【2023年版】派遣先が気を付けたい派遣の禁止事項6選

【2023年版】派遣先が気を付けたい派遣の禁止事項6選

派遣では、労働者を守るため、派遣法や職業安定法によって禁止されている事項がいくつかあります。なぜ禁止されているのか、理由や背景とともにご紹介します。

日雇い派遣

派遣スタッフの雇用期間を日々、または30日以内の短期間とする「日雇い派遣」は禁止されています。

日雇い派遣は非常に短い期間の雇用・就業形態のため、派遣会社・派遣先の双方で必要な雇用管理がされにくく、労働災害から派遣スタッフを守るために禁止されています。

ただし、ソフトウェア開発や機械設計、事務用機器操作、通訳・翻訳・速記など専門的な知識・技術が求められ、短期的な雇用であっても労働者に不利益の生じない業務などについては禁止の例外となっています。また、60歳以上の者や雇用保険の対象外となる学生、副業として派遣登録をしている者なども、例外として日雇い派遣が認められています。

<関連記事>
【知っておきたいリーガル知識】労働者派遣法②|わかりやすく解説「派遣法」の歴史【後編2008〜2020】

二重派遣

派遣先企業が別の会社に派遣スタッフを派遣し業務を任せることは「二重派遣」となり、「職業安定法第44条」などの法律に違反する行為となります。

派遣スタッフの雇用主は派遣会社ですが、二重派遣が起こると雇用に関する責任の所在が不明確になります。その結果、あらかじめ定められた業務内容や労働条件が守られなくなったり、仲介手数料が複数発生して派遣スタッフの給与が減ってしまったりする可能性があります。よって、二重派遣は、派遣スタッフの安全を保証できない行為として固く禁止されています。

偽装請負

偽装請負とは、実態は労働者派遣であるのに、形式的には請負契約として偽装しているケースを指します。労働者派遣法などで定められた派遣会社・派遣先企業のさまざまな責任が曖昧になり、労働者の雇用や安全衛生面など基本的な労働条件が十分に確保されないという事が起こるため、偽装請負は固く禁じられています。

請負とは、「労働の結果としての仕事の完成を目的とするもの(民法)」で、派遣との違いは、発注者と受託者である労働者との間に指揮命令関係が生じないという点です。

請負契約を結んでいる場合、発注者となる企業が指揮命令をすることは「偽装請負」となるため、指揮命令関係はどこにあるのかという認識をしっかりと持っておくことが大切です。

<関連記事>
派遣と業務委託の違い|適している業務、注意すべき比較ポイント

特定行為(事前の面接)

紹介予定派遣を除いて、派遣先企業が派遣スタッフを選別すること(特定行為)は、派遣法で、禁止されています。

派遣会社と派遣先企業が結ぶ派遣契約は、労務の提供を目的とする契約であって、特定の労働者を派遣する契約ではありません。どのスタッフを派遣するかは、派遣会社がスタッフの能力を評価して判断するため、派遣先企業が派遣スタッフを選ぶことはできません。

派遣法が禁止している「派遣労働者を特定することを目的とする行為」に該当するのは、以下のようなケースです。

・職場見学時に面接行為をおこなう
・履歴書の提出を求める
・派遣するスタッフを若年者に限定する
・派遣するスタッフの性別を限定する
・職場見学に委託元担当者を同席させる

ただし紹介予定派遣では、派遣先企業への直接雇用が前提となるため、面接をおこなうことが認められています。

<関連記事>
【知っておきたいリーガル知識】派遣労働者を特定する行為の禁止

無許可事業主からの派遣受入

派遣会社が労働者派遣事業をおこなうには、厚生労働大臣に対して申請をおこない、その許可を受ける必要があります。この許可を受けていない無許可事業主から派遣スタッフを受け入れることは、派遣法によって禁止されています。

もし、無許可事業主から派遣を受け入れた場合、「労働契約申込みみなし制度」の対象となります。「労働契約申込みみなし制度」とは、違法派遣があった場合、それを受け入れた時点で「派遣先企業が派遣会社と同じ労働条件で、派遣スタッフに対して労働契約の申込みをした」とみなす制度です。派遣スタッフが承諾すれば、労働契約が成立します。

<関連記事>
【知っておきたいリーガル知識】労働契約申込みみなし制度

適正な許可のある派遣会社であるかは、厚生労働省職業安定局の「人材サービス総合サイト」>「許可・届出事業所の検索 労働者派遣事業」から調べることができます。またこの検索では、優良派遣事業者であるかどうかも調べることができます。

<関連記事>
【知っておきたいリーガル知識】無許可事業主からの派遣受入禁止

離職後1年以内の労働者の派遣受入

派遣法により、離職後1年以内の労働者を元の勤務先企業が派遣スタッフとして受け入れることは禁止されています。正社員や契約社員、パート、アルバイトなどの雇用形態を問わず、直接雇用されていた従業員すべてが対象となります。

このような規制が設けられた理由は、本来直接雇用とすべき労働者を派遣労働者とすることで、労働条件を切り下げる可能性があったためです。

ただし、60歳以上の定年退職者、また定年退職後の継続雇用終了者は禁止の対象から除外されています。

<関連記事>
【知っておきたいリーガル知識】離職後1年以内の労働者の派遣受入禁止】

そもそも派遣が禁止されている業務

労働者を保護する独自の制度が制定されていたり、医療や士業などより専門的な資格やスキルが求められたりする職種であるため、以下の業務は労働者派遣法によって派遣が禁止されています。

・港湾運送業務
・建設業務
・警備業務
・医療関係の業務
・士業 

<関連記事>
【知っておきたいリーガル知識】派遣が禁止されている業務

まとめ

禁止事項が多いように見える派遣ですが、その背景には労働者の保護、不当評価の是正などがあります。それを理解することで、派遣は企業の人材活用のひとつになるでしょう。また、派遣スタッフにさせてはいけない業務は労働者派遣法で定められている内容だけではありません。契約内容以外のことを依頼していないか、社内関係者への周知や定期的な契約内容の見直しも大切です。不安な点や不明な点があれば、リクルートスタッフィングの担当者までご相談ください。

派遣のご依頼はこちら お問い合わせはこちら