2022年度雇用保険料率の引き上げ|給与計算や年度更新に注意

2022.05.26

2022年度雇用保険料率の引き上げ|給与計算や年度更新に注意

労使が負担する雇用保険料の引き上げを柱とする改正雇用保険法が2022年3月30日の参院本会議で成立しました。コロナ禍による雇用保険の支出急増を受け、財源を補うためです。これにより、労働者が支払う保険料は2022年10月、企業については2022年4月と10月の2段階で引き上げが行われます。

雇用保険とは

雇用保険とは、労働者の生活や雇用の安定、就職の促進のために設けられている社会保険です。労働者が失業をしたときや就職のための教育訓練を受けたとき、育児や介護のために休業した際などに給付されます。

雇用保険は、労働者を1人でも雇用する事業には強制的に適用されます。労働者も適用事業に雇用されている場合は、1週間の所定労働時間が短い人や昼間部の学生などの例外を除いて被保険者になります。具体的には以下の通りとされています。

雇用保険の適用事業
・労働者を1人でも雇用する事業

雇用保険の被保険者となる労働者
・1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者
・31日以上の雇用が見込まれる労働者

雇用保険の負担

雇用保険料は事業主と労働者、それぞれが定められた保険料率を負担します。労働者が「失業等給付」と「育児休業給付」に対する保険料率のみを負担するのに対し、事業主は失業等給付と育児休業給付の保険料率に加えて、「雇用保険二事業」の保険料率も負担することになっています。

雇用保険料率の引き上げ1/2022年4月1日~9月30日

2022年4月1日から9月30日に適用される雇用保険料率は以下のとおりです。

「失業等給付」「育児休業給付」…変更なし
「雇用保険二事業」…0.5%引き上げ(事業主負担のみ)

雇用保険料率の引き上げ2/2022年10月1日~2023年3月31日

2022年10月1日以降から年度末までに適用される雇用保険料率は以下のとおりです。

「失業等給付」「育児休業給付」…4%引き上げ(労働者・事業主負担ともに2%引き上げ)

給与計算に影響を及ぼすのは、2022年10月以降適用の雇用保険料率

雇用保険料率の引き上げによって給与計算に影響が生じるのは、2022年10月以降です。4月は事業主負担分のみの引き上げであるため、労働者の給与から天引きとなる雇用保険料に影響を及ぼしません。

一方、10月以降適用となる雇用保険料率では、労働者負担分の算定に関わる「失業等給付」「育児休業給付」の保険料率に関わる変更が生じるため、給与計算時には雇用保険料率の変更が必要となります。

例えば、2022年10月以降における月収30万円の従業員の場合は、下記となります。
労働者負担(月額):900円 → 1,500円 (プラス600円)
事業主負担(月額):1,800円 → 2,550円 (プラス750円)

年度更新は、2022年4月~9月、2022年10月~2023年3月の概算保険料を分けて計算

同年度内に雇用保険料率の引き上げが予定されている2022年度の年度更新では、概算保険料の算出の際に注意が必要です。年度更新とは、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付のために、年に一度行う手続きのことです。

具体的には、2022年4月1日から9月30日までの概算保険料額と、2022年10月1日から2023年3月31日までの概算保険料額を分けて計算し、その合計額を2022年度の概算保険料(雇用保険分)として申告・納付します。

まとめ

雇用保険料率引き上げにより、雇用保険料の負担も大きくなります。特に10月からは2021年度より雇用保険料は大幅に増えるため、注意しましょう。

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