【2021年4~9月】上半期の労働市場レポート

2021.11.05

【2021年4~9月】上半期の労働市場レポート

2021年度上半期のマーケットレポートをお送りいたします。コロナ禍によって一時供給過多になっていた労働力人口は売り手市場に戻りつつあります。

雇用形態別労働者の過不足状況

2017年5月から半期ごとの雇用別(正社員・パートタイマー・派遣)労働者の過不足状況をお伝えします。

2017年度以降、どの雇用形態でも不足感が深刻な状態が続いており、2021年度現在もその状況に変化はみられません。

【2017年度~2019年度】

2017年度から2019年度にかけては、とくに正社員の不足感が深刻化していました。派遣については2018年をピークに不足感はやや下げ止まっていましたが、過剰と不足のバランスでは、不足感が高い状態が続いていました。

【2020年度】

2020年度は、新型コロナウイルス感染症流行の影響により、前年度までからの需給バランスにそれぞれの雇用形態で変化が見られました。

<正社員>
過剰感は高まりましたが、同時に不足感も弱まったことで、需給のバランスはほぼプラスマイナスゼロになりました。

<パートタイマー>
過剰感はやや高まり、不足感も若干弱まったものの、依然として不足感が強い需給バランスのままでした。

<派遣>
過剰感はやや高まったものの、不足感が強く弱まったため、過剰感が強い需給バランスへ反転しました。

全体的に過剰感が高まった要因は、先行きが見えない景気への不安から企業が全体的な雇用を制限したためと推測できますが、とくに派遣については大きな影響が見られました。

【2021年度】

2021年度に入ると、全体的に過剰感は落ち着きをみせました。

<正社員>
過剰感は落ち着きをみせましたが、2020年以前までは至っていません。不足感は緩やかに強まっています。

<パートタイマー>
正社員同様、2020年以前の状態には至りませんが、過剰感はやや落ち着きました。不足感は若干強くなっています。

<派遣>
過剰感はやや落ち着きましたが、不足感がより強くなりました。結果的に、2020年の過剰感と反転し不足感が強く出ています。

コロナ禍からの時間経過とともに企業が徐々に雇用者の制限を緩和したためと考えられますが、先に抑制を強くした派遣で不足感の戻りも早くなったようです。

業種別:派遣の求人・求職トレンド

2020年度上半期と比較した、2021年度の派遣マーケットにおける業種別求人・求職トレンドをお伝えいたします。

2020年度上半期と比較すると、全業界において、求人数・求職者数ともに増加トレンドにあります。なかでも、求人数の増加率は求職者の増加率を上回っており、売り手市場の傾向がみられます。

求人数の伸びに対し、求職者数の乖離が前年よりあがっているのは商社/流通・サービス/金融となり、売り手市場の度合いがより高まっています。一方で、広告・マスコミに関しては、求人数の増加率より求職者の増加率が上回っており、買い手市場です。

職種別:派遣の求人・求職トレンド

2020年度上半期と比較した、2021年度の派遣マーケットにおける職種別求人・求職トレンドをお伝えいたします。

2020年度上半期と比べて、求人数の回復幅がより大きいのは、貿易事務/秘書・英語/営業事務などです。受発注や海外との取引に関する職種の回復傾向がみられました。

一方、コロナ禍でも他職種と比較して求人数の増減が少なかった経理事務は改善率が1.25と比較的低くなっています。

求職者については2020年度上半期とほぼ同様のため、求人件数の回復がみられる職種ほど前年と比べて人材獲得難易度が上がっています。

エリア別:派遣の求人・求職トレンド(東京・大阪・愛知・福岡)

2020年度上半期と比較した2021年度の派遣におけるエリア別求人・求職トレンドをお伝えいたします。

求人数はすべてのエリアで2020年度よりも増加しているものの、増加率にはエリアによる差がみられました。増加率が最も改善したのは東京都の1.65倍ですが、対して福岡県では1.17倍とゆるやかな改善傾向でした。

一方で、求職者数は2020年度上半期と比べると、いずれのエリアもやや減少傾向にあります。求人数・求職者数のバランスをみると、愛知県、東京都の乖離が高く、求人数の伸びに対し、求職者の動きが鈍化しています。

まとめ

2021年度上半期の派遣マーケットはコロナ禍前の2019年度並みの不足感・売り手市場に戻っています。ただし、業種・職種・エリアには特性があり、コロナ禍前後で増減がみられない部分やまだ完全に回復していない部分もあり、今後の動向に注目していきたいと思います。

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