職場見学の流れと注意すべきポイント|派遣活用の6STEP②職場見学

派遣スタッフの就業前に、就業先となる企業を訪ねて、業務に関する事前打ち合わせをする機会が設けられることがあります。派遣スタッフが就労場所や業務内容などを確認するためにおこなうもので、「職場見学」「業務確認」などと呼ばれています。自社の社員を採用するための「面接」とは異なるため、その差異や目的を理解して臨むことが大切です。
職場見学とは
就労場所や業務内容などの確認をおこなう場
職場見学とは、派遣スタッフが就労場所を確認し、担当する業務の内容について詳しく知るために設定されるもので、派遣スタッフの疑問や不安の解消に努めることを目的としています。
派遣スタッフが自らの判断・希望でおこなう
派遣スタッフと派遣先企業とのミスマッチを防ぐために職場見学はひとつの貴重な機会ですが、あくまでも職場見学の実施は、派遣スタッフ自らが判断し、希望することが前提となります。派遣先企業が職場見学の実施を求めることはできません。
採用面接とは異なる
職場見学は、採用を検討する面接とは異なります。なぜなら、派遣先企業にどの派遣スタッフを派遣するかを決定するのは、雇用関係のある派遣会社であるためです。派遣先企業が派遣スタッフを特定する行為は、労働者派遣法で禁じられています。
面接行為と受け取られて、トラブルに発展することもあるため、職場見学の流れや質問できることを整理して理解することが重要です。
職場見学の流れと注意事項
職場見学当日の流れ
職場見学の流れを確認しておきましょう。所要時間は30分〜1時間程度が一般的です。
1 | 派遣先が依頼する業務内容・その他業務に関連する項目の説明 | ①担当業務(業務内容、プロジェクト内容・納期 など) ②業務指示(どの業務を誰が教えるか、質問は誰を中心に聞くか など) ③よく使うスキル(使用システム環境、言語能力、PCスキル など) ④職場環境(人数、男女比、年齢構成 など) ⑤業務の流れ(1ヶ月、1日単位での流れ など) ⑥残業(有無、発生時期、時間の目安 など) ⑦その他(就労期間見込み・企業歴による休日 など) |
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2 | 派遣スタッフから派遣先への質問 | ◇派遣スタッフより、自身の経験・スキルと業務内容の適合等について質問 |
3 | 派遣先から派遣スタッフへの質問 | ◇「面接」「特定行為」と受け取られる質問は避ける ◇業務経験等、依頼業務に直接関係ある質問のみおこなう |
4 | 職場見学終了 | ◇派遣先は、スタッフの就業意思の確認や、派遣先としての意思表明をおこなわない ◇「本日はお疲れ様でした」「来社ありがとうございました」と、簡潔に伝えること |
職場見学時に派遣スタッフからよくある質問
職場見学時、派遣スタッフからよくある質問は以下のような内容です。事前に回答を準備しておきましょう。
- 業務開始後の引継ぎ方法や引継ぎ期間は?
- 当該業務での派遣スタッフの受け入れ実績は?
- 業務を一緒に行う人数や同じ業務を別に担当する人数は?
- 業務の進め方がわからないときに確認できる人はいるか?
- 参加可能な教育訓練や利用可能な福利厚生施設(食堂、休憩室など)は?
職場見学での注意点
職場見学は、社員採用における「面接」の場合とは異なるため、スタッフに質問・要求できないことがあります。
個人情報に関することは聞かない
氏名、年齢をはじめ、居住地(エリア)や出身地に関する情報、家族についての情報(家族構成や家族の職業など)、派遣会社での雇用形態(無期・有期)を質問することはできません。
職務遂行能力に関係のないことには触れない
本人の健康状態や結婚・出産・離婚に関すること、宗教・信仰の有無、将来の転職希望、学歴、各職歴のあった勤務先の名称、退職理由などの情報を聞くことも禁止されています。
決定権があるとみなされる発言をしない
「あなたに決めました」「他の候補者に会ってから検討するので」といった、派遣先企業が派遣スタッフを特定するような発言もしないようにしてください。
まとめ
社員を採用するときの雇用契約とは異なり、派遣契約は人材派遣会社と交わすものであり、派遣先企業が派遣スタッフを特定することはできません。派遣スタッフの職場見学を実施するにあたっては、この仕組みを理解したうえで、事前に準備をおこなうようにしましょう。