職場見学編:つい口にしてしまいがちなNG発言5選

2022.04.27

職場見学編:つい口にしてしまいがちなNG発言5選

職場見学は派遣スタッフの意思によって、派遣先・派遣会社・派遣スタッフの3者が参加し業務の確認をする場です。しかし、派遣スタッフに関して派遣先から直接雇用における面接行為と似たような質問をしてしまう場合があります。そこで今回は、職場見学時によくあるNG質問やNG発言例を、理由とあわせてご紹介します。

職場見学の目的

職場見学の目的を確認しておくことで、職場見学で発言してよいこと、いけないことの理解が深まります。

誰のため?

職場見学は派遣スタッフのために行います。そのため、派遣スタッフの希望によって行うものであり、強制されるものでもありません。

なんのため?

職場見学は、派遣会社から仕事の依頼を受けた派遣スタッフが、働く場所や業務を確認し、依頼を受けるか検討するために行います。

判断するのは?

職場見学を経て、仕事を受けるか判断するのは派遣スタッフです。また、派遣スタッフの雇用主は派遣会社であるため、職場見学には派遣会社が必ず同席をします。

職場見学でよくありがちなトラブルは、直接雇用の面接の場と混合してしまうことです。採用面接は、おもに企業側が採用の可否を判断する場ですが、職場見学の主体者は派遣スタッフであり、派遣スタッフが安心して仕事を受けるための情報交換の場と認識しましょう。

職場見学で派遣先が聞いてしまいがちなNG発言

職場見学でのNG発言例:1


どちらにお住まいですか?帰りの時間が遅くなるときがあっても大丈夫ですか?

質問者の意図
<残業対応が可能か確認したい>
「うちは年末の決算時が忙しく、残業対応してもらえるだろうか?家が遠かったら帰りが遅くなるのはよくないので住んでいる場所を確認しておこう」

質問を受けた派遣スタッフの気持ち


なぜ住んでいる場所をきかれているんだろう…まだ働くと決まっていないのに答えないとまずいのかな

NGな理由
「どちらにお住まいですか?」といった住まいの場所に関する質問は、業務遂行に関係なく、また不要な個人情報に該当するため、職場見学の場では聞いてはいけません。

残業可能か確認したいときの質問例
「当社では3月の決算時期に4,5日残業が発生することがあります。遅くとも19時半には退社していただいていますが、問題ないでしょうか?もちろん難しいときは断っていただいて構いません」

POINT
残業に関して確認したいときは、具体的な残業時間や頻度の説明をしてから可否を確認すると、派遣スタッフ側も判断がしやすくなります。そのうえで、派遣スタッフから「通勤時間も30分程度なので問題ありません」や「住んでいる場所は○○なので大丈夫です」と回答が返ってくる分には問題ありません。

職場見学でのNG発言例:2


ご結婚されていますか?
出産やご家族の転勤などの予定はありますか?

質問者の意図
<就業期間を確認したい>
「今回お任せするポジションは直接顧客とのやりとりも多いポジションだから、できるだけ長く働いてもらえると嬉しい。就業希望期間を聞いておこう」

質問を受けた派遣スタッフの気持ち

プライベートに関することはあまり答えたくない。家庭の事情など話さなきゃいけないのかな

NGな理由
結婚や出産は職務に関係なく、不要な個人情報に関することであるため職場見学時だけでなく、就業後に聞くこともNGです。また、派遣契約は有期であり、契約期間については派遣先、派遣会社にて設定します。職場見学時に「できれば1年続けてほしい」など、契約期間以上のことを希望されると、そこまで契約があると誤解されトラブルの原因にもなりますので、注意が必要です。

職場見学でのNG発言例:3


大学は出られていますか?専攻は何でしたか?


健康状態はいかがですか?


長所短所を教えてください

質問者の意図
<派遣スタッフの緊張をほぐしたい>
「職場見学ってどちらも緊張するよね…緊張をほぐしてもらうために、採用面接と同じように業務と関係のない質問から始めよう」

質問を受けた派遣スタッフの気持ち

業務の確認の場と聞いていたのだけれど…これは採用面接?

