派遣スタッフの「継続率」をあげるには?時期と理由を明確に

2022.03.08

派遣スタッフの「継続率」をあげるには?時期と理由を明確に

派遣は「臨時的・一時的」な人材活用手段であるとはいえ、派遣スタッフの意向により想定していた期間より早いタイミングで契約終了になってしまうことが重なれば、生産性やコストの観点で影響が出てきてしまいます。そこで今回は、2021年にリクルートスタッフィングで行ったセミナーをもとに、派遣スタッフの継続率をあげる方法についてご紹介します。

初回契約更新率と1年後の継続率に課題

事務職とエンジニア職を例にとってみると、リクルートスタッフィングの初回契約更新率は残念ながら100%ではありません。しかも、そのうちの多くは2ヵ月未満で辞めてしまいます。2回目以降の更新率は若干安定しますが、1年後には再び低下する傾向にあります。

スタッフ交代が発生すると、終了手続き~後任手配~後任受入などの工数が増え、一時的に生産性が低下するでしょう。もちろん、コスト面でも影響があります。引継ぎコストのほか、穴埋めのための残業コストもかかる可能性があります。結果的に、部署全体にメンタル面・フィジカル面でのマイナス影響が及ぶ恐れがあります。これらを防ぐためにも、「辞めたら後任スタッフを手配すればいい」ではなく、継続率を高める施策を打つのが望ましいといえます。

契約終了の要因を確認・把握する

派遣スタッフの継続率を高めるために、まずするべきことは、就業終了の要因を確認・把握することです。「なぜ辞めるのか」要因を分析し、仮設を立てた上で、対策を考え実施・検証してみます。

要因分析を行う際には、「時期」と「理由」、2つの観点から整理してみると分かりやすいでしょう。

<時期>
終了が多い時期を特定する。
「初期研修期」「立ち上がり期」「独り立ち期」「ベテラン期」など。

<理由>
契約終了理由を特定する。
「遠方への転居」「体調不良」「家庭の事情」などやむを得ない理由を別にすると、多くは次のパターンに分かれます。

「環境型」……職場環境、人間関係
「業務型」……志向・適性の不一致、難易度のギャップ、業務量、キャリア志向を満たせない、など
「条件型」……待遇、労働時間

継続率を改善させた事例

時期と理由を把握することで、継続率の改善に成功した事例を2つご紹介します。

<事例-1>時期:立ち上がり期 理由:「業務型」業務の難易度のギャップ

あるコールセンターでは、1.5ヶ月の研修後、就業開始間もない「立ち上がり期」に離脱するケースが多発。原因を探るために匿名でのアンケート調査を行ったところ、「業務の難易度のギャップ」という理由が浮かび上がりました。「研修時のテキスト・カリキュラムと実務に乖離がある」と感じていたスタッフが多かったのです。原因は、研修内容が数年間見直されておらず、現状にそぐわないものになっていたこと。結果、スタッフは実務にうまく対応できず、自信をなくし、早期終了に至っていました。この課題に対し、研修内容を現状に合わせて刷新する対策をとりました。

<事例-2>時期:独り立ち期 理由:「業務型」業務・志向の不一致

一般事務で派遣スタッフを活用していた企業の事例です。派遣契約の終了時期は就業開始から1年以内「独り立ち期」が多くを占めていました。理由を調査したところ、「業務内容への不満、飽き」が発生していたことがわかりました。その企業は活発な社風で、派遣依頼時に「指示待ち型のタイプより主体性を持って動ける積極的なタイプの人がいい」と希望していました。しかし実際はルーチン業務が中心だったため、積極性がありキャリアアップ志向が強いというような条件に合致する人ほど物足りなさを感じていたのです。そこで、「派遣会社への依頼時にルーチン業務が中心であることをしっかり伝える」「キャリア志向の強い方にも長く続けていただけるよう、社内に別ポジションを用意する」という対策を講じました。

情報のキャッチアップ方法

派遣スタッフの終了理由を探るためには、情報のキャッチアップが必要です。派遣会社との定例会で情報共有を行うほか、アンケートを実施する手段もあります。

派遣先企業内での情報共有

まずは派遣先企業内で情報共有を行いましょう。とくに派遣を依頼する部署と派遣スタッフの就業部署がわかれている場合は、社内での情報共有が大切です。加えて、派遣スタッフの希望によって1on1ミーティングを実施するなど、派遣スタッフとのコミュニケーションを日常的にとることで課題の早期発見につながります。

派遣会社との定例会の実施

分析が行えるほど豊富で正確な情報を派遣会社が持っている際は、非常に有益な場となります。派遣会社が持つ情報を入手し、課題を共有することで、分析・仮説立てが適切に行えるようになります。

アンケート

派遣スタッフがなかなか本音を語らず、派遣会社側も真の要因が把握できていない場合は、派遣スタッフに対してアンケートを実施するのも有効策の一つです。ただし、あまり頻繁にアンケートを行うと不安にさせてしまうこともあるため、タイミングや内容はとても綿密に計画する必要があります。

まとめ

派遣スタッフの継続率がアップすれば、業務がスムーズに進み、余計な管理工数やコストの抑制になり、中長期の人材確保が安定します。なにより、派遣スタッフも派遣先企業も気持ちよく就業できます。避けられない理由もありますが、同じようなケースでの就業終了が続く場合は要因分析をし、改善策を講じるようにしましょう。継続率でお困りの際はリクルートスタッフィング担当者までご相談ください。

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