派遣の心理的安全性とは|事例と対応策を紹介

2022.08.04

派遣の心理的安全性とは|事例と対応策を紹介

心理的安全性が高い組織は、働きやすくやりがいを感じやすいと言われています。それは、社員だけでなく派遣スタッフにおいても当てはまるでしょう。しかし、直接雇用ではない派遣スタッフは、社内で心理的安全性を損なう不安を感じやすい状況にあることも確かです。そこで今回は、心理的安全性の概要とともに、「派遣における心理的安全性」について、事例や解決策をご紹介します。

そもそも心理的安全性とは

「心理的安全性(psychological safety)」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」という心理学用語は1999年から提唱されていますが、ビジネスにおいて注目されるようになったのは、2016年にGoogleが「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」との研究結果を発表してからです。心理的安全性を高めることで、人材の定着率や組織の生産性が高まる効果が期待できます。

心理的安全性を損なう4つの要因と特徴行動

心理的安全性という概念を最初に提唱したエイミー・エドモンドソンは、心理的安全性が低くなる原因として、4つの不安をあげています。

無知だと思われる不安(Ignorant)

上司や同僚に質問や相談をしたいときに「こんなことも知らないのかと思われないか」と感じる不安。気になることがあっても質問しづらくなってしまいます。

無能だと思われる不安(Incompetent)

ミスや失敗を報告しなければならないとき、「無能」だと思われる不安。「仕事ができないと思われるのでは」と不安になり、自分の失敗や弱点を認めなかったり、ミスを報告しなかったりするようになります。

邪魔をしていると思われる不安(Intrusive)

自分が発言することで「話の邪魔をしていると思われないか」と思う不安。提案や発言ができなくなり、結果として、チームや組織におけるイノベーションの可能性を狭めてしまいます。

ネガティブだと思われる不安(Negative)

「他の人の意見を批判していると否定的に捉えられるのでは」と感じる不安。改善を提案したくても現状の批判をしなくなったり、意見があっても言わなくなったりします。

派遣スタッフの心理的安全性が損なわれる場面

日頃の業務のなかで、派遣スタッフの心理的安全性が損なわれやすい事例をご紹介します。

・経験者として派遣された会社で「経験があるから分かりますよね」と言われ、相談ができなくなった
・「前の派遣スタッフの方はその都度説明しないとできなかったんですよね」という発言を耳にして、質問がしづらくなった
・他の会社での経験があり、もっと効率的な方法を知っているが、就業開始した会社のやり方を否定していると思われるのが不安で提案できない
・会議に参加するよう促されたが、基本的に発言するのは社員のため、意見を言いづらい
・契約時間は17時までだが、社員は基本的に残業をしているので「帰ります」と言いにくい。退社してよいのかわからない

派遣スタッフの心理的安全性を高める5つのポイント

心理的安全性が高まることで、チームの生産性があがったり、働くうえでのストレスが軽減されたりといった効果が期待できます。しかし、直接雇用ではない派遣スタッフは、「どう思われているのだろう?」「役に立っているだろうか?」「誰に話しかけていいのかな?」といったような不安を抱えやすい状況にあります。そこで、派遣スタッフの心理的安全性を高めるポイントをご紹介します。

説明と確認を交互に行う

派遣スタッフに業務説明をする際に、「分からないことはありますか?」「他社での業務と異なる点はありますか?」などと、確認を都度入れると質問がしやすくなります。

社内の派遣スタッフを紹介する

先に就業を開始している派遣スタッフを紹介し、一緒にランチに誘うなど、おたがい知り合える場を作りましょう。部署内やチーム内にほかに派遣スタッフがいない場合は、他部署などの派遣スタッフを紹介してあげるのもよいでしょう。派遣スタッフならではの悩みや不安を、同じ立場で話せる人がいるだけで安心感が高まります。

1on1などを定期的に行い状況共有する

1on1ミーティングは、心理的安全性を高める方法としてGoogle社をはじめ、多くの企業で取り入れられています。派遣先管理者やフォロー担当の方は、派遣スタッフとの1on1を定期的に開催し、業務のこと、業務外のことなどを安心して話せる時間をつくりましょう。難なく業務をこなしているように見えても、日頃言えない不安や不満が溜まっていることがあります。ただし、基本的に派遣スタッフとの1on1は、派遣スタッフの希望があって行うものなので、必ず本人の意向を確認してから行うようにしましょう。

特定の人に偏らず発言できるようにする

自由に意見を言い合っているように見えても、一部の人だけがいつも発言している場合があります。特に、就業間もない派遣スタッフの多くは「私も発言していいのだろうか」と不安に感じています。派遣スタッフにも会議に参加してもらうときは、積極的に「○○さんはどう思われますか?」など意識的に発言を促すようにしましょう。また、発言してくれたことに対して感謝を示し、自ら積極的に発言しやすくなる空気づくりにつなげましょう。

派遣会社と情報共有を行う

派遣先企業に直接言いづらいことを派遣会社に相談するスタッフも多くいます。定期的な就業振り返りの場を設け、派遣会社と状況の共有をすることが大切です。対応策が分からない場合は派遣会社からの提案を参考にするとよいでしょう。

まとめ

社員だけでなく、派遣スタッフの心理的安全性が高まることで、チームのパフォーマンスがさらに向上する効果を期待できます。社員に対して意識的に行っていることを派遣スタッフに対して行うことはもちろん、社内での立場を理解したうえで派遣ならではの不安が取り除かれるよう、丁寧なフォローや積極的なコミュニケーションを心がけましょう。

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