離職後1年以内の労働者の派遣受入禁止

2021.03.30

離職後1年以内の労働者の派遣受入禁止

派遣先は、派遣労働者が当該派遣先を離職した者である場合、離職から1年を経過するまでは派遣労働者として受け入れることはできません。あわせて派遣元も、離職後1年以内の労働者を元の勤務先企業に派遣することは禁止されています。今回は、この規定の意義や禁止の範囲について詳しくご紹介します。

離職後1年以内の労働者の派遣受け入れは禁止されている

派遣法第40条の9第1項により、離職後1年以内の労働者を元の勤務先企業が派遣労働者として受け入れることは禁止されています。同じく派遣元も、派遣法第35条の5によって、派遣労働者の就業先が離職して1年以内の企業とわかったときには労働者派遣をおこなってはならないとされています。

派遣受け入れ禁止の理由

このような規制が設けられた理由は、本来直接雇用とすべき労働者を派遣労働者とすることで、労働条件を切り下げる可能性があったためです。

厚生労働省による「労働者派遣事業関係業務取扱要領」では、この規定の意義について以下のとおり提示しています。

労働者派遣事業は、常用雇用の代替防止を前提として制度化されているものであり、ある企業を離職した労働者を当該企業において派遣労働者として受け入れ、当該企業の業務に従事させることは、法の趣旨に鑑みても適当ではない。 厚生労働省 労働者派遣事業関係業務取扱要領(令和3年1月1日以降)

労働者派遣禁止の範囲

元の勤務先企業に派遣就業できないのは、当該勤務先を離職した翌日から1年以内の派遣労働者です。正社員や契約社員、パート、アルバイトなどの雇用形態を問わず、当該企業に直接雇用されていた従業員すべてが対象となります。

離職1年以内の労働者かどうかは、派遣先企業(法人)単位で判断することになります。たとえば正社員として勤務していたA社の東京事業所を退職後、1年以内にA社大阪事業所に派遣労働者として就業することはできません。ただし、60歳以上の定年退職者、また定年退職後の継続雇用終了者は禁止の対象から除外されています。

「離職後1年以内の労働者の派遣受入禁止」でよくある質問

Q.派遣される前に、派遣労働者が離職後1年以内の者だと、どのように知ることができますか?

A.派遣就業開始前に派遣通知書にて、派遣労働者の氏名が通知されますので、ご確認ください。

Q.アルバイトで数日のみ雇っていた者も、禁止の対象になりますか?

A.はい、雇用形態を問わず、1日でも雇っていた場合は受け入れ禁止の対象となります。

Q.派遣労働者を受け入れ後、離職後1年以内と発覚したらどうすればよいでしょうか?

A.その場合、すみやかに派遣元に通知していただく必要があります(派遣法第40 条の9第2項)。
また通知の方法は書面の交付、ファクシミリを利用した書面の送信、電子メールに記載または書面を添付して送信等の方法によっておこなわなければならないとされています(派遣法施行規則第 33 条の 10 第2項)。

まとめ

「なぜこのような規定があるのか?」と感じられる「離職後1年以内の労働者の派遣受入禁止」ですが、禁止の理由や意義を知ると納得できる規定です。万が一該当するケースが発生した場合は、まず派遣会社の担当者にご相談ください。

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