直接雇用化の推進|知っておきたいリーガル知識

2021.05.19

直接雇用化の推進|知っておきたいリーガル知識

派遣労働者の正社員化推進と雇用安定を目的として、派遣先企業には、一定条件を満たした派遣労働者に対して社員募集情報の周知をおこなう義務や、直接雇用の努力義務(努めなければならない義務)が課せられています。ここでは、派遣先企業がすべきこととその対象となる派遣労働者の条件についてわかりやすくご紹介します。

雇用安定措置とは

雇用安定措置とは、派遣会社が派遣労働者の雇用の安定を図るために講ずべき措置のことです。派遣労働者が同じ組織単位で働ける期間には3年という上限があるため、当該組織単位での派遣就業が終了した後も就業継続を希望する派遣労働者に対して、派遣会社は以下の措置を講じなければなりません。

  • 派遣先企業へ直接雇用を依頼する
  • 新たな就業機会(派遣先)を提供する
  • 自社で派遣労働者以外での無期雇用を行う
  • その他安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置

【派遣先が担う役割その1】社員募集情報の提供

派遣先が社員を募集する場合、特定の条件に合致する派遣労働者に対して、その情報を知らせる義務があります。

いわゆる正社員を募集する場合

事務所や店舗といった同一の事業所で1年以上受け入れている派遣労働者がいる場合は、当該事業所において正社員募集をおこなう際、その派遣労働者に対して正社員募集情報を周知する必要があります。この場合の派遣労働者は、有期雇用だけでなく、無期雇用の派遣労働者も含みます。

正社員以外の労働者を募集する場合

課やグループといった同一組織単位で3年間の派遣就業見込みがあり、なおかつ雇用安定措置の対応として派遣会社から直接雇用の依頼があった有期雇用の派遣労働者に対しては、正社員の募集だけでなく、有期雇用(契約社員やパートタイマーなど)の募集情報も知らせる必要があります。

派遣法における「事業所」と「組織単位」とは?
派遣法における「事業所」や「組織単位」は、以下の観点から実態に即して判断することとされています。

「事業所」
1.工場、事務所、店舗など、場所的にほかの事業所やそのほかの場所から独立していること
2.経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様などがある程度独占していること
3.一定期間継続して、施設としての持続性があること

「組織」
1.課やグループなど、業務としての類似性・関連性がある組織
2.その組織の長が業務の配分や労務管理上の指揮監督権限を有している

「事業所」と「組織」の考えかたについては、以下の記事も参照ください。
派遣受入期間の制限|知っておきたいリーガル知識

募集情報の周知方法

派遣先が派遣労働者に正社員募集や労働者募集の周知をする方法は、次のとおりです。

  • 事業所の掲示板に求人票を掲示する
  • 直接メールにて通知する
  • 派遣先から派遣会社に情報提供し、派遣会社から周知する

【派遣先が担う役割その2】直接雇用の受け入れ(努力義務)

現在受け入れている派遣労働者に係る派遣契約終了後、引き続き同じ業務に従事させるために労働者を雇用する場合には、当該業務に従事してきた派遣労働者を雇用するよう努める義務があります。【1年以上継続して就業した有期雇用の派遣労働者】【派遣会社から直接雇用の依頼があった場合】には、雇用安定措置のひとつとして直接雇用の努力義務の対象となります。

また、上記以外にも雇用安定措置として派遣元から直接雇用の依頼を受けた場合には、真摯に対応いただきますよう、お願いいたします。

「直接雇用化の推進」に関してよくある質問

Q.「3年間の派遣就業見込み」とは、いつ発生するものですか?

A.3年の派遣就業見込みは、派遣先の同一組織にて派遣就業開始から3年に達する日を含んだ契約を締結した時点で発生します。契約とは、派遣契約、雇用契約両方のことを指しています。

Q.新卒の学生を対象とした全国転勤の総合職を募集する際にも、派遣労働者に募集情報の周知は必要ですか?

A.派遣労働者には応募資格がないことが明白なため、募集情報を周知する必要はありません。

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