派遣先責任者は本社の人でも大丈夫?

2022.02.04

派遣先責任者は本社の人でも大丈夫?

ある日、あすかさんは名古屋支社へ派遣スタッフを紹介することになったA社からこんな質問を受けました。

「派遣先責任者は東京本社の人でも大丈夫ですか?」

「派遣スタッフの就業先は名古屋支社ですよね。本社ならいいのかな…確認します!」

あすか

リクルートスタッフィング入社1年目、派遣営業部所属。
口ぐせは「確認します…」と「教えてください!」

さとし

リクルートスタッフィング入社8年目、法務部所属。
好きな業務はリーガルチェックのテスト作成


派遣先責任者について質問です!

はい、なんでしょう。


名古屋支社へ派遣をする際、派遣先責任者は東京本社の方でも大丈夫でしょうか?

その場合、東京本社の方を派遣先責任者にすることはできません。派遣法では派遣先責任者は、派遣スタッフの就業場所と同一の事業所に常駐する方を選任することを義務付けていますので、名古屋支社にいらっしゃる方の中から選任をお願いすることになりますね。


そうなのですね。派遣の依頼や管理は東京本社の人事部で一括して行っている場合でもそうなりますか?

はい、なぜなら派遣法は、派遣先における派遣スタッフの適正な就業が確保されるために、派遣先責任者を選任することを義務付けており、その選任の条件の一つに、派遣スタッフの就業場所の事業所に常駐する者であることを定めているからです。


なるほど。他にも派遣先責任者の条件はありますか?

派遣先責任者の選任の条件は以下のとおりです(派遣法 施行規則 第34条)。

 

・派遣先に直接雇用されていること。
・その事業所で受入れる派遣スタッフ100人ごとに1人以上選任すること(※)。
・その事業所専属の派遣先責任者とすること(他の事業所の派遣先責任者を兼ねられません)。
・監査役は選任できないこと。

 

※例外として、事業所における派遣スタッフと派遣先に直接雇用されている方の人数の合計が5人以下の場合は、派遣先責任者を選任する必要はありません。


ちなみに、派遣先責任者は具体的にどのようなことをするのでしょうか?

派遣先責任者が行わなければならないことは次のようなことです(派遣法 第41条)。

 

(1)指揮命令者や関係者などへ派遣法や契約内容を周知すること
(2)派遣受入可能期間の延長通知に関すること
(3)派遣先における均衡待遇の確保に関すること
(4)派遣先管理台帳の作成、記録、保存および記載事項の派遣元への通知に関すること
(5)派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理に当たること
(6)安全衛生などに関して、派遣元と必要な連絡調整をおこなうこと
(7)そのほか派遣元との連絡調整に関すること


なるほど。なかなか大変な職務ですね。

はい。そのため、派遣先責任者は下記に該当する方を選任するよう努めることとされています。

 

a)労働関係法令に関する知識を有する者
b)人事、労務管理の知識や経験を有する者
c)派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限を有する者

 

派遣スタッフが問題なく就業できるようにするためには、指揮命令者だけではなく、派遣先責任者の協力が必要不可欠です。派遣先にも派遣法の趣旨を理解いただいたうえで適任者を選んでもらうようにしてください。


わかりました!ありがとうございます。

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