派遣先の役割|派遣スタッフの安定就業のために派遣先が日々行うこと

2022.05.06

派遣先の役割|派遣スタッフの安定就業のために派遣先が日々行うこと

派遣スタッフの雇用主は派遣会社であるものの、日々の業務マネジメント、労務管理などは実際に派遣スタッフが就業する場所である派遣先で行う必要があります。そこで今回は、派遣先の役割についてまとめました。

派遣先の役割

派遣先で日々行う派遣スタッフの管理は、おもに3点です。派遣先責任者は、派遣スタッフの業務管理と労務管理をしっかりとしつつ、派遣先管理台帳の内容を把握しておく必要があります。派遣契約や台帳管理などを人事が行っている際は、社内で連携を取り、派遣先責任者もその内容を把握しておきましょう。

派遣スタッフの業務管理(フォロー・就業マネジメント)

派遣スタッフへの日々の業務指示は派遣先で行う必要があります。そのため、受け入れ前までに、派遣先責任者、指揮命令者を決めておきましょう。

派遣法では、派遣先は受入事業所ごとに派遣スタッフ100名当たり1名の派遣先責任者を選任しなければならないと定められています。派遣先責任者の要件は、「労働関係法令に関する知識を有する、人事・労務管理について知識・経験を有する、派遣労働者の就業について権限を有するなど、職務を適切に遂行することができる者」です。必ず派遣受入事業所に常駐している人を選任する必要があります。

指揮命令者は日々、派遣スタッフの就業をフォローしたりマネジメントしたりする役割を担います。派遣会社とも連絡を取り合い、派遣スタッフが安心して働ける環境を整えましょう。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。
派遣スタッフのフォロー・マネジメント|派遣活用の6STEP⑤就業マネジメント
派遣先責任者の選任|知っておきたいリーガル知識

派遣スタッフの労務管理

派遣スタッフは派遣先の指揮命令を受けながら就業をするため、派遣スタッフの日々の労務管理は派遣先が行います。派遣スタッフの雇用主は派遣会社であり、労働時間管理の枠組み(36協定の締結など)の設定は派遣会社の責任ですが、派遣先は、派遣会社の締結した労使協定の範囲内で派遣スタッフの残業や休日を管理しなければなりません。

契約の時間を超えて働かせないようにすることはもちろん、残業が続いてしまいそうな場合は、派遣スタッフの業務量が適正であるか見直す必要があります。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。
【リーガルQ&A 労働時間】派遣スタッフの労働時間管理、派遣先の役割は?

派遣先管理台帳の作成・管理・通知

派遣スタッフの就業の実態を的確に把握するため、派遣先は、派遣先管理台帳を作成、保管しなければなりません。また、派遣会社による適切な雇用管理のため、記載内容の一部を派遣会社に通知する必要があります。

派遣先管理台帳に記載が必要な法定項目は次の通りです。

(1)派遣労働者名  
(2)派遣元の名称  
(3)派遣元の事業所名と住所 
(4)協定対象派遣労働者か否かの別 
(5)派遣労働者が有期雇用か無期雇用かの別  
(6)派遣就業した日、始業・終業時刻、休憩時間(実績)  
(7)業務の種類(実績)  
(8)派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
(9)就業した場所(事業所名・就業場所・組織単位)(実績)
(10)苦情の処理状況  
(11)教育訓練を行った日時および内容  
(12)派遣先責任者  
(13)派遣元責任者 
(14)受入期間制限のない業務に関する事項  
(15)派遣労働者の保険加入状況 
(16)紹介予定派遣に関する事項

詳しくはこちらの記事もご確認ください。
派遣先管理台帳の作成・保管・通知|知っておきたいリーガル知識
【リーガルQ&A 派遣先管理台帳】派遣先管理台帳は本社で保管してもいいの?

派遣先の役割で気を付けるポイント

派遣スタッフは、派遣先企業の社員と同じ部署やチームで就業していても、雇用主は派遣会社であるため、適用される業務契約や労務内容は異なる点に注意が必要です。

派遣スタッフへ依頼可能な業務を周知する

派遣スタッフへの業務依頼は契約がベースです。「○○もお願いできる?」と派遣先の判断で契約にない業務を依頼することはできません。とくに、「契約内容を知らない社員から突然契約外の業務を振られて困った」という派遣スタッフの声はよく聞かれます。指揮命令者や派遣先責任者だけでなく、同じ部署で働くメンバーへも派遣スタッフの契約内容を周知しておく必要があります。派遣スタッフに何かお願いしたいときは、指揮命令者に確認のうえ依頼するよう案内しておくのもよいでしょう。

業務を任せきりにしない

経験やスキルが十分にある派遣スタッフでも、業務の丸投げはしないようにしましょう。たとえ派遣スタッフが精通している業務であっても、社内ルールや業界特性によって異なる点があり、進め方において不明点や不安な点があります。そのため、とくに就業開始時は丁寧なフォローを心がけましょう。

また、指揮命令者からすれば滞りなく業務を進めてくれているように見えたとしても、何のフォローもなければ、「放置されている」と感じる派遣スタッフもいます。日々、コミュニケーションをとることで、派遣スタッフのコンディションや業務内容を確認するようにしましょう。

派遣スタッフに適用される36協定を確認する

派遣スタッフの日々の労務管理は派遣先に責任がありますが、適用される36協定は派遣会社の36協定になるため注意が必要です。土曜や祝日出勤の扱い、残業時間の考え方については事前に派遣会社と確認しておきましょう。

定時外の就業については、法的事項だけでなく、派遣スタッフの意向も重要です。就業時間を固定したいため派遣という働き方を選んでいるスタッフも多くいます。そのため、必ず本人の希望を確認し、派遣スタッフの働き方に関して一緒に働くメンバーの理解も仰ぐようにしましょう。

派遣先管理台帳は派遣先責任者がいつでも確認できるようにしておく

派遣先管理台帳を人事が作成・管理しているケースも多くありますが、派遣先責任者もその内容をいつでも確認できるようにしておきましょう。

派遣スタッフの勤務状況を把握することはもちろん、何かあった際に、すぐに管理台帳と契約内容を閲覧できるようにするためです。派遣先管理台帳や派遣契約書の保管場所は、派遣先責任者も把握しておきましょう。

まとめ

派遣先での日々の就業管理やフォローが派遣スタッフの安定就業につながります。派遣先の役割について不明な点や悩む点があれば、リクルートスタッフィングの担当者までご相談ください。

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