派遣スタッフにも成長の機会を。「やりたい」を応援するフォロー術|株式会社グロービス

派遣スタッフにも成長の機会を。「やりたい」を応援するフォロー術|株式会社グロービス

派遣スタッフの受け入れにあたって、スキルアップのサポートやフォローに悩みを持つ担当者様も多いのではないでしょうか。今回は、MBOや1on1といったフォローを社員だけでなく派遣スタッフにも提案し、成長の機会を多く設けている、株式会社グロービスの人事担当・青木三枝さんにお話を伺いました。 実際におこなっているフォローの内容、フォローをするうえで意識していること、リモートワーク環境で心がけていることなど、実践的なフォロー術をお伝えします。

業務の住み分けはなく、さまざまな場で活躍

―派遣スタッフに依頼している業務内容を教えてください。
株式会社グロービスと学校法人グロービス経営大学院、合わせて現在20名ほどの派遣スタッフに就業いただいております。授業の運営サポートから代表室の秘書、人事や経理、デザイナーやエンジニアといった専門職の方もいらっしゃり、さまざまな分野で活躍いただいています。

継続的に派遣で依頼している業務もありますが、社員で募集してみたけれど適任の方が見つからず、派遣スタッフを依頼するパターンもあります。できる方には任せたいという基本的な考えがあるので、派遣スタッフから直接雇用に切り替わることも少なくないですね。

4半期に一度のMBOで派遣スタッフの成長をサポート

―派遣スタッフのスキルアップやフォローに関して具体的にされていることを教えてください。
当社では人材育成の一環としてMBOを導入しているのですが、目標を立てて業務していただくことでスキルップや成長につながればという思いから、派遣スタッフのフォローにも活用しています。業績評価のためではなく、派遣スタッフ自らそれぞれの業務のなかで「こういったスキルを身につけたい」「この能力をもっと伸ばしたい」といった目標を設定してもらい、達成をサポートする仕組みとして利用しています。

MBO(目標管理制度)とは
MBOとは、Management by Objectives(目標によるマネジメント)の略で、経営学者のピーター・ドラッカーが提唱した概念です。個人が自ら目標設定をすることがポイントで、内容や進捗度を上司やリーダーと相談しながら進めます。コミュニケーションの活性化やモチベーションアップの効果も期待でき、目標達成へのステップを可視化・把握する一連のフレームワークとしてさまざまな企業に取り入れられています。

―MBOを実施する際に気をつけていることはありますか?
目標を可視化するだけで評価や給与に影響しないことをしっかり伝えたうえで、プレッシャーやストレスにならないよう、派遣スタッフが希望した場合に実施しています。頻度に関しても、4半期に一度のペースが多いと感じるようであれば減らすなど、負担にならないようにしていますね。

また、派遣スタッフのなかには、「どう目標を立てればよいのか分からない」「書き方が分からない」と、とまどう方もいらっしゃいます。その際には、目標づくりから一緒におこなうなどフォローをするようにしています。

―MBOを実施することで、どんな効果があると感じますか?
就業に関する振り返りやフィードバックは派遣元であるリクルートスタッフィングの方がされますが、派遣会社への情報共有にもMBOを活用しています。担当の方からは、具体的な改善ポイントや成長の具合を伝えられるので非常に役立つと言っていただいています。また、派遣スタッフの方も「モチベーションが上がる」など喜んでいただいていると聞いています。そういった声を聞くと私たちも嬉しいですね。〇や△といった数字や記号ではなく、一人ひとりへのフィードバックを言葉で伝えることは大切だと実感しています。

1on1で柔軟に派遣スタッフをフォロー

―MBOとは別に1on1もされているそうですね。
はい、MBOはおもに業務に関する内容になりますが、1on1はもっと気楽な感じです。なにか困っていることや気になっていること、体調やモチベーション、周囲とのコミュニケーションについてなど、1対1でないと話しにくい内容について話すことが多いですね。派遣スタッフの悩みを解消できるよう、一緒に働いている現場管理者がこまめに相談に乗るようなイメージで、派遣スタッフのフォローの場として位置づけています。

―どのくらいの頻度でされているのですか。
とくに決まったペースはなく、現場管理者に任せています。業務の忙しさや派遣スタッフの状況に応じて、毎週おこなう場合や月1回の場合もあります。

MBOと同じく、基本的には派遣スタッフの希望に応じておこなっており、「もっと相談する機会が欲しい」「今は業務に集中したい」などの要望に柔軟に対応しています。

グロービスならではの学びの機会。代表とのランチやコミュニケーションの場も

―派遣スタッフにも学びの機会やコミュニケーションの場が設けられているとうかがっています。
はい。週の勤務時間など一定の要件を満たす派遣スタッフの方が対象となりますが、さまざまな学びやコミュニケーションの場を設けています。

たとえば、グロービスのビジネススクールを割引価格で受講することができます。当社は人材の育成や経営に関するノウハウの発信をしている企業ですが、社内受講制度は社員だけでなく派遣スタッフの方も利用できます。

