、約2割。資本金50億円以上の企業での導入率が約6割で、規模の大きな企業に比べて企業規模が小さいほど導入が少なくなっています。

なお、内閣府が2020年5月25日〜6月5日におこなった意識・行動調査の結果では、首都圏で約5割、全国で見ると約3割の企業でテレワークを実施しています。

テレワークを導入する企業のおもなメリット

テレワークを導入することによって得られるメリットはさまざまありますが、おもに期待されるのは次の4つです。

優秀な人材の確保、離職の防止

働き方改革の後押しもあり、子育てをしながら、また親の介護をしながら仕事をする人が増えています。その一方で、育児や介護との両立が難しく、優秀な人材が離職してしまうケースも少なくありません。

子どもが急に熱を出して保育園に預けられないときでも、テレワーク環境が整っていれば、家にいながら業務を進めることができます。また、自宅や遠隔地で介護をしながら働き続けることが可能になり、優秀な人材の離職防止が図れるといわれています。

業務効率・生産性の向上

顧客先へ直接訪問できたり、訪問後にオフィスへ戻る必要がなかったりするので、移動時間が節約できます。時間を有効に使うことで、業務効率が上がり、生産性のアップが期待できます。

リクルートスタッフィングが実施した「派遣スタッフのテレワーク実態調査」でも、社員・派遣問わず「オフィスワークと同様の業務効率」または「テレワークのほうが業務効率がよくなった」と感じている人が多いという結果でした。

ランニングコストの削減

テレワーク環境を整えるための初期費用はかかるものの、運用フェーズに入れば、交通費や事務所費用、事務用品費用、オフィスの光熱費など、ランニングコストの削減が見込めます。

また、毎日出社する人が減れば、従業員のデスクをフリーアドレス制にし、オフィスの規模を縮小したり郊外のオフィスに移転したりなどして、固定経費を減らすことも可能です。さらに、インターネットやクラウドサービスを活用して情報共有をおこなうことで、印刷コストを大幅に削減、紙資料を保管していた膨大なスペースを縮小できるケースもあります。

事業継続性の確保

近年、日本では毎年のように未曾有の災害に見舞われています。また、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行という予期せぬ事態から、従業員が自宅勤務を余儀なくされるケースも起こりました。そうした状況下でも、従業員が出勤せずに自宅などで仕事ができれば、事業の中断を最小限に抑えることができます。

新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、テレワークを導入する企業が増えているようですが、平常時からテレワークを運用していれば、緊急時にも従業員同士の情報共有がスムーズにおこなえ、通常と同じように業務を進めることが期待できます。

テレワークを導入する従業員のおもなメリット

企業にとってさまざまなメリットが考えられるテレワークですが、働く人にはどんな利点があるのか見ていきましょう。

通勤のストレスがなくなる

満員電車に揺られての通勤に大きなストレスと肉体的な疲労を感じている人は、少なくないでしょう。通勤の必要がなくなれば、睡眠時間が増やせたり、無駄な体力の消耗を防げたりすることにより、よいコンディションで仕事に臨むことができます。

自分の業務に集中しやすい

テレワークでは、ほかの人から急に声をかけられたり、オフィスにかかってきた電話対応をしたりしなくてよいため、「自分の業務に集中しやすい」という声が多く聞かれます。

育児や介護と仕事の両立がしやすい

通勤に充てていた時間を家事や育児・介護などに振り分けられます。子育てをしながら働いている人は、子どもが急に熱を出したときも、テレワークができる環境があれば安心して自宅で仕事を進められるでしょう。また、介護が必要な家族がいる場合でもテレワークができれば、仕事の両立もしやすくなります。

テレワークを導入する企業のおもな課題

企業側にも働く側にもメリットが期待できるテレワークですが、今後さらに普及させていくために企業が取り組みたい課題について見ていきましょう。

セキュリティ面、情報漏洩のリスク対策

オフィス外で仕事をおこなう場合、情報の漏洩やコンピューターのウイルス感染、端末やUSBの紛失など、セキュリティ上のさまざまなリスクが危惧されます。そのため、セキュリティ環境の整備とともに自社のセキュリティルールとガイドラインの策定が重要です。

自宅での作業環境やパソコンの管理方法、アプリケーションのダウンロード可否、クラウド使用の可否、SNS使用時の注意、公共の場での無料Wi-Fiの使用不可など、セキュリティに関するさまざまな方針を明確化しておきましょう。また、セキュリティ対策を施したパソコンの貸与などの検討も必要です。

コミュニケーション問題を解決するシステム・ルール導入

オフィス内であればすぐに声がかけやすく、ちょっとした雑談が息抜きになったりコミュニケーションになったりします。しかし、テレワークではメールや電話、電話会議などでのやりとりがメインとなり、会話の内容も業務内容に終始しがちです。対面で会話できないことによる不安や孤独を感じる従業員もいることでしょう。

そんなコミュニケーションロスを解決する手段として、クラウドシステムの導入はとても有効です。チャットやWeb会議など、コミュニケーションをサポートする仕組みを活用して、情報共有の仕方や会議運営方法の見直しをしてみるとよいでしょう。

勤務管理や評価方法の見直し

テレワークでは実際に働いている様子が見えないことから、勤怠管理や評価をおこなうのが難しいと懸念する企業が多いようです。

早朝や深夜の作業、長時間労働などによる健康被害が起こらないように、業務開始時間と終了時間をきちんと把握する必要があります。手軽にできるメールやチャット、本格的に管理・分析できる勤怠管理システムなど、手法はさまざまです。企業・従業員の双方に負担のない連絡・管理方法を検討する必要があるでしょう。

また、企業によっては評価基準の見直しも必要かもしれません。テレワーク環境では業務プロセスが見えにくいため、管理者は各業務にかかる時間の目安や難易度をあらかじめ把握しておくとよいでしょう。労働時間やプロセスを重視するのではなく、仕事の成果を評価軸とする制度を採用する企業も増えてきています。

まとめ

まだまだ多くの課題はあるものの、テレワークのメリットや効果を感じている企業や働き手は多いようです。多様な人材を受け入れて活用できる手段のひとつとして、テレワークは今後もさらに普及が進むと期待されます。

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