皆さんから寄せられた困りごとを解決するこのコラム。回答者は職場のメンタルヘルスを研究されている関屋裕希さんです。

過去の職場での嫌なできごとが、ふとした瞬間に頭をよぎることはありませんか?『あのとき違う対応ができたのでは……』今回はそんな思考のループから抜け出すポイントをご紹介します。

働くうえで感じている困りごとも募集しています。詳細は記事の最後をご覧ください。

Q. 同僚から言われた悪口を今でも思い出す…。

数年前の職場でのこと。私は社内に一人しかいない経理担当者のサポート業務をしていましたが、その方から、あえて聞こえるように悪口を言われていました。面と向かっては、にこやかに会話しますが、その後、他の方と私のことを悪く言っているのが聞こえてきました。なぜだろうと思いつつ、契約更新のタイミングで更新しないことを選択。今でも「あのときできる事はあったのか」「あの判断で良かったのか」と考えることがあります。(50代)

職場での嫌な記憶に振り回されないために

お悩みを送ってくださって、ありがとうございます!

誰しも、過去のことを思い出してモヤモヤすることがあるものだと思います。ふだんは忘れているのに、ふとしたときに頭に浮かぶと、ぐるぐる考えが止まらなくなったりすることがあります。

心理学では、過去の嫌な出来事を何度も繰り返し考えることを「反すう思考」と呼んでいます。

「考えないようにしよう」、「忘れよう」と思っても、なかなか頭から離れてくれないのが悩ましいところです。

今回の相談者さんの、

・あのときできることはあったのか
・あの判断で良かったのか

というのは、

・自分はできることがあったのにやらなかった
・もっといい判断ができたはず

と自分を責める考えでもあります。

私たちは、自分を責め続けていると、元気が出づらくなっていきます。少し、別の角度から過去の出来事を振り返ってみましょう。

自分を責めてしまう…。そんなときにできること

まずは、その出来事のよい面を探してみましょう。「あの出来事にいいところなんてあるはずない」と思われるかもしれません。そんなときは以下の捉え方をおすすめします。

自分にとってネガティブな出来事だったとしても、100%すべてがネガティブというわけではなく、よかったところや今の自分に活きているところがある。

今回の場合は、契約更新のタイミングで更新しないことを選択した、とのことで、ご自身の心や健やかさを守るために距離をとることができた、というのはよかったことです。

環境を変えることで、ご自身の健やかさを取り戻す前向きな決断だったといえます。

よい面を見つけることができたら、次のステップへ

よい面が見つかったら、過去の自分を責めるのではなく、自分を受け容れる声かけに変えていきましょう。

「あのときは、つらかったけど、自分を守る選択をした。それは適切な行動だった。十分な対応だった」

それでも、まだ繰り返し思い出されるようであれば、自分の「心残り」についても考えてみます。

何がぐるぐると自分をそこに留めるのか。

具体的には、あのとき、自分が本当は相手に言いたかったことを書き出してみます。

・なぜ私の悪口を言うのですか?
・直接はにこやかに接してくれるのに、他の方に悪く言うのが聞こえてくると、混乱します
・あなたの悪口のせいで働きづらいです

相手に実際に伝えるわけではありませんので、率直なフレーズが並んでも大丈夫です。

言いたかったのに言えなかったことを書き出すだけでも、すっきりして、過去の出来事から離れやすくなります。

もし、言葉にできそうだったら、自分が欲しかったものも言語化できると、さらにすっきり度が高まります。

・一緒に働くメンバーとして尊重してほしかった
・陰口のようなことをしないで、何かあるなら直接言ってほしかった

当時、望んだものが得られなかったことは残念なことではありますが、こうして書き進めてみると、自分が職場に求めること、働くうえで大切にしたいことが見つかります。

過去の出来事を糧にして、今の職場、これからの職場に目を向けていきましょう。

働くうえで感じている困りごとを募集しています

以下のアンケートフォームより、働くうえで感じている困りごとをぜひ教えてください。一部抜粋してこのコラム掲載を通して回答いたします。

■受付方法
こちらよりお待ちしています。

■受付期間
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・いただいた内容は、本企画のみに使用いたします。それ以外の目的では一切利用いたしません。
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回答者:関屋 裕希さん
福岡出身。臨床心理士。公認心理師。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員・精神保健学分野 客員研究員。大学院時代は「怒り感情」をテーマとした研究に従事。専門は産業精神保健(職場のメンタルヘルス)であり、心理学の知見をもとに、ストレスマネジメントに関する講演、企業の組織的なストレス対策に関するコンサルティング、執筆活動を行っている。著書は『感情の問題地図』『モチベーションの問題地図』(技術評論社)など。

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