また、開催されている勉強会にも自由に参加いただいています。もともと知的好奇心が高く能動的な社員が多い環境ということもありますが、スキルアップや学びの場は豊富にあり、社員も派遣スタッフもそれぞれの意思で活用できるようにしています。

―グロービス代表の堀氏とお話しする機会もあるそうですね。
はい。就業後半年以内の方を集めて代表とのランチ会をおこなっており、その場に派遣スタッフの方にも参加いただいています。

そのほかにも派遣スタッフだけのオールスタッフミーティングを年に1~2回開催しています。代表の堀も参加し、Q&Aコーナーやディスカッションタイムなどもあります。派遣スタッフだけが集まる場を設けたのは、堀がスタッフとの対話の機会を大事にしているということと、普段、社内のほかの派遣スタッフの方とお話しする機会がないといった声が聞かれたからで、横のつながりが生まれる場になればと思っています。

裏方として派遣スタッフが働きやすいよう、きめ細やかなフォローを意識

―青木さんが人事として、派遣スタッフが働きやすいよう意識していることをお聞かせください。
社員・派遣スタッフ隔てなく学びやコミュニケーションの場を設けるようにしていますが、そういった環境が合う方もいらっしゃれば合わない方もいらっしゃると思います。派遣会社にはもちろん、応募いただいた方ご自身でも当社の環境が合うか見極められるよう、事前に社風やどのようなメンバーがいるかなど詳しく伝えるようにしています。

日頃のフォローとしては、社内で見かけたときにお声がけするなどコミュニケーションを取るようにしています。また、就業開始時にはウェルカムシートを渡しているのですが、派遣スタッフの方が一緒に働くことになる部署やメンバーのプロフィールに合わせて、「私は普段ここにいます」「なにかあればいつでもこちらに連絡してください」といった私自身の情報をお伝えしています。もし現場担当者に言いにくいことがあれば、私に直接連絡して相談できるようにとの思いからですが、現場でのフォロー体制がしっかりと整い、問題が起きてもその場で解決される状況が理想だと思っています。幸い、派遣スタッフの方から直接私に相談をいただいたことはまだないですね。

人事としての私の仕事は、派遣スタッフが元気に楽しく働くために、陰からサポートすることだと思っています。私のほうで気になる点があっても、一緒に働くチームリーダーがフォローした方がスムーズに物事が運ぶことが多いので、まずは現場に状態を確認するようにしています。

―派遣スタッフのテレワークの状況についてお聞かせください。
テレワークの頻度は、職種によって出社の必要性が異なるので、各部門に任せています。月1出社の部署や毎日出社する部署などさまざまです。

個人情報や企業情報の取り扱いの関係でどうしても出社が必要な業務もありますが、そうではない場合には希望を聞いたうえで出社日数や出社曜日など柔軟に決めています。全体的に見ると、テレワークが非常に増えており、派遣スタッフの方からも「テレワークができるようになってよかった」といった声を聞いていますね。

―テレワーク時のコミュニケーションは、どのようにされていますか?
部署ごとにコミュニケーションの取り方を工夫しています。たとえば、毎朝オンライン朝礼をしている部署もありますし、とくに話すことがなくても朝の10時から11時までは基本的にWeb会議をつないだ状態で作業をし、自由に話しかけることができるようなバーチャルオフィス空間をつくっている部署もあります。

派遣スタッフのなかには遠慮されたり、気を遣われたりする方も多いので、テレワーク時はその分手厚くフォローすることを心がけています。

たとえば、「忙しそうなので今こんなことを聞くのは申し訳ない」と思われないようにチャットでのレスポンスを早くするなど、口頭で話すような感覚で気軽に質問できる体制をつくっています。そのほかにもWeb会議のビデオをオンにしているとストレスに感じる方もいるためオフでもOKとするなど、気持ちよく働けるよう試行錯誤していますね。

働く人の成長は企業の成長に。仲間づくりの場を提供

―派遣スタッフにも多くの機会を提供されている理由を教えてください。
「自己実現の場を提供する」というものが、グロービスの経営理念のひとつとしてあります。スタッフが生き生きと活躍することで、社会にも貢献する仕事ができますし、スタッフの成長は会社全体に良い影響を与えます。そのため、雇用形態に関係なくグロービスで働かれる方々が成長する環境を整えるようにしています。また、働く仲間同士の関係性を良くすることや、コミュニティづくり、文化の醸成を大切にしています。

同じ働く仲間なので、派遣スタッフに向けて特別になにかをしているというよりは、社員が利用できるものは派遣スタッフの方も利用できるようにしているといった感じですね。「グロービスで仕事をしてよかった」と思っていただけるよう、個人の目標をサポートしたしていきたいと思っています。

まとめ

派遣スタッフへのスキルアップ支援や人事としてのフォロー術についてお伺いしました。「働く人の成長は企業の成長」ととらえ、派遣スタッフに向けて特別になにかを用意するというよりは、現在社内で社員向けに実施していることを派遣スタッフにも適用してみることから始めてみるとよいかもしれませんね。

派遣スタッフへのサポートやフォロー、マネジメントについて疑問や不安がございましたら、リクルートスタッフィングの担当者がサポートさせていただきます。お気軽にご相談ください。

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