人材派遣のメリットと注意点|適切な派遣会社の選び方

2023.05.17

人材派遣のメリットと注意点|適切な派遣会社の選び方

派遣は、派遣会社が雇用している派遣スタッフを派遣先企業で一定期間就業させるというスタイルの人材活用です。直接雇用と比較して、派遣先企業には多くのメリットがありますが、同時に注意点もあります。注意点を理解し適切な派遣会社を選ぶことで、派遣を最大限に活用できるでしょう。

人材派遣のメリット

人材派遣とは、企業が自社の業務を遂行するために必要な労働力を、派遣会社から受けいれる制度です。派遣スタッフの雇用主は派遣会社ですが、派遣先企業からの指示のもとで業務を行います。

企業が人材派遣を利用するメリットには、おもに以下4点があります。

柔軟な人員調整が可能

人材派遣は、必要な時期に必要な人材を依頼できるため、人員調整が柔軟に行えます。業務が増えた場合に対応できるため、業務効率を高めることができます。

人材確保の手間が省ける

派遣会社が選考を行ってくれるため、企業側は人材採用に関する手間や時間の削減になります。求人募集、書類選考、面接などの人材確保に関わる手間を省くことができます。

スキルや経験がある人材を確保できる

派遣会社は、多様な業界や職種に対応するため、さまざまなスキルや経験のある派遣労働者が登録もしくは雇用されています。そのため、企業は専門知識を持った人材を確保することが可能です。

従業員管理の負担が軽減される

派遣スタッフに関する給与、社会保険などの管理は雇用主である派遣会社がおこなうため、企業側の管理負担が軽減されます。また、契約期間が決まっているため、人件費の予算管理が容易です。

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ただし、派遣スタッフの労働条件や待遇については派遣会社が決定しますが、派遣先企業にも派遣スタッフに対する適切な管理が求められています。たとえば、派遣スタッフに対して派遣先企業に雇用される通常の労働者(無期雇用フルタイム労働者)との間の不合理な待遇差を解消することが求められています。

また、派遣スタッフの能力開発やキャリアアップの支援など、派遣スタッフの待遇向上や働きやすさを向上させるための取り組みも求められています。企業が人材派遣を利用する際には、派遣会社との信頼関係を築き、派遣スタッフの待遇向上に努めることが重要です。

人材派遣の注意点

派遣には、派遣法という法律が適用され、直接雇用の人材活用とは異なる注意点もあります。

派遣に関する各種法律に則った管理、手続きがある

派遣法は派遣会社だけでなく、派遣先企業にも適用されるため、派遣法に則った人材活用が必要です。たとえば、派遣契約で定められた就業条件について関係者に対し周知するなど派遣契約に定める就業条件を確保する必要があります。

また、派遣スタッフと雇用契約を結んでいるのは派遣会社、派遣スタッフが実際に就業するのは派遣先企業と、派遣は3者間で成り立っています。本来、労働基準法の適用については、派遣スタッフの雇用主である派遣会社がその責任を負う立場にありますが、派遣スタッフは派遣先企業の指揮命令下で就業するため、具体的な就業にともなう事項について派遣会社に責任を問うことが困難です。従って、派遣スタッフ保護の観点から、具体的な就業にともなう事項は派遣会社でなく派遣先企業の責任とすることとされ、派遣先企業にも労働基準法の一部項目が適用されます。

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人材は選べない

派遣は、派遣会社が派遣先企業の依頼を受け、人選をおこないます。人材紹介サービスとは異なるため、派遣先企業から「この方がいい」と指定することや面接行為はできません。

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派遣期間に制限がある

2015年の労働者派遣法改正により、すべての業務で派遣先の「事業所単位」と派遣スタッフの「個人単位」、それぞれ原則3年を上限とする派遣受入期間の制限(抵触日)が設けられました。

後任スタッフを依頼することはできますが、まったく同じスキル・経験を持ったスタッフを紹介できるとは限りません。同じ派遣スタッフが継続して労務提供するとは限らないという点も踏まえて、派遣スタッフを受け入れるようにしましょう。

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契約以外の業務は依頼できない

派遣スタッフに、急な業務変更など契約内容以外の業務を依頼することはできません。また、契約内容の変更についても、契約更新前に派遣会社と派遣先での相談、派遣スタッフへの意向確認などをおこなう必要があります。

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適切な派遣会社の選び方

日本には多くの人材派遣会社があります。よりよい人材活用につながるよう、信頼がおける適切な派遣会社に派遣依頼をしましょう。

信頼性の高い派遣会社を選ぶ

派遣会社は多数ありますが、その中で信頼性の高い会社を選ぶことが重要です。具体的には、長年の実績や業界での評判、顧客満足度の高さなどを調べることが必要です。また、理解が難しい派遣法や派遣のルールに関して丁寧に説明してくれる派遣会社が安心でしょう。

また、労働者派遣事業を運営するためには、厚生労働大臣の許可が必要です。この許可を得ていない無許可派遣事業主から派遣スタッフを受け入れることは派遣法違反となってしまいます。

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登録スタッフ数の多い派遣会社を選ぶ

前述したように派遣は派遣先企業の依頼を受け、派遣会社が適したスタッフを選び紹介します。登録スタッフ数が多ければより派遣先企業のニーズにマッチした人選ができるでしょう。後任スタッフが見つからず穴が空いてしまうという事態も防げます。

また、求める人材に合わせた会社を選ぶことも必要です。たとえば、IT系の人材や医療系の人材を求めている場合、それに特化した派遣会社を選ぶことが望ましいでしょう。

フォロー体制が整っている派遣会社を選ぶ

日頃から定期的に派遣スタッフや派遣先企業へ就業状況をヒアリングしてくれるなど、派遣スタッフが気持ちよく働けるようフォローしてくれる派遣会社を選びましょう。派遣スタッフの業務に不備があった場合やトラブルが発生した場合も安心です。また、直接雇用化を見据えて派遣を活用したい場合は、紹介予定派遣や直接雇用化の実績が多い派遣会社を選ぶとよいでしょう。

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まとめ

派遣は、一時的・臨時的な労務提供を目的として作られた人材活用方法です。また、直接雇用化を前提とし、派遣期間を試用期間と捉えた人材マッチングの手段としても活用されています。派遣スタッフの雇用安定化のため、派遣に関する法律やルールが多くありますが、派遣スタッフ・派遣先企業、双方へのフォローが手厚い派遣会社を選びましょう。 

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