NGな理由
職場見学は面接と異なります。新卒や中途採用と同じような進め方はNGです。緊張をほぐすことを目的とした雑談のつもりであっても、業務に関係のないことは質問できません。

派遣スタッフの緊張をほぐしたいときの会話例
「駅からオフィスまでは迷わずに来られましたか?この辺りは飲食店も多いのでランチタイムも楽しめると思いますよ」

「弊社は中途入社社員が多く、派遣スタッフは現在〇名います。○○さんが仕事をしていただくチームのメンバーの経歴はさまざまで、ユニークな人が多いですよ」

POINT
派遣スタッフの緊張をほぐしたい際は、職場の雰囲気や一緒に働く人のこと、会社の周辺環境など先に派遣先のことを話してもらうとよいでしょう。業務に直結しないような就業環境の説明などから入ると、派遣スタッフの緊張もほぐれ、会話の流れがスムーズになります。

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職場見学でのNG発言例:4


前職でのExcelでの集計方法は?関数はどういったものを利用されていましたか?一から関数をいれて集計は可能ですか?Pivot使えますか?

質問者の意図
<業務に必要な知識があるか確認したい>
今回のポストはExcelでの集計が多いので、不安がないように条件のすり合わせをしっかりしておかないと!

派遣スタッフの気持ち


派遣会社からは基本的なExcelがあれば問題ないと聞いていたけれど…圧迫面接のように質問責めだな…こちらも確認したいことがあるのに。

NGな理由
職場見学は、派遣スタッフが業務の確認をする場であって、派遣先が派遣スタッフのスキルを確認したり、適正を判断したりする場ではないため。

業務スキルを確認したいときの質問例
「ご依頼したい基本的な業務は○○です。こちらに関して何か不安な点はありますか?」

POINT
業務に必要な内容でも、一方的に質問をされると本来の職場見学目的から逸脱してしまいます。職場見学、派遣スタッフが今回の業務を自分のスキルで問題なく遂行できるか確認・判断するための場です。そのため、スタッフ自身で判断できるよう、派遣先から可否を確認するのではなく、具体的な業務の説明をするとよいでしょう。

職場見学でのNG発言例:5

他の候補者と会ってから後日連絡します

発言者の意図
状況の共有をしておきたい
他の派遣会社に依頼した紹介者も職場見学希望しているから、全部終わるまで時間がかかるな。すぐに派遣会社から連絡がないのは不安だろうから状況の共有をしておこう

派遣スタッフの気持ち

業務の確認の場と聞いたけれど、選考だったのか。だったらもう少しアピールしておけばよかった

NGな理由
職場見学は、派遣スタッフが業務可能かどうかを判断する場であり、派遣スタッフの適正は派遣先が決定権を持って判断するものではないため。

POINT
状況共有や最後の挨拶のつもりの一言でも、「派遣先が複数人の候補者に会う=選考をしている」と受け止められてしまいます。どの企業にどの派遣スタッフを派遣するかは派遣会社が決定する事項です。また、職場見学派遣スタッフが業務可能かどうかを判断する場です。派遣先が決定権を持っているように受け取られる発言は避けましょう。

職場見学でNGな質問をしてしまった場合に生じる問題点

職場見学で本来確認してはいけないことを派遣スタッフに聞いてしまった場合、以下のような問題が生じる可能性があります。

・労働者派遣法第26条第7項・派遣先指針に違反するものとして、派遣先が行政指導の対象となる。
・派遣先と派遣スタッフとの雇用関係が曖昧になり、場合によっては派遣先が雇用主としての責任を問われるなど、派遣先と派遣労働者との間で様々な労働問題が生じるおそれがある。

そのため、以下の点に関してはとくに職場見学の場で質問したり発言したりしないよう、気を付けましょう。

・個人情報に関すること
・業務に関係ないこと
・人選の決定権があるかのような発言

確認すべきことは何かを明確にし、不要な質問は避けましょう

気遣って口にした発言でも、職場見学では派遣スタッフを不安にさせてしまうことがあります。双方で業務や就業条件のすり合わせを行うには、先に派遣先から業務内容や職場環境に関する情報提供を行うことで、派遣スタッフは判断がしやすくなります。職場見学で確認すべきことを明確にし、不要な質問は避けるようにしましょう。

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