2020年改正派遣法に伴う同一労働同一賃金について

2021.06.03

2020年改正派遣法に伴う同一労働同一賃金について

2020年4月1日より施行された改正派遣法では、派遣労働者の待遇改善を図るべく、派遣元には「派遣先均等・ 均衡方式」または「労使協定方式」に基づく派遣労働者の待遇決定を義務付け、また派遣先には派遣料金の配慮義務、派遣先の福利厚生施設の利用および教育訓練の実施義務など、新たな制度・規定が創設されました。ここでは、改正派遣法の重要なポイントについてわかりやすくご紹介します。

改正派遣法の概要

改正派遣法の概要について、以下の3点から解説します。

  • 派遣労働者の待遇決定
  • 派遣料金の配慮義務
  • 派遣先の福利厚生施設の利用および教育訓練の実施義務

派遣労働者の待遇決定

同一労働同一賃金の目的は、同一企業内における正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を解消することです。派遣労働者の就業先は派遣先であり、待遇に関する派遣労働者の納得感を考慮するため、 派遣先の労働者との均等・均衡がポイントになります。

しかしながら、この方式は、派遣先が変わるごとに賃金水準が変わるため、派遣労働者の所得が不安定になります。また、派遣労働者がおこなう仕事の難易度が同様であっても、就業先の従業員規模で賃金水準に格差が生まれてしまうケースも多々あります。

派遣会社には派遣労働者のキャリア形成を念頭においた段階的・体系的なキャリアアップ支援が必要とされていますが、企業規模によって賃金が左右されることになると、キャリアアップ支援と不整合な事態を招くことが予想されます。

このような状況を踏まえ、派遣労働者の待遇について、「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」のいずれかを確保することが、派遣元に義務付けられました。

※労使協定の内容には、「派遣労働者の賃金につき、一般労働者の平均的な賃金水準と同等以上としなければならない」などの要件が定められており、これによって派遣労働者の待遇改善を果たす仕組みとなっています。

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派遣料金の配慮義務

派遣料金は、派遣労働者の待遇改善を図るうえでの重要な要素となります。そのため、改正派遣法は、派遣料金について、派遣元が派遣労働者に対し派遣先均等・均衡方式または労使協定方式に基づく待遇を確保できるよう、派遣先が配慮しなければならないと規定しています。この配慮は、労働者派遣契約の締結・更新のときだけではなく、締結・更新されたあとにも継続的に求められます。

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派遣先の福利厚生施設の利用および教育訓練の実施義務

派遣労働者が実際に就業するのは派遣先であるため、福利厚生施設の利用や業務に必要な教育訓練の実施といった待遇改善については、派遣先の協力なしに実現できません。 そのため、改正派遣法では、派遣先は、派遣先が設置・運営する福利厚生施設の利用、業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練の実施について、派遣労働者にも均衡待遇を図るよう対応する義務があると規定しています。

働き方改革関連法

働き方改革関連法は、「長時間労働の抑制」、「多様で柔軟な働き方の実現」、「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」を大きな柱としています。

とくに、長時間労働の抑制は、改正労働基準法(2019年4月1日から順次施行)による時間外労働の上限規制、年次有給休暇の付与義務などの導入に代表されるように、より一層厳格なものとなっています。
派遣法上、派遣労働者の労働時間の管理責任は派遣先に課されており、また派遣労働者が実際に就業するのは派遣先であるため、派遣労働者の労働時間の適正化、年次有給休暇の取得について理解し、派遣労働者の長時間労働を抑制することが重要です。

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まとめ

改正派遣法の重要なポイントおよび働き方改革関連法についてご紹介しました。実際の運用に際して不明な点や判断に迷うことがありましたら、リクルートスタッフィングの担当までお問い合わせください。